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夢占(壱)
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阿鼻叫喚、地獄絵図。
次はそれを見せられるのかと思ったところで、ふっと明るくなった。体にまとわりつく重さもない。
秋の長い夜の暗闇から、昼間の明るさ。
(これは?)
静寂の中に、鳥の囀り。
周雅は自分が目を閉じていると知った。
そっと瞼を動かしてみた。瞼は自分の意思で思うように動く。
「うっ!」
眩しくて、せっかく開けた瞼をまた瞑った。
両瞼を両手で覆って。その手の中で、そろりそろり、恐る恐るの体で開けてみる。手の中でも、光を感じる。
その手をじっくり徐々に徐々に離して行くと、眩しさに、辺りが碧がかって見えた。次第に目が光に慣れていく。
秋風が一つ、その光の熱を飛ばしてくれた。
「これは」
周雅は目を開けることができた。見回せば、師の政任の屋敷の庭である。彼は、我が身が朽ちかけた泉殿の欄干に寄りかかっていると知った。
景色はいつもと変わりなく。仙界でもなければ蓬莱でもない。邪悪な気配も巨大な双眼もなかった。
空気が軽ろやかで、風は爽やかで。いつもと変わらない空気だ。
(戻ってきたのか)
幻想から戻ったばかりではない。この異界に紛れていた政任宅自体が、現に戻ってきたのだ。
(よかった)
そう思った時、
「若君」
と、草陰から呼ばれた。
聞き覚えのある声で、ほっとして振り返ると、兄弟子の広仲である。
「一晩経ってしまった。時間がかかってしまって……」
広仲は草陰から出てきて、苦笑いを浮かべた。
(一晩?すると、今日はもう八月十六日か?私は家にも帰らず、一晩じゅうこの庭にいたのだろうか?)
両親も家の者もさぞ心配しているだろう。周雅は青くなった。
広仲は壊れた渡殿に周雅を誘った。その床の上に、二人並んで座る。広仲の美しい顔には憔悴が見てとれた。どこまで行ってきたのだろう、随分疲れているようである。
「師の君は見つかったのでしょうか?」
突然逐電した師の政任を、探しに出かけた兄弟子。あてもなく探して、師を見つけることなどできたとは思えない。
「ええ、お会いすることはできました」
「えっ、本当ですか?よく見つけられましたね」
「確かに」
広仲はまた苦笑する。
「我ながら、大した勘です」
やみくもに探して、それで偶然見つけることができたというのだろうか。
「でも、お会いすることはできても、連れ戻すことはできませんでした。師の君のご決意は相当なものです。どう頑張っても、連れ戻すことは不可能です」
「そんな……」
兄弟子はともかく、まだ若い周雅や清花の姫君には、師の教えがなければ、困ってしまう。師がいなくて、これから先、どうやって琴を学べばよいのか。
(私の琴の道は絶たれてしまったのか。私はこの道でひとかどの奏者にはなれない、私は大成できない……)
広仲は偽りではなく、本心から言った。
「御身ならば、もう大丈夫です。師の君が、教えるべきことはしっかりと教えて行かれました。御身がお一人でもやって行けるように──。あとは御身の努力次第ですよ。御身は努力なされば、もう師の君のお力に頼らなくても大丈夫なまでに、実力をつけられたのです。能力もあります」
「そのようなこと……いつも叱られて、師の君の仰有ることは難しくて。自分のものにできないどころか、仰有ることさえなかなか理解できないのに……」
広仲はやさしく微笑み、首をそっと左右に振った。
「師の君には七人の弟子がおわしましたが、一番に目をかけておられたのが御身です。五日に一度の頻度で稽古をつけていた弟子など、御身くらいですよ。可愛い御身を、師の君がお見捨てになるわけがないではありませんか。師の君が、教えるべきことは全て教えた、御身はもうお一人でもやって行ける、大丈夫だと思われたから、ご出家なさるんですよ」
「……」
「ご自分を信じられませんか?」
「……はい」
「それは困りました。師の君を信じていないということになりますね」
「そんなこと!」
周雅が顔を上げると、広仲はやわらかな表情で、だが瞳は厳しさをたたえていた。
「師の君が若君はもう大丈夫と判断なさった。師の君のご判断をお信じ下さい」
「……はい」
返事をしたが、とても納得できるものではなかった。とにかく、政任の逐電の理由が知りたい。周雅は話題を変えた。
「……師の君は怪僧の生き霊に騙されて、ご出家なさることに決められたと……」
家司がそう言っていたが、周雅もそうだと思う。
この屋敷を覆っていた邪悪な気配。巨大な目。あれがそうなのではないかと周雅は思う。
「縦目阿闍梨の御教えを受けてのことであるとは、仰せでしたね。ですが、騙されてということではないようです。師の君は阿闍梨の御教えを受けて、さらに琴を極めるためにご出家なさるようですから」
「琴を極めるために?」
縦目阿闍梨の名が出てきたことが、何やら引っ掛かるが、周雅は師の出家の理由について聞き返した。
「琴によって、大楽を得るため。琴を弾いて、大日如来、宇宙、森羅万象と一つになるために、仏の道も極めてみるのだとか。大日如来と一つになった時の恍惚、忘我陶酔とした状態を大楽と申すのだとかで、これは僧侶が日々修行をして得られた解脱の状態だそうです。実際に解脱してみれば、琴を弾いた時にも解脱できるのではないかと。そう思われたそうです。琴で解脱するために、仏の道を極めて疑似体験しようということらしいです。そのようなご決意でのご発心、お止めして連れ戻すなんて、不可能ですよ」
琴を弾いて、あまりに興が乗って、恍惚と陶酔することはある。それと、どこか違うのだろうか。
(解脱か……陶酔の、もっと過ぎたもの、極まった境地なのだろうか……)
宇宙と一つになる琴。果てしない境地である。周雅がどう考えてみても、一生至ることのできない境地と思われた。いや、周雅だけではない、誰しもがである。
「我々は『広陵止息』伝授の儀をもって灌頂と申しますが、灌頂とは密教の言葉の借用に他なりませぬ。まことの灌頂とは、宇宙と一つになれたこと、即身成仏できたこと、すなわち解脱できたことを申すのです。琴で解脱できなければ、まことの灌頂とは申せまいと、師の君は縦目阿闍梨のご指摘を受けて、いかにもその通りだと思われたのだそうです」
「……はあ。なるほど、そこまで極めるためにとお覚悟のご出家ならば、確かにお引き止めすることはできませんね。深山に籠られる師の君の琴道を、弟子としてむしろ誇りに思い、送り出して差し上げなければ」
「ええ、ですから私も『陽関三畳』を吟じて、お見送りして参ったのです。今後は若君、御身と二人でこの琴門を引っ張って行かなければなりませんよ。幼い姫君をもり立て、二人で頑張って参りましょう」
すでに覚悟を決めている広仲。周雅も身を研ぎ澄ました。
周雅の覚悟を見ると、広仲は前を向き、琴道を歩む者として、宝物の管理にさっそくとりかかった。
次はそれを見せられるのかと思ったところで、ふっと明るくなった。体にまとわりつく重さもない。
秋の長い夜の暗闇から、昼間の明るさ。
(これは?)
静寂の中に、鳥の囀り。
周雅は自分が目を閉じていると知った。
そっと瞼を動かしてみた。瞼は自分の意思で思うように動く。
「うっ!」
眩しくて、せっかく開けた瞼をまた瞑った。
両瞼を両手で覆って。その手の中で、そろりそろり、恐る恐るの体で開けてみる。手の中でも、光を感じる。
その手をじっくり徐々に徐々に離して行くと、眩しさに、辺りが碧がかって見えた。次第に目が光に慣れていく。
秋風が一つ、その光の熱を飛ばしてくれた。
「これは」
周雅は目を開けることができた。見回せば、師の政任の屋敷の庭である。彼は、我が身が朽ちかけた泉殿の欄干に寄りかかっていると知った。
景色はいつもと変わりなく。仙界でもなければ蓬莱でもない。邪悪な気配も巨大な双眼もなかった。
空気が軽ろやかで、風は爽やかで。いつもと変わらない空気だ。
(戻ってきたのか)
幻想から戻ったばかりではない。この異界に紛れていた政任宅自体が、現に戻ってきたのだ。
(よかった)
そう思った時、
「若君」
と、草陰から呼ばれた。
聞き覚えのある声で、ほっとして振り返ると、兄弟子の広仲である。
「一晩経ってしまった。時間がかかってしまって……」
広仲は草陰から出てきて、苦笑いを浮かべた。
(一晩?すると、今日はもう八月十六日か?私は家にも帰らず、一晩じゅうこの庭にいたのだろうか?)
両親も家の者もさぞ心配しているだろう。周雅は青くなった。
広仲は壊れた渡殿に周雅を誘った。その床の上に、二人並んで座る。広仲の美しい顔には憔悴が見てとれた。どこまで行ってきたのだろう、随分疲れているようである。
「師の君は見つかったのでしょうか?」
突然逐電した師の政任を、探しに出かけた兄弟子。あてもなく探して、師を見つけることなどできたとは思えない。
「ええ、お会いすることはできました」
「えっ、本当ですか?よく見つけられましたね」
「確かに」
広仲はまた苦笑する。
「我ながら、大した勘です」
やみくもに探して、それで偶然見つけることができたというのだろうか。
「でも、お会いすることはできても、連れ戻すことはできませんでした。師の君のご決意は相当なものです。どう頑張っても、連れ戻すことは不可能です」
「そんな……」
兄弟子はともかく、まだ若い周雅や清花の姫君には、師の教えがなければ、困ってしまう。師がいなくて、これから先、どうやって琴を学べばよいのか。
(私の琴の道は絶たれてしまったのか。私はこの道でひとかどの奏者にはなれない、私は大成できない……)
広仲は偽りではなく、本心から言った。
「御身ならば、もう大丈夫です。師の君が、教えるべきことはしっかりと教えて行かれました。御身がお一人でもやって行けるように──。あとは御身の努力次第ですよ。御身は努力なされば、もう師の君のお力に頼らなくても大丈夫なまでに、実力をつけられたのです。能力もあります」
「そのようなこと……いつも叱られて、師の君の仰有ることは難しくて。自分のものにできないどころか、仰有ることさえなかなか理解できないのに……」
広仲はやさしく微笑み、首をそっと左右に振った。
「師の君には七人の弟子がおわしましたが、一番に目をかけておられたのが御身です。五日に一度の頻度で稽古をつけていた弟子など、御身くらいですよ。可愛い御身を、師の君がお見捨てになるわけがないではありませんか。師の君が、教えるべきことは全て教えた、御身はもうお一人でもやって行ける、大丈夫だと思われたから、ご出家なさるんですよ」
「……」
「ご自分を信じられませんか?」
「……はい」
「それは困りました。師の君を信じていないということになりますね」
「そんなこと!」
周雅が顔を上げると、広仲はやわらかな表情で、だが瞳は厳しさをたたえていた。
「師の君が若君はもう大丈夫と判断なさった。師の君のご判断をお信じ下さい」
「……はい」
返事をしたが、とても納得できるものではなかった。とにかく、政任の逐電の理由が知りたい。周雅は話題を変えた。
「……師の君は怪僧の生き霊に騙されて、ご出家なさることに決められたと……」
家司がそう言っていたが、周雅もそうだと思う。
この屋敷を覆っていた邪悪な気配。巨大な目。あれがそうなのではないかと周雅は思う。
「縦目阿闍梨の御教えを受けてのことであるとは、仰せでしたね。ですが、騙されてということではないようです。師の君は阿闍梨の御教えを受けて、さらに琴を極めるためにご出家なさるようですから」
「琴を極めるために?」
縦目阿闍梨の名が出てきたことが、何やら引っ掛かるが、周雅は師の出家の理由について聞き返した。
「琴によって、大楽を得るため。琴を弾いて、大日如来、宇宙、森羅万象と一つになるために、仏の道も極めてみるのだとか。大日如来と一つになった時の恍惚、忘我陶酔とした状態を大楽と申すのだとかで、これは僧侶が日々修行をして得られた解脱の状態だそうです。実際に解脱してみれば、琴を弾いた時にも解脱できるのではないかと。そう思われたそうです。琴で解脱するために、仏の道を極めて疑似体験しようということらしいです。そのようなご決意でのご発心、お止めして連れ戻すなんて、不可能ですよ」
琴を弾いて、あまりに興が乗って、恍惚と陶酔することはある。それと、どこか違うのだろうか。
(解脱か……陶酔の、もっと過ぎたもの、極まった境地なのだろうか……)
宇宙と一つになる琴。果てしない境地である。周雅がどう考えてみても、一生至ることのできない境地と思われた。いや、周雅だけではない、誰しもがである。
「我々は『広陵止息』伝授の儀をもって灌頂と申しますが、灌頂とは密教の言葉の借用に他なりませぬ。まことの灌頂とは、宇宙と一つになれたこと、即身成仏できたこと、すなわち解脱できたことを申すのです。琴で解脱できなければ、まことの灌頂とは申せまいと、師の君は縦目阿闍梨のご指摘を受けて、いかにもその通りだと思われたのだそうです」
「……はあ。なるほど、そこまで極めるためにとお覚悟のご出家ならば、確かにお引き止めすることはできませんね。深山に籠られる師の君の琴道を、弟子としてむしろ誇りに思い、送り出して差し上げなければ」
「ええ、ですから私も『陽関三畳』を吟じて、お見送りして参ったのです。今後は若君、御身と二人でこの琴門を引っ張って行かなければなりませんよ。幼い姫君をもり立て、二人で頑張って参りましょう」
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