3 / 7
3.サッちゃん/かごめかごめ/ドッペルゲンガー
しおりを挟む前回までのあらすじ
テーブル・ターニングとやらで所在と電話番号ををサーチ
された。怖い。
ーーーーー
7月12日。
俺は、こいつら3人(幼女、お姉さん、野郎)と出かけていた。正午前の事である。
「暇なので、サッちゃんでも歌いませんかぁー?」
「サッちゃん?」
サッちゃん。国民的かつ有名な童謡。名前だけでも知ってる人は沢山いるだろう。
「別にいいけどな。」
「じゃあ、みんなで合唱するのですぅー♪せーの♪」
「♪さっちゃんはね サチコっていうんだ ほんとはね
だけど ちっちゃいから じぶんのこと サッちゃんって
よぶんだよ おかしいね サッちゃん♪」
久し振りにこんな歌を歌った。何年ぶりだろう。さて、何番まで歌うのだろうか。
「♪サッちゃんはね バナナが大好き ほんとだよ
だけど ちっちゃいから バナナを 半分しか 食べられないの 可哀相ね サッちゃん♪」
「♪サッちゃんがね 遠くへ行っちゃうって ほんとかな だけど ちっちゃいから ぼくのこと 忘れてしまうだろ 寂しいな サッちゃん ♪」
サッちゃんの合唱も終わりだな、と思ったその時。
「♪サッちゃんがね おべべをおいてった ほんとだよ だけどちっちゃいから きっと貰いにこないだろ 悲しいな サッちゃん♪」
ん?4番?サッちゃんに4番なんてあっただろうか。隣を見ると、ヒロシも訝しげな顔をしている。光さんはー、一緒に歌ってたな。
「ちょっとまて、4番なんてあったか?」
(実は、4番を歌うと呪われると言われているのです。)
歌うと呪われる?馬鹿馬鹿しい。ならあの幼女はとっくに死んでるだろ。
(5番も歌うと解かれるとも言われています。)
という事は、5番も存在するのか。会話が終わるのを見計らってか、あの幼女が歌い出した。
「♪サッちゃんはね 線路で足を なくしたよ だから お前の 足を もらいに行くんだよ 今夜だよ サッちゃん♪」
なんて不気味な歌だ。歌う気にもならん。そう思いつつこの幼女の歌はスルーする。
「あ、この話を聞いた人も呪われるそうですよ♪」
えっ。ヒロシもあんぐりと口をあけている。念のため、念のためだ。信じるわけではないが、念のため歌わせてもらおう。
「さ、サッちゃんはねー、線路でーあ、足を失くしたよー、だからお前の足をー、貰いに行くんだよ、今夜だよー、サッちゃん」
歌いたくないな。ヒロシも小声で歌っている。
「ちなみに、このサッちゃんは、病死説、足なし幽霊説など、様々な説があるのですよ。」
「大丈夫、聞きたくないです。ドナドナの方がましです。」
「ですよねー…」
後で調べてみると、線路で轢かれて体が真っ二つになっても、血液が凍ったため、しばらく生き続けて下半身を探していた、という話が出てきた。
本当の話なら、このサチコさんのご冥福をお祈りします。
電車に乗り、浦和についた。
百貨店が見えてきた。あれ、デパートと言っていなかっただろうか。まあ、似ているような物なので気にしないでおく。と、公園を通り過ぎようとした時。
子供達の姿が見えた。
輪っかに丸くなって、1人の子供を囲んでいる。
「♪かーごめ かごめ かーごのなーかのとーりいはー いーつーいーつーでーやあるー よーあーけーのーばーんーにー つーるとかーめがすーべったー うしろのしょーめんだーあれ♪」
地域ごとにも歌詞は多少変わってくる。これは関東圏の歌だ。何という歌だっけ。そう思ったことを勘付いたのか、幼女が語り出した。
「かごめかごめ、ですぅー。妊娠した嫁を姑が突き落としたという事を暗喩した歌。口寄せを暗喩した歌。埋蔵金の在り処を示している説。奇形児を閉じ込めていた事を暗喩している説。色々な説があるのですぅー。でも、私はこの説を信じるのですぅー。」
なんか沢山の説がある事はわかった。
「囚人の死刑説なのですぅー。」
死刑、か。
「かごめかごめは囲め。籠の中の鳥は囚人。いついつ出やるは、いつ解放されるのか。夜明けの晩には夜明けの番人。鶴と亀が滑ったは、凶兆。後ろの正面は、本来ならありえないのですぅー。ですが、体が前を向いていて、頭は後ろを向いていると考えるとどうでしょー。」
首だけ後ろを向いている。捻れたか、斬られて乗せられたか…ん?そうか、そういうことか。
「そう、既に処刑されたのですぅー。そして、誰、わかるのは…処刑担当が誰だったか、ということに他ならないのですぅー。しかも、こんな歌が作られて残されている、という事は…恐らく、この処刑された人物は冤罪、ということではないのでしょうかぁー。」
確かに納得がいく。なるほど。とても残酷な歌だったんだなぁ、と思った。まあ、1つの考えだが。
そんな事があって、百貨店に到着した。店内に入り真っ先に進んでいった2人。途中からヒロシの存在感はなかった。というか見当たらない。途中で帰ったのだろうか。まあ、後回しだ。
数分待たされて。
「買ってきたのですぅー!」
何をだ。
「ロウソク、紙、鉛筆ですよ。」
何に使う。
「これでこっくりさんをやろうと思うのですぅー!」
はぁ、学校で禁止されているんだが。
「そんなこと関係ないのですぅー!、さ、帰るのですぅー!」
「そういえば、ヒロシさんは?」
「わかりません、電話してみます。」
そうして俺は電話をした。3コールで電話に出てくれた。
「もしもし、ツルギです。」
「おお!ツルギか!どうした!」
「お前、いつの間に帰った。」
「俺?俺は一昨日から旅行だぞ?」
一昨日から旅行?どういう事だ。さっきから一緒にいたじゃないか。
「いや、いなかったぞ」
「…わかった、すまん」
電話を切る。
「あいつ、昨日からいたよな?」
「ああ、はい、いました。」
「いたですよぉー。」
だよな。
「でも、一昨日から旅行に行ってたって…」
なぜだ、どういう事だ。
「きっとドッペルゲンガーなのですぅ!これは凄いのですぅー!」
「そういえば、あの人、今日は1回も会話をしていませんね。」
ドッペルゲンガーは会話をしないらしい。
「する場合もあるようですがね。」
昨日の夜は俺と会話した。という事は。
「恐らく両方に当てはまったパターンなのですぅー!」
興奮するな。お前はオカルト版の異空間で神人を作り出す人間か。
「…となると、ドッペルゲンガーにも電話はつながるという事がわかった。」
「まあ、お互いに会っても死なない場合もあるみたいですし、そのタイプだという事を願いましょう。」
そうだな。
ああ見えてもいいやつだ。何事もない事を願おう。
フラグじゃないぞ?
明日も忙しくなりそうだ。夏休みに入ってくれていて助かったと思う。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる