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「俺にくれよ。」
あの日から何度も高橋さんの声を反芻している。
優しくて。
頼りになって。
だけどいまいち決まらない所が可愛くて。
大好きな一花さんの為なら、何でもできちゃう人。
その高橋さんが、あの日私の為に泣いてくれた。
最初は格好良くヒーローみたいに現れたのに、最後には涙と鼻水垂らして懇願していた。
その姿のあまりの愛おしさに心を打たれ、私は素直になることにした。
高橋さんが一花さんを想っている以上、私の想いが成就することはない。
それでも、自分の気持ちを無いことにするのは止める。
高橋さんに気持ちがバレても良い。
拒絶されない限りは、妹扱いだろうが、子供扱いだろうが、構わず引っ付いていく。
金曜日の夕方。
休憩室でユナちゃんと話していると、シフトに入っていない筈の仲宗根さんと日菜子さんが部屋に入ってきた。
「あれ?お二方、今日はどうしたんですか?」
ユナちゃんが訊ねると日菜子さんは楽しそうに答える。
「今日これから果歩と高橋さんとご飯行く予定だったんだけど、果歩が高橋さんに話があるから二人にしてってメールしてきてさ。だから誰か代わりに私達とご飯してくれる人探しに来たんだー。」
ドキッと心臓が鳴る。
高橋さんが果歩ちゃんと二人きり?
聴覚から入った情報に、頭が追いついてこない。
「果歩ちゃんってまだ高橋のこと好きなのかな?」
仲宗根さんはサラッととんでもない爆弾を投下し、私に追い討ちをかけてくる。
果歩ちゃんって高橋さんのこと好きなんだ。
ギューッと胸が苦しい。
「ユナはまだ高校生だから夜は無理だし…。汐ちゃん、仕事終わったらご飯行かない?」
私の想いを知らない日菜子さんは暢気に誘ってくる。
「あー、えっと…。」
予定はない。
断る理由もない。
だけど…。
気が散ってそれどころじゃない。
「今日は…止めておきます。」
寮に帰って一人で悶々とするよりも、誘いに乗ってご飯に行った方が有意義に過ごせるんじゃないかとも思う。
それでも、とてもそんな気分になれない。
「そっか…。じゃあ他当たるね。」
そう言って別の人に声を掛けに行く二人の背中を呆然と見送る。
「あー、それでかぁ!」
突然、ユナちゃんが閃いた顔で声を上げた。
「昨日、果歩さんが『明日デートだから勝負下着買った。』って言ってたんだけど、このことだったんだー!」
勝負下着?
果歩ちゃん、そこまで本気なんだ。
嫌だな。
高橋さんが一花さんを想い続けている限りは、誰かのモノになってしまう恐れはないって勝手に安心していた。
だけど、いくら今は一途な高橋さんだって、寄ってきた中から素敵な人を見付けたら、その人を選んでしまうかもしれないのに。
こんな当たり前のこと、何で今まで考えなかったんだろう。
「汐さん。いいの~?」
「へ?」
唐突に問い掛けられ、素っ頓狂な声が出た。
「前に高橋さんのこと、好きとかそんなんじゃないって言ってたけど、本当にいいの~?」
良くない。
今、明確にそう思った。
私、全然良くないって思ってる。
途端にいてもたってもいられない気持ちになる。
「今日、高橋さんのところ行くわ。」
意識する前に決意表明が口から零れた。
「おひょ?」
ユナちゃんが心底楽しそうに笑って奇声を発している。
ランランと輝かせた目を見開いて、期待に満ちた視線を向けてくる。
「あー、もう、絶対行く。…勝負下着じゃないけど。」
「はひゃ!」
気合いを入れる私に、ユナちゃんは益々テンションを上げ、再び奇声を発した。
そして「ユナは汐さんの味方だよ。」と笑顔で言うと、テーブル越しに抱きついてきた。
ありがとう、ユナちゃん。
今日はノーマルな下着だけど、私、勝負掛けてくる。
20時半の帰り道。
高橋さんの家へ向かう。
いつも一緒に帰る時、高橋さんは自分の住むマンションの前を通り過ぎて、その先にある寮まで私を送ってくれる。
だから場所はもともと知っていた。
それに、いつか通り過ぎた時に「俺の部屋、ここの4階なんだ。」って言っていたので、階数も把握済みだ。
マンションの正面玄関で立ち止まり、最後の気合いを入れる。
取り敢えず、オートロックのないマンションで良かった。
正面玄関を入って直ぐ右にある、郵便受けを確認する。
408号室に『高橋』の表記を見つけた。
私はエレベーターを通り過ぎ、何となく階段を選んで、目的地へ向かう。
ゆっくり登りながら気持ちを落ち着かせよう。
気がはやり、今にも走り出しそうな身体をグッと理性で抑え、一歩一歩階段を踏みしめる。
私が今していることって、ストーカーじゃない?
家に行って、高橋さんが果歩ちゃんと一緒だったらどうしよう。
その二つの考えが急に頭を過ぎり、不安に苛まれる。
結局、抑えきれずに残りの階段は駆け足で登った。
『408』
インターホンのボタンを押す。
ピンポーン ピンポーンと2回呼出音が鳴った。
暫く待つも、反応はない。
多分、まだ帰ってきていない。
果歩ちゃんと二人で家にいるパターンは回避された。
少しホッとして、玄関扉に背をもたれさせて、深く息を吐く。
スマホで時間を確認する。
20:47。
今、高橋さんは果歩ちゃんと二人でいるのだろうか。
果歩ちゃんと一緒に帰ってきたらどうしよう。
むしろ今日帰ってこなかったらどうしよう。
そしてやっぱり、これってストーカーじゃない?
普通にメールして会う約束すれば良かった。
ヤバい。
後悔が押し寄せてきて死にたくなってきた…。
今日のところは帰ろうかと、寄りかかっていた扉から背を離し身を立てた時。
「え…。」
微かに声がした。
「汐?」
廊下の先で高橋さんが驚いた顔をして立ち尽くしている。
高橋さんが帰ってきた。
一人で。
嬉しい。
でもビックリしてる。
迷惑だったかな?
怖いって思われたかな?
仕事後に慌てて来たけど、私汚くないかな?
やっぱり高橋さん格好良いな。
一瞬にして色々な想いが脳内を駆け巡った。
会えた喜びで、だらしなく緩む顔を何とか整える。
「高橋さん、おかえりなさい。」
「汐、どうした?何かあったのか?」
驚きの顔を今度は心配気な表情に変え、高橋さんはこちらに早足で移動してきた。
早く言いたい。
ずっと一緒に居て欲しいって。
一花さんの代わりでも良いから、他の子じゃなくて私を傍に置いて欲しいって。
「高橋さん、私…」
「うわっ。めちゃくちゃ冷えてんじゃねぇか。」
目の前まで来た高橋さんが、私の頬に触れながら言った。
「今、開けるからな。」
そして、片手でドアノブを握り、もう片手でガサゴソとコートのポケットを漁ると、チャリッと音を立てて、いくつかの鍵の束を取り出した。
パサッ
鍵に釣られ、ポケットから足元に何か落ちた。
高橋さんは気付いていない。
しゃがんで拾い上げる。
それはコンドームだった。
「え…。」
果歩ちゃんと使うつもりだった?
それとも使った残り?
ガッチャンッと鍵が開けられた音。
「汐、どうした?」
しゃがみ込んだままの私を気遣う高橋さん。
咄嗟に拾ったゴムを自分のコートのポケットに突っ込んだ。
立ち上がり高橋さんの目を見る。
言える立場にないからと、グッと飲み込んでいた感情が、ぶわっと噴出してくる。
まだ一花さんのこと好きな癖に。
一途な人になったんじゃないの?
付き合っている子以外とは二人きりにならないって言ってたのに。
果歩ちゃんのこと好きなの?
それとも一花さん以外は誰でも良いの?
それなら、私でも…。
私の想いを何も知らない高橋さんは、優しい顔で扉を押さえ、中に入る様促してくる。
こっちの気も知らないで、無防備な笑顔に腹が立った。
「高橋さんっていつも、私がどんなに酷い態度とっても怒らないし、どれだけ甘えても望む通りにしてくれてますよね?」
「え?」
グッと肩を掴んで無理やり屈ませる。
状況を飲み込めず意味の無い声を出す高橋さんの顔に、自分の顔をグッと寄せ囁く。
「これから私がすることもいつもみたいに受け入れて下さいね?」
固まる高橋さんを玄関の中に押し込み、私は後ろ手に扉を閉めた。
あの日から何度も高橋さんの声を反芻している。
優しくて。
頼りになって。
だけどいまいち決まらない所が可愛くて。
大好きな一花さんの為なら、何でもできちゃう人。
その高橋さんが、あの日私の為に泣いてくれた。
最初は格好良くヒーローみたいに現れたのに、最後には涙と鼻水垂らして懇願していた。
その姿のあまりの愛おしさに心を打たれ、私は素直になることにした。
高橋さんが一花さんを想っている以上、私の想いが成就することはない。
それでも、自分の気持ちを無いことにするのは止める。
高橋さんに気持ちがバレても良い。
拒絶されない限りは、妹扱いだろうが、子供扱いだろうが、構わず引っ付いていく。
金曜日の夕方。
休憩室でユナちゃんと話していると、シフトに入っていない筈の仲宗根さんと日菜子さんが部屋に入ってきた。
「あれ?お二方、今日はどうしたんですか?」
ユナちゃんが訊ねると日菜子さんは楽しそうに答える。
「今日これから果歩と高橋さんとご飯行く予定だったんだけど、果歩が高橋さんに話があるから二人にしてってメールしてきてさ。だから誰か代わりに私達とご飯してくれる人探しに来たんだー。」
ドキッと心臓が鳴る。
高橋さんが果歩ちゃんと二人きり?
聴覚から入った情報に、頭が追いついてこない。
「果歩ちゃんってまだ高橋のこと好きなのかな?」
仲宗根さんはサラッととんでもない爆弾を投下し、私に追い討ちをかけてくる。
果歩ちゃんって高橋さんのこと好きなんだ。
ギューッと胸が苦しい。
「ユナはまだ高校生だから夜は無理だし…。汐ちゃん、仕事終わったらご飯行かない?」
私の想いを知らない日菜子さんは暢気に誘ってくる。
「あー、えっと…。」
予定はない。
断る理由もない。
だけど…。
気が散ってそれどころじゃない。
「今日は…止めておきます。」
寮に帰って一人で悶々とするよりも、誘いに乗ってご飯に行った方が有意義に過ごせるんじゃないかとも思う。
それでも、とてもそんな気分になれない。
「そっか…。じゃあ他当たるね。」
そう言って別の人に声を掛けに行く二人の背中を呆然と見送る。
「あー、それでかぁ!」
突然、ユナちゃんが閃いた顔で声を上げた。
「昨日、果歩さんが『明日デートだから勝負下着買った。』って言ってたんだけど、このことだったんだー!」
勝負下着?
果歩ちゃん、そこまで本気なんだ。
嫌だな。
高橋さんが一花さんを想い続けている限りは、誰かのモノになってしまう恐れはないって勝手に安心していた。
だけど、いくら今は一途な高橋さんだって、寄ってきた中から素敵な人を見付けたら、その人を選んでしまうかもしれないのに。
こんな当たり前のこと、何で今まで考えなかったんだろう。
「汐さん。いいの~?」
「へ?」
唐突に問い掛けられ、素っ頓狂な声が出た。
「前に高橋さんのこと、好きとかそんなんじゃないって言ってたけど、本当にいいの~?」
良くない。
今、明確にそう思った。
私、全然良くないって思ってる。
途端にいてもたってもいられない気持ちになる。
「今日、高橋さんのところ行くわ。」
意識する前に決意表明が口から零れた。
「おひょ?」
ユナちゃんが心底楽しそうに笑って奇声を発している。
ランランと輝かせた目を見開いて、期待に満ちた視線を向けてくる。
「あー、もう、絶対行く。…勝負下着じゃないけど。」
「はひゃ!」
気合いを入れる私に、ユナちゃんは益々テンションを上げ、再び奇声を発した。
そして「ユナは汐さんの味方だよ。」と笑顔で言うと、テーブル越しに抱きついてきた。
ありがとう、ユナちゃん。
今日はノーマルな下着だけど、私、勝負掛けてくる。
20時半の帰り道。
高橋さんの家へ向かう。
いつも一緒に帰る時、高橋さんは自分の住むマンションの前を通り過ぎて、その先にある寮まで私を送ってくれる。
だから場所はもともと知っていた。
それに、いつか通り過ぎた時に「俺の部屋、ここの4階なんだ。」って言っていたので、階数も把握済みだ。
マンションの正面玄関で立ち止まり、最後の気合いを入れる。
取り敢えず、オートロックのないマンションで良かった。
正面玄関を入って直ぐ右にある、郵便受けを確認する。
408号室に『高橋』の表記を見つけた。
私はエレベーターを通り過ぎ、何となく階段を選んで、目的地へ向かう。
ゆっくり登りながら気持ちを落ち着かせよう。
気がはやり、今にも走り出しそうな身体をグッと理性で抑え、一歩一歩階段を踏みしめる。
私が今していることって、ストーカーじゃない?
家に行って、高橋さんが果歩ちゃんと一緒だったらどうしよう。
その二つの考えが急に頭を過ぎり、不安に苛まれる。
結局、抑えきれずに残りの階段は駆け足で登った。
『408』
インターホンのボタンを押す。
ピンポーン ピンポーンと2回呼出音が鳴った。
暫く待つも、反応はない。
多分、まだ帰ってきていない。
果歩ちゃんと二人で家にいるパターンは回避された。
少しホッとして、玄関扉に背をもたれさせて、深く息を吐く。
スマホで時間を確認する。
20:47。
今、高橋さんは果歩ちゃんと二人でいるのだろうか。
果歩ちゃんと一緒に帰ってきたらどうしよう。
むしろ今日帰ってこなかったらどうしよう。
そしてやっぱり、これってストーカーじゃない?
普通にメールして会う約束すれば良かった。
ヤバい。
後悔が押し寄せてきて死にたくなってきた…。
今日のところは帰ろうかと、寄りかかっていた扉から背を離し身を立てた時。
「え…。」
微かに声がした。
「汐?」
廊下の先で高橋さんが驚いた顔をして立ち尽くしている。
高橋さんが帰ってきた。
一人で。
嬉しい。
でもビックリしてる。
迷惑だったかな?
怖いって思われたかな?
仕事後に慌てて来たけど、私汚くないかな?
やっぱり高橋さん格好良いな。
一瞬にして色々な想いが脳内を駆け巡った。
会えた喜びで、だらしなく緩む顔を何とか整える。
「高橋さん、おかえりなさい。」
「汐、どうした?何かあったのか?」
驚きの顔を今度は心配気な表情に変え、高橋さんはこちらに早足で移動してきた。
早く言いたい。
ずっと一緒に居て欲しいって。
一花さんの代わりでも良いから、他の子じゃなくて私を傍に置いて欲しいって。
「高橋さん、私…」
「うわっ。めちゃくちゃ冷えてんじゃねぇか。」
目の前まで来た高橋さんが、私の頬に触れながら言った。
「今、開けるからな。」
そして、片手でドアノブを握り、もう片手でガサゴソとコートのポケットを漁ると、チャリッと音を立てて、いくつかの鍵の束を取り出した。
パサッ
鍵に釣られ、ポケットから足元に何か落ちた。
高橋さんは気付いていない。
しゃがんで拾い上げる。
それはコンドームだった。
「え…。」
果歩ちゃんと使うつもりだった?
それとも使った残り?
ガッチャンッと鍵が開けられた音。
「汐、どうした?」
しゃがみ込んだままの私を気遣う高橋さん。
咄嗟に拾ったゴムを自分のコートのポケットに突っ込んだ。
立ち上がり高橋さんの目を見る。
言える立場にないからと、グッと飲み込んでいた感情が、ぶわっと噴出してくる。
まだ一花さんのこと好きな癖に。
一途な人になったんじゃないの?
付き合っている子以外とは二人きりにならないって言ってたのに。
果歩ちゃんのこと好きなの?
それとも一花さん以外は誰でも良いの?
それなら、私でも…。
私の想いを何も知らない高橋さんは、優しい顔で扉を押さえ、中に入る様促してくる。
こっちの気も知らないで、無防備な笑顔に腹が立った。
「高橋さんっていつも、私がどんなに酷い態度とっても怒らないし、どれだけ甘えても望む通りにしてくれてますよね?」
「え?」
グッと肩を掴んで無理やり屈ませる。
状況を飲み込めず意味の無い声を出す高橋さんの顔に、自分の顔をグッと寄せ囁く。
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