婚約破棄されたわんぱく令嬢は、没落貴族に溺愛される

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27話 陞爵

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 その日初めて私たちは身体を重ねた。
 初めての経験で胸がドキドキとずっとうるさかったけど、大好きなルイスと繋がれて本当に幸せだった。

 
 そしてあっという間に時間が過ぎた。
 予定していた学校も完成した。
 最初は私と、ルイスの姉のジェシカさんの二人で先生をしていたがどんどん評判が広がり、在籍している子供たちの数が増えたので教師も増えていった。

 慣れないことが多く、大変な毎日だけど子供たちとその家族が笑顔で過ごしてくれているのを見ると心から嬉しい。


 「サラ、準備はできたかい?」
 「ええ。今降りるわっ!」

  玄関にいるルイスの問いかけに大きな声で答える。

 「動きづらい…」
  「ふふ、でも大切な日ですから今日はおめかししてください。」
  クレアが結ってくれたばかりの髪が乱れないよう、玄関へ向かった。

 「お待たせ、行きましょう。」
 差し伸べたルイスの手を取り、馬車に向かった。



 「緊張してきたよ…」
 馬車の中で、はあとルイスがため息をつく。
 「大丈夫よ、堂々としてれば。」

  今日は女王陛下からのお呼ばれだ。
 私たちの学校建設の活動は多くの人の耳に入り、どんどんと規模が大きくなっていった。
 増える子供の数に校舎の増築が間に合わず困っていたところ、陛下が国を挙げて協力したいと仰ってくれた。
 そして同時にジェラルド家が子爵から公爵へと陞爵しょうしゃくすることになったのだ。
 
 しばらく馬車に揺られていると、目的地に着いた。
 「女王陛下の前で失礼のないようにしないと。」
 そう言って緊張した面持ちで中へ入っていくルイスのあとをついて行った。



◇◇◇

 「疲れたあ…」

 屋敷に帰るとルイスはすぐにソファに座り込んだ。
 「はしたないですよ、旦那様。」
 ルイスの脱いだ服を慌ただしくクレアが片付ける。
 「許してあげて、今日だいぶ緊張してたみたいだから。」
 私の言葉にしょうがないですね、とため息をついてクレアは部屋を出ていった。
 
 「それにしても、本当に良かったよ。」
  「そうね。これで国中の子供達に必要な教育が行き届けばいいんだけど。」

  私たちの活動を国中に広めたいという陛下のお心から、国内にいくつか学校を建てることになった。
 「まあ、しばらく忙しくなるかもしれないね。」
 困り顔で、でもどこか嬉しそうにルイスが笑う。
 校長は依然変わりなくルイスなので、きっと国中を行き来しないといけなくなるだろう。

 「無理しないでね?」
 「大丈夫、公爵なんだからこれくらいしないと。」
 ドンっと誇らしげにルイスが自身の胸を叩く。

 「おめでとうルイス。」
 ルイスの陞爵をねぎらう。
 「これで、サラも公爵夫人だよ。もう社交界でも馬鹿にされない。」
 「そうね。でも今までそんなこと気にしたことなかったわよ。」
 「サラらしいね。」

 にこりと笑ってルイスはカップに手をかける。
 「サラがいたからだよ。誠実で凛としてる君だからここまで出来たんだ。」
 ルイスの言葉がなんだか照れ臭かった。

 「そんなことないわ、私の言葉にちゃんと耳を傾けてくれたルイスだから、よ。」
 ルイスの方まで照れくさそうに頭をかいている。
 
 ルイスだから私のしたいことを尊重してくれたんだ。

 そう思うと目の前のルイスがますます愛しくなった。






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