多人駁論【たじんばくろん】

紅灯空呼

文字の大きさ
39 / 60
九章「なんと豪華四本立て」

39. ナラオちゃんの失恋

しおりを挟む
 最近、ナラオちゃんの様子がおかしい。
 中学二年生なんだから、まあそんな年頃なんだとは思う。
 でも元気がないのが心配だったんで、叔父としてこのオレが人生相談にのってやることにしたんだ。

「ナラオちゃん、最近元気ないね。どしたの、生理不順?」
「せくはら。うざっ」
「ナラオちゃんのこと心配で心配でさ。ごはん四杯しかいけないんだ」
「もうぼくのことはほうっておいてってば。ゆうか、四杯食べすぎ!」

 うんそうだ。この姪っ子、ぼくっなんだ。
 どうだ萌えるだろ。ニキビもエクボだろ。ここだけの話だけど、ブラもパンツも白なんだぜ。胸はまだ発育途上なんだけどね、まあそれはそれで魅力的だよ。
 つうかオレ的には、機嫌が悪くても、ちゃーんとツッコんでくれるところがたまらないんよ。けけけけ。

「これツインテールにしてみない?」
「もう髪さわんないでよ。あーもー、うざいしくさいしあっちいってよね」

 ああしまった。オレ今日も臭かったんだ……。

「こらクリオ、御主人様から離れるもぉ!」
「おおおっ! なんだシマかよ……久しぶりだな」

 つうか突然出てくるなよ!
 びっくりしたじゃないか。

「拙僧は、お前の顔をなるべく見ないようにしているのぢぁ」
「なんだとぉ! お前リスの癖に生意気だぞ」

 このシマリスは減らず口ばかり叩きやがるんだ。

「お前だっての癖に生意気なもぉ」
「黙れ
「栗、お前がだみゃれもぉ」
「お前うるさいぞリス」
「栗、食ってやるもぉ」
「リス、犬に噛ませるぞぉ」
「ああんもう、はもういいってばっ!」
「もぉ?」
「えっ!?」

 今のは超ファインプレイだったぞぉ。

「ナラオちゃん、も一回言ってみて」
「は? 栗とリスはもういいってばって?」
「そうそう。最初の『ああんもう』をつけて、できればその次の五文字だけをカタカナにして、そして一息に」
「ああんもうクリトリ……て、やだやだぁー、なにいわせてんのよっ! もー信じらんない!! ばかばかへんたいぃー、でてけぇー、どすけべーっ!!」

 いろんなものが豪速球で飛んできたので退散せざるを得なくなってしまった。
 そんだけパワーがあるなら、さほど心配しなくてもいいのだろうか?
 オレとしては、是非とも人生相談にのってあげたかったんだけど、結果的に拒絶されてしまった。もしかして、オレを男として意識してんのかなあ?
 仕方がないので、このまま放っておくことにした。オレって放任主義なんだ。
 翌朝、起きたら普通に勃起していることにオレは気付いた。まあそれはどうでもいい。いつものことだ。
 夜になってキノコに聞いてみることにした。もちろん勃起についてではなく、栗とリスのことでもなく、ナラオちゃんのことだ。

 ――なあキノコ
 ――なにお兄ちゃん
 ――ナラオちゃん、最近悩んでるみたいなんだ。お前何か知らないか
 ――絶対誰にもいわない?
 ――言わない。岩魚に誓って言わない

 キノコがオレの耳元に顔を近づけてきた。他に誰もいないんだけど。
 つうかオレの水産物系ギャクはスルーかよっ。

 ――あのねえ。好きな子に告って撃沈したんだって
 ――ほうそうか。まあそんなところだと思ったよ。でどんな男だったんだ?
 ――ううん女の子よ。一つ年下
 ――そっちかよっ!

 姪っ子でぼくっでポニーテール。ニキビ少々。ブラもパンツも白。
 そんでもって百合ゆり。オレ的には十分ありだ。


「こんな感じでどうですか。落花傘先生」
「ふむ。クリオ君、十分十分。特にシマが出てきた処のナラオちゃんが好かった」
「はい。でも普通あんなドンピシャな発言はしないでしょう。不自然ですよ」
「あいやいや、萌えがあれば全て好いのだ。はははは」
「萌えあって全てよし、めでたい限りですね~」
「ふむ。処で君は好く勃起するのだな」
「はい当然です。先生はどうなんですか?」
「吾輩もだ。処でクリオ君『めでたい』は、どう書くのが本来か知っておるか」

 目でたい? 愛でたい? 雌でたい? 芽でたい?

「目玉の目でしょ。目が飛び出るほど喜ばしいから」
「実は、ラブの意味の愛と云う字を使って『愛でたい』と書くのが本来だ。『いたし』からきておる。目玉の目や発芽の芽を使うのは、当て字と云ってな、本来の漢字の意味に関係なく使っておるだけなのだ」
「先生、まじですか?」
「まじだ。字引きに載っておる。ふぉふぉふぉ」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル

ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。 しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。 甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。 2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。

処理中です...