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九章「なんと豪華四本立て」
40. 未定(お楽しみに!)
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「ちょっとクリオ!」
「なに? スギナ姉さん」
「アタクシの主役はいつまわってきますの?」
「スギナ姉さん。姉さんいつも忙しくって夜中に帰ってきて寝るだけの毎日じゃないか。だから主役はないんだよ」
「なんですって!」
山林家・次女の杉菜姉さんは、現在三十一歳で独身。情報処理企業のシステム課長だ。某・国立大学の工学部情報工学科卒。今風の言い方だと、いわゆるお一人様の理系女?
ああコワーい、理系年増に睨まれてるよ。
「ね、姉さん。あんまりヒステリックにならない方がいいよ。美容に悪いから」
「お黙り!」
ひぃぃ~~。おおキョワァーい。
でもまあ、アツオ兄さんが三十八歳でまだ係長だから、スギナ姉さんはすごいんだと思う。会社の規模が小さいから課長でもたいしたことありませんわよ、と本人は言ってるけど。
プログラマーからSEを経て、今はプロジェクト管理者とか言うのをやってるんだって。略してPMなんだって。PMって午後のことだよね。だからいつも夜遅いのか? それとも有害な粒子状物質? まあよくわかんないけど。
「あーでもね、そうは言うけど、スギナ姉さんってコンピュータシステムの仕事でしょ。休日も仕事か寝てるか遊びに出てるかで、落花傘先生との接点が一番少ないんだよ」
「でもアツオお兄様だってお仕事忙しいのでしょ」
「アツオ兄さんはさあ、出版社やってる後輩の谷沢さんとよく呑みに行ったりしてるじゃないか」
「そうらしいですわね」
ホントのところは、スギナ姉さんはもう若くないし、おっぱいもさほど大きくはないし、ワラビ姉さんのようなオチャラケもしないし、つまりキャラが立たないんだよね。勃起もしないんだよ。
「それに何よりも先生はコンピュータとか苦手で、あんまそっち方面のテーマでは書けないそうだよ。だから先生の小説で、姉さんの活躍は期待できないと思うよ」
「あの老いぼれジジイ、現代小説を書いているのでしたら、コンピュータの話題についてゆけなくてどうしますの?」
そんなことオレに聞かれても困るんだけど、適当に説得してみよう。
「現代小説ってのはコンピュータの話がなくても、恋愛とか非日常の些細な事件とか日常の魔法とかさ、まあいろいろあるでしょ」
「いろいろ?」
「例えば、姉さんは実は魔法少女だったとか、姉さんがイケメン彼氏を家に連れてくるとか、そんなエピソードなんかがあればねえ」
「うっ……ま、まあそうですわね」
スギナ姉さんに彼氏なんていないんだ。だからそこを突けばいいんだ。でも露骨に「彼氏作れば」とか「早く結婚したら」とか言ってしまうと危険だ。そんなこと言ったら、デコピン三発を頂戴することになってしまう。
こう言うテクニックは三姉妹に挟まれて一人だけの男として無事に生きて行くための知恵なんだ。
「つうことでスギナ姉さんは――」
「ふむ。そこまでだ。クリオ君・スギナさん、もう好いぞ。これ位で二十五枚以上にはなるであろうから。ふぉふぉふぉ」
「え!? な、なんですの先生、アタクシの出番はただの枚数調整のためですの?」
「その通り。クリオ君にはそう話しておいたのだが、聞いておらぬか?」
「クリオ、本当ですの?」
「あっ悪い悪い。オレ言うの忘れてたよ」
この後、オレは結局デコピンを頂戴することになった。四発もだよ。あーあ、女の中の男はかなりつらいよ……。
「なに? スギナ姉さん」
「アタクシの主役はいつまわってきますの?」
「スギナ姉さん。姉さんいつも忙しくって夜中に帰ってきて寝るだけの毎日じゃないか。だから主役はないんだよ」
「なんですって!」
山林家・次女の杉菜姉さんは、現在三十一歳で独身。情報処理企業のシステム課長だ。某・国立大学の工学部情報工学科卒。今風の言い方だと、いわゆるお一人様の理系女?
ああコワーい、理系年増に睨まれてるよ。
「ね、姉さん。あんまりヒステリックにならない方がいいよ。美容に悪いから」
「お黙り!」
ひぃぃ~~。おおキョワァーい。
でもまあ、アツオ兄さんが三十八歳でまだ係長だから、スギナ姉さんはすごいんだと思う。会社の規模が小さいから課長でもたいしたことありませんわよ、と本人は言ってるけど。
プログラマーからSEを経て、今はプロジェクト管理者とか言うのをやってるんだって。略してPMなんだって。PMって午後のことだよね。だからいつも夜遅いのか? それとも有害な粒子状物質? まあよくわかんないけど。
「あーでもね、そうは言うけど、スギナ姉さんってコンピュータシステムの仕事でしょ。休日も仕事か寝てるか遊びに出てるかで、落花傘先生との接点が一番少ないんだよ」
「でもアツオお兄様だってお仕事忙しいのでしょ」
「アツオ兄さんはさあ、出版社やってる後輩の谷沢さんとよく呑みに行ったりしてるじゃないか」
「そうらしいですわね」
ホントのところは、スギナ姉さんはもう若くないし、おっぱいもさほど大きくはないし、ワラビ姉さんのようなオチャラケもしないし、つまりキャラが立たないんだよね。勃起もしないんだよ。
「それに何よりも先生はコンピュータとか苦手で、あんまそっち方面のテーマでは書けないそうだよ。だから先生の小説で、姉さんの活躍は期待できないと思うよ」
「あの老いぼれジジイ、現代小説を書いているのでしたら、コンピュータの話題についてゆけなくてどうしますの?」
そんなことオレに聞かれても困るんだけど、適当に説得してみよう。
「現代小説ってのはコンピュータの話がなくても、恋愛とか非日常の些細な事件とか日常の魔法とかさ、まあいろいろあるでしょ」
「いろいろ?」
「例えば、姉さんは実は魔法少女だったとか、姉さんがイケメン彼氏を家に連れてくるとか、そんなエピソードなんかがあればねえ」
「うっ……ま、まあそうですわね」
スギナ姉さんに彼氏なんていないんだ。だからそこを突けばいいんだ。でも露骨に「彼氏作れば」とか「早く結婚したら」とか言ってしまうと危険だ。そんなこと言ったら、デコピン三発を頂戴することになってしまう。
こう言うテクニックは三姉妹に挟まれて一人だけの男として無事に生きて行くための知恵なんだ。
「つうことでスギナ姉さんは――」
「ふむ。そこまでだ。クリオ君・スギナさん、もう好いぞ。これ位で二十五枚以上にはなるであろうから。ふぉふぉふぉ」
「え!? な、なんですの先生、アタクシの出番はただの枚数調整のためですの?」
「その通り。クリオ君にはそう話しておいたのだが、聞いておらぬか?」
「クリオ、本当ですの?」
「あっ悪い悪い。オレ言うの忘れてたよ」
この後、オレは結局デコピンを頂戴することになった。四発もだよ。あーあ、女の中の男はかなりつらいよ……。
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