キミの瞳にロウソクを!

キュバン

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3.サッちゃん/かごめかごめ/ドッペルゲンガー

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前回までのあらすじ

テーブル・ターニングとやらで所在と電話番号ををサーチ
された。怖い。

ーーーーー

7月12日。

 俺は、こいつら3人(幼女、お姉さん、野郎)と出かけていた。正午前の事である。
「暇なので、サッちゃんでも歌いませんかぁー?」
「サッちゃん?」
サッちゃん。国民的かつ有名な童謡。名前だけでも知ってる人は沢山いるだろう。
「別にいいけどな。」
「じゃあ、みんなで合唱するのですぅー♪せーの♪」

「♪さっちゃんはね サチコっていうんだ ほんとはね
だけど ちっちゃいから じぶんのこと サッちゃんって
よぶんだよ おかしいね サッちゃん♪」

久し振りにこんな歌を歌った。何年ぶりだろう。さて、何番まで歌うのだろうか。

「♪サッちゃんはね バナナが大好き ほんとだよ 
 だけど ちっちゃいから バナナを 半分しか 食べられないの 可哀相ね サッちゃん♪」

「♪サッちゃんがね 遠くへ行っちゃうって ほんとかな だけど ちっちゃいから ぼくのこと 忘れてしまうだろ 寂しいな サッちゃん ♪」

サッちゃんの合唱も終わりだな、と思ったその時。

「♪サッちゃんがね おべべをおいてった ほんとだよ だけどちっちゃいから きっと貰いにこないだろ 悲しいな サッちゃん♪」

ん?4番?サッちゃんに4番なんてあっただろうか。隣を見ると、ヒロシも訝しげな顔をしている。光さんはー、一緒に歌ってたな。
「ちょっとまて、4番なんてあったか?」
(実は、4番を歌うと呪われると言われているのです。)
歌うと呪われる?馬鹿馬鹿しい。ならあの幼女はとっくに死んでるだろ。
(5番も歌うと解かれるとも言われています。)
という事は、5番も存在するのか。会話が終わるのを見計らってか、あの幼女が歌い出した。

「♪サッちゃんはね 線路で足を なくしたよ だから お前の 足を もらいに行くんだよ 今夜だよ サッちゃん♪」

なんて不気味な歌だ。歌う気にもならん。そう思いつつこの幼女の歌はスルーする。
「あ、この話を聞いた人も呪われるそうですよ♪」
えっ。ヒロシもあんぐりと口をあけている。念のため、念のためだ。信じるわけではないが、念のため歌わせてもらおう。
「さ、サッちゃんはねー、線路でーあ、足を失くしたよー、だからお前の足をー、貰いに行くんだよ、今夜だよー、サッちゃん」
歌いたくないな。ヒロシも小声で歌っている。
「ちなみに、このサッちゃんは、病死説、足なし幽霊説など、様々な説があるのですよ。」
「大丈夫、聞きたくないです。ドナドナの方がましです。」
「ですよねー…」
後で調べてみると、線路で轢かれて体が真っ二つになっても、血液が凍ったため、しばらく生き続けて下半身を探していた、という話が出てきた。
本当の話なら、このサチコさんのご冥福をお祈りします。

電車に乗り、浦和についた。

 百貨店が見えてきた。あれ、デパートと言っていなかっただろうか。まあ、似ているような物なので気にしないでおく。と、公園を通り過ぎようとした時。

子供達の姿が見えた。

輪っかに丸くなって、1人の子供を囲んでいる。

「♪かーごめ かごめ かーごのなーかのとーりいはー いーつーいーつーでーやあるー よーあーけーのーばーんーにー  つーるとかーめがすーべったー うしろのしょーめんだーあれ♪」

地域ごとにも歌詞は多少変わってくる。これは関東圏の歌だ。何という歌だっけ。そう思ったことを勘付いたのか、幼女が語り出した。
「かごめかごめ、ですぅー。妊娠した嫁を姑が突き落としたという事を暗喩した歌。口寄せを暗喩した歌。埋蔵金の在り処を示している説。奇形児を閉じ込めていた事を暗喩している説。色々な説があるのですぅー。でも、私はこの説を信じるのですぅー。」
なんか沢山の説がある事はわかった。
「囚人の死刑説なのですぅー。」
死刑、か。
「かごめかごめは囲め。籠の中の鳥は囚人。いついつ出やるは、いつ解放されるのか。夜明けの晩には夜明けの番人。鶴と亀が滑ったは、凶兆。後ろの正面は、本来ならありえないのですぅー。ですが、体が前を向いていて、頭は後ろを向いていると考えるとどうでしょー。」
首だけ後ろを向いている。捻れたか、斬られて乗せられたか…ん?そうか、そういうことか。
「そう、既に処刑されたのですぅー。そして、誰、わかるのは…処刑担当が誰だったか、ということに他ならないのですぅー。しかも、こんな歌が作られて残されている、という事は…恐らく、この処刑された人物は冤罪、ということではないのでしょうかぁー。」
確かに納得がいく。なるほど。とても残酷な歌だったんだなぁ、と思った。まあ、1つの考えだが。

 そんな事があって、百貨店に到着した。店内に入り真っ先に進んでいった2人。途中からヒロシの存在感はなかった。というか見当たらない。途中で帰ったのだろうか。まあ、後回しだ。

数分待たされて。
「買ってきたのですぅー!」
何をだ。
「ロウソク、紙、鉛筆ですよ。」
何に使う。
「これでこっくりさんをやろうと思うのですぅー!」
はぁ、学校で禁止されているんだが。
「そんなこと関係ないのですぅー!、さ、帰るのですぅー!」
「そういえば、ヒロシさんは?」
「わかりません、電話してみます。」
そうして俺は電話をした。3コールで電話に出てくれた。
「もしもし、ツルギです。」
「おお!ツルギか!どうした!」
「お前、いつの間に帰った。」
「俺?俺は一昨日から旅行だぞ?」
一昨日から旅行?どういう事だ。さっきから一緒にいたじゃないか。
「いや、いなかったぞ」
「…わかった、すまん」
電話を切る。
「あいつ、昨日からいたよな?」
「ああ、はい、いました。」
「いたですよぉー。」
だよな。
「でも、一昨日から旅行に行ってたって…」
なぜだ、どういう事だ。
「きっとドッペルゲンガーなのですぅ!これは凄いのですぅー!」
「そういえば、あの人、今日は1回も会話をしていませんね。」
ドッペルゲンガーは会話をしないらしい。
「する場合もあるようですがね。」
昨日の夜は俺と会話した。という事は。
「恐らく両方に当てはまったパターンなのですぅー!」
興奮するな。お前はオカルト版の異空間で神人を作り出す人間か。
「…となると、ドッペルゲンガーにも電話はつながるという事がわかった。」
「まあ、お互いに会っても死なない場合もあるみたいですし、そのタイプだという事を願いましょう。」
そうだな。
 ああ見えてもいいやつだ。何事もない事を願おう。

フラグじゃないぞ?

明日も忙しくなりそうだ。夏休みに入ってくれていて助かったと思う。
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