俺の装備は拾い物

豪之伸

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51話 ゴシン、戦闘を終わらす

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 俺は抜刀して、ゆっくりと近づいていた。

 生き残ったゴブリン達がキングの前に立ちふさがり、俺と対峙している。
 ストーンバレットの雨を耐え、炎に炙られて満身創痍だが、その士気は一向に衰えていない様だ。流石最後まで残った奴らだ。

 俺は、モカとミサを引き連れゴブリンの壁に歩いていく。そんな俺たちにゴブリンの生き残りのメイジたちが魔法を打ち込んでくる。
 俺はその魔法で、歩みを止めない。モカとミサが飛んでくる魔法をことごとく撃ち落としてくれていた。そのままゴブリンの壁にたどり着いた俺に、ゴブリンどもが殺到する。
 だが、その剣先に俺はいない。躱しているのではなく歩いているだけ。俺の歩法は独特だ、一定の歩幅で歩かない。なので速度が一定じゃない。さらに左右に揺れて、真っ直ぐ歩いてもいない。ゆえに当てられない。そして、ただ歩いていいるだけじゃない、俺は剣を振り当たるが幸いで切りまくってる。で、俺の周りは、ゴブリンが殺到して斬りかかってきてるのに全く倒せず、それなのに半径2m程の死の輪を保ったまま、歩みの速度は止まることなくキングに向かっていた。


 キング達の不運は俺たちがヤマトに来たこと。もし俺たちがヤマトに向かっていなければ、ナオヤ達を助ける事もなかっただろうし、キングの本隊による街攻めも成功したことだろう。
 俺がキングに辿り着くまでに、まだ500ぐらいいたゴブリンも上位種十数人にまでへっていた。最初は、表情も同胞を殺された憎しみと、復讐に燃える強い意思を感じていたが、今は、どんなことをしても勝てないと足を振るわせ、涙目になってる。完全に戦意喪失してはいないが、キングを守らねばってかんじだ。ここだけ見ると弱いもの虐めみたいだな・・なんか白けてきた。

「おい、キング!お前存在進化して、知能も上がってるんだろう?俺の言葉はわかるか?」

「グウッ、ワガル・・ゾレガドウジダ・・・」

「このままお前らを倒すのは簡単だが、今のお前達を見てると殺る気が削がれてきた。キング、お前俺の従魔になるか?なるんだったら殺すのもここまでにしてやる。気がないんなら、このまま全滅な。」



 キングは悩んだ「「なんだこの人間は?」」と。
 これは、情けではない。ただ今の我々を「「見て殺しがいがない」」と言っているのだ。確かにもう腰が引けて、殺される恐怖から涙目だ。ただ勝てない相手でも、我を、キングを守ろうという思いだけで、何とか対峙しているだけだった。
 だから悩む「「なんだコイツは!?」」と。

「ナゼダ!?ナゼゴロザナイ?オバエニ、イイゴドナドビドズモナイノニ!?」

「聞きずらいな・・さっきも言ったが、殺る気が失せた。だが野放しにも出来ん。このまま殺るのは簡単だがそれじゃ芸がない。だから・・ちょっとした実験も兼ねてる。戦い始めた時点では無理だったろうが、今なら王種でも従魔に出来るんじゃないか?ってな。あと、従魔になったら今より確実に強くなれるぞ。お前の配下もお前に引っ張られる形で強くなると思うし。」



 実験だと!?益々わからん。だがゴブリンである我に、人種の考えなど解らんで当然か・・配下に武装解除させた。我の話を聞き、最初は驚いていたが、死なずに済むと理解したら皆その場に座り込んだ。

「オマエノ、イヤ・・アナダノデイアンヲウゲイレダイ。」

「よし。ならこのイヤーカフスを耳に着けろ。で、俺が問うから答えろ・・・従魔になると。」

 我は、渡されたちいさな人種サイズのイヤーカフスを耳にあてがった・・・するとサイズが大きくなり我の耳にちょうどはまるサイズになると、違和感なくはまった。

「ところで、お前の名は?」

「ワレニナマエバナイ・・・アナダノナバエヲオジエデボジイ。」

「俺の名はゴシン。今日からお前の主人になる。・・お前は・・ゼノ・・お前は今日から [[ゼノ]] を名乗れ。ゼノ俺に従うか?」

「ゼノ・・ワガナバ [[ゼノ]] 。ワレバ、ゴジンノジュウマドナリジュウゼイヲジガオウ。」

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