53 / 72
第5章. ジャパン経済の復活
053. 第5の相互作用
しおりを挟む
現代物理学の基本法則として、物質に働く相互作用には重力、電磁気力、強い相互作用、弱い相互作用の4種類があることが知られている。これらのうち3つ目と4つ目について、物理学に明るくない人のほとんどが知らないかもしれない。
ここで素人に毛が生えた程度の頭があるなら、素朴な発想として「相互作用は4種類だけなのか?」とか「5番目の力は存在するのか?」とか云う疑問を思い浮かべることもできるだろうが、この問いに対しては残念なことに昔から、まともな物理学者の大半が毅然たる態度で「ノー」を突きつけてきた。
それに対して昨年のことだが、ジャパンの若い理論物理学者・早漏苔司が〈第5の相互作用〉を提唱している。この新説は物理学界やサイエンスマニアたちの間では少し熱い程度の盛り上がりをしたものの、やはり結局のところ5番目の力は、その存在が否定される運命にあるのだと思い知らされる形で決着した。
だがしかし、そのコモンセンスが今日ようやく打ち破られる。
発端は1週間前、JHKの特別報道番組『穴留朕歩の射精でワリメ妊娠!? 被害者・四里之香織が独白!』に生出演した四里之が、生番組中に産み落とした卵が、これまで知られていた物理法則を塗り替えるような超驚くべき発見をもたらしたのだ。
四里之が産み落とした卵が3日後に孵化し、身長30センチメートルの生き物が誕生した。それの容姿は〈ドクターくすえ〉こと医学博士・独田楠枝が以前ネット上に発表し、週刊淫春、略称〈淫春〉の7月29日号(7月22日発売)にも掲載された特集記事〈ワリメ宇宙人説〉に書いてあったワリメの特徴「女性的な丸みを帯びた女体そのもので、ピンク色に近い肌色の素肌、大きな頭部、ペチャンコな乳房、小さいお臍が丸見え状態で、ピンクと白のストライプ模様をしたショーツを穿いていた」そのものだった。
卵から生まれた謎の生物は取りあえず〈Clitolilith〉と名づけられた。ジャパニーズ表記は〈栗取り栗鼠〉だ。
ちなみに産卵で力尽きて倒れた四里之は、猫の門病院に救急搬送されて一時は危篤状態に陥っていたものの、幸いにして現在では少しずつ回復に向かっていると云う。各種SNSでは同病院で入院療養中の四里之に対して励ましの言葉が多数寄せられている。
なお駄文投稿サイト〈Onaniegram〉にキーワード〈香織ちゃんカムバック〉をつけてメッセージを送ると、抽選で5名に〈香織ちゃんグッズ〉が当たるらしい。賞品は「四里之が身につけているもの」とだけアナウンスされている。そのためネット上で「きっと香織ちゃんの使用ずみパンツに違いない」と期待する声が圧倒的に多いが、逆に「そんなものをプレゼントする国会議員はいない」と云う意見も少なくはない。
それはそうと、四里之が産んだ卵から生まれた〈栗取り栗鼠〉がどのように物理法則を塗り替えるのかを素人に毛が生えた程度の頭でも判るように解説する目的でJHKの教育チャンネルが緊急特番を放送している。
スタジオには第5の相互作用を信じる理論物理学者・早漏苔司が出演して、それがどのようなものか解説している。
『生まれたばかりのクリトリリスの脳波を調べたところ、人類がこれまでに発見したどの素粒子とも異なる未知の粒子が見つかったのです』
『それはどのような粒子ですか?』
『従来の素粒子論でたとえるなら、強い相互作用に関係のある〈パイ中間子〉に似ています。新しく発見した素粒子を、我々は〈ワリメ超中間子〉と名づけました。略称は〈ワリメ超子〉です。このワリメ超子がパイ中間子と大きく異なる点は、原子核分裂を引き起こすときに中性子線など放射能をまったくもって、絶対の絶対に発生させないことです。しかも物理学で超有名なエネルギーと質量と真空中の光速度の関係を表わす方程式〈イー・イコール・エム・シー2乗〉に反して、その800万倍のエネルギーが出ます』
早漏は「E=8000000mc 」と云う方程式が書かれているパネルを掲げる。
『はあそうですか。それは、どのような役に立つのですか?』
『原子力発電とくらべて800万倍ものエネルギーをえられます。そればかりか放射性廃棄物が一切生じません。これぞ真なる夢のクリーンな新エネルギーです!』
『へええぇ~、すっごいですねえ!』
『はあぁい、まさに!』
存在が確認できた〈第5の相互作用〉の持つ無限大とも云える可能性は、ジャパンは元より世界中のネット上・各種マスメディア・経済産業界に超大大盛り上がり天文学的ユニバーサルお祭り開催をもたらすことになるのだ。
ここで素人に毛が生えた程度の頭があるなら、素朴な発想として「相互作用は4種類だけなのか?」とか「5番目の力は存在するのか?」とか云う疑問を思い浮かべることもできるだろうが、この問いに対しては残念なことに昔から、まともな物理学者の大半が毅然たる態度で「ノー」を突きつけてきた。
それに対して昨年のことだが、ジャパンの若い理論物理学者・早漏苔司が〈第5の相互作用〉を提唱している。この新説は物理学界やサイエンスマニアたちの間では少し熱い程度の盛り上がりをしたものの、やはり結局のところ5番目の力は、その存在が否定される運命にあるのだと思い知らされる形で決着した。
だがしかし、そのコモンセンスが今日ようやく打ち破られる。
発端は1週間前、JHKの特別報道番組『穴留朕歩の射精でワリメ妊娠!? 被害者・四里之香織が独白!』に生出演した四里之が、生番組中に産み落とした卵が、これまで知られていた物理法則を塗り替えるような超驚くべき発見をもたらしたのだ。
四里之が産み落とした卵が3日後に孵化し、身長30センチメートルの生き物が誕生した。それの容姿は〈ドクターくすえ〉こと医学博士・独田楠枝が以前ネット上に発表し、週刊淫春、略称〈淫春〉の7月29日号(7月22日発売)にも掲載された特集記事〈ワリメ宇宙人説〉に書いてあったワリメの特徴「女性的な丸みを帯びた女体そのもので、ピンク色に近い肌色の素肌、大きな頭部、ペチャンコな乳房、小さいお臍が丸見え状態で、ピンクと白のストライプ模様をしたショーツを穿いていた」そのものだった。
卵から生まれた謎の生物は取りあえず〈Clitolilith〉と名づけられた。ジャパニーズ表記は〈栗取り栗鼠〉だ。
ちなみに産卵で力尽きて倒れた四里之は、猫の門病院に救急搬送されて一時は危篤状態に陥っていたものの、幸いにして現在では少しずつ回復に向かっていると云う。各種SNSでは同病院で入院療養中の四里之に対して励ましの言葉が多数寄せられている。
なお駄文投稿サイト〈Onaniegram〉にキーワード〈香織ちゃんカムバック〉をつけてメッセージを送ると、抽選で5名に〈香織ちゃんグッズ〉が当たるらしい。賞品は「四里之が身につけているもの」とだけアナウンスされている。そのためネット上で「きっと香織ちゃんの使用ずみパンツに違いない」と期待する声が圧倒的に多いが、逆に「そんなものをプレゼントする国会議員はいない」と云う意見も少なくはない。
それはそうと、四里之が産んだ卵から生まれた〈栗取り栗鼠〉がどのように物理法則を塗り替えるのかを素人に毛が生えた程度の頭でも判るように解説する目的でJHKの教育チャンネルが緊急特番を放送している。
スタジオには第5の相互作用を信じる理論物理学者・早漏苔司が出演して、それがどのようなものか解説している。
『生まれたばかりのクリトリリスの脳波を調べたところ、人類がこれまでに発見したどの素粒子とも異なる未知の粒子が見つかったのです』
『それはどのような粒子ですか?』
『従来の素粒子論でたとえるなら、強い相互作用に関係のある〈パイ中間子〉に似ています。新しく発見した素粒子を、我々は〈ワリメ超中間子〉と名づけました。略称は〈ワリメ超子〉です。このワリメ超子がパイ中間子と大きく異なる点は、原子核分裂を引き起こすときに中性子線など放射能をまったくもって、絶対の絶対に発生させないことです。しかも物理学で超有名なエネルギーと質量と真空中の光速度の関係を表わす方程式〈イー・イコール・エム・シー2乗〉に反して、その800万倍のエネルギーが出ます』
早漏は「E=8000000mc 」と云う方程式が書かれているパネルを掲げる。
『はあそうですか。それは、どのような役に立つのですか?』
『原子力発電とくらべて800万倍ものエネルギーをえられます。そればかりか放射性廃棄物が一切生じません。これぞ真なる夢のクリーンな新エネルギーです!』
『へええぇ~、すっごいですねえ!』
『はあぁい、まさに!』
存在が確認できた〈第5の相互作用〉の持つ無限大とも云える可能性は、ジャパンは元より世界中のネット上・各種マスメディア・経済産業界に超大大盛り上がり天文学的ユニバーサルお祭り開催をもたらすことになるのだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる