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招かれざる客 1
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エリーナはひどく後悔していた。
「はぁー」
目がさめるとエリーナは自室のベッドの上だった。
ドレスもいつの間にかネグリジェに着替えさせられていた。
昨夜のことを忘れていた方がまだよかったかもしれない。
エリーナは一部始終覚えていた。
眠ってしまってからの記憶はもちろんないけど、その直前まで自分がしていた行為を思い出すと、顔から火が出そうなほど恥ずかしい。
(カール様に対してなんて大胆なことをっ!!)
やっと少しだけ人前にでる勇気が持てたと思っていたところだったのに、とんだ失態をしてしまった。
結局、夜はまた別々になった。きっと今度こそエリーナに呆れたのだろう。
このままではどんどん嫌われてしまう。
「エリーナ夫人? どちらへ?」
「少し、気分転換したいの。お庭を散歩してきてもいいかしら?」
「ええ。大丈夫ですよ。暑いのでお気をつけくださいね」
「ありがとう」
ユリアに断りを入れてエリーナは庭に出た。
調子がいいときはよくこうして散歩している。庭を一周するだけでもかなりの時間がかかり、ちょうどいい運動になる。
ユリアの言っていた通り、外は太陽の日差しが降り注ぎ少し歩くとじんわりと汗をかいた。
エリーナは噴水の縁に座りため息を吐いた。
(なんだか空回りばかりしてるわ……)
頑張れば頑張ろうとするほど、失敗ばかりしている気がする。
ふと視線を上げると、門のところでこちらを伺いながら行ったり来たりしている男の人がいて、エリーナは立ち上がった。
お客さんかもしれないと思い、門のところまで行って男性に声をかける。
「あの、何かご用でしょうか?」
「……」
男性はニヤニヤと笑みを浮かべながらエリーナを上から下まで眺める。
綺麗な顔立ちをした青年で、エリーナとそう年も変わらないように見えた。
警戒心を男性に向けると、男性は今度は人懐っこい笑みを浮かべる。
「ああ、これは失礼を。私ジュスト・バルテと申します。フォード公爵様はお見えでしょうか?」
「カールはただいま外出しておりますが」
「そうですか。私は仕事関係でフォード公爵様によくしてもらっていましてね。今日は約束をしてなかったんですが、相談したいことがございまして」
ジュストが困ったなというように頭を掻く。
「あ、でしたら中で待っていますか? もうすぐ帰ってくると……」
「そう? 嬉しいな。フォード公爵様は忙しい方だからなかなか会えなくて」
「どうぞ。ご案内しますね」
ジュストを中に招き入れようとしたとき。
門の外で一台の馬車が止まった。カールの馬車だ。
「カール様。お帰りなさいませ」
「エリーナ、ただいま」
カールが馬車から降り、ジュストを一瞥してエリーナに向き直った。
「あ、お客様です。カール様にご相談したいことがあると」
「こんにちは。フォード公爵様。図々しいかと思いましたが屋敷まで訪ねてきました」
ニッコリと愛想の良い笑みを浮かべるジュストに対し、なぜかカールの表情は厳しい。
カールは一つため息を吐いてエリーナに言った。
「君はもう部屋に戻りなさい。私はこの後も仕事が残っているから」
「でも」
何か手伝えることはないかと尋ねようとしたが、カールが人前にもかかわらずちゅっと唇にキスをしてきた。
「っつ……」
「いい子だから、ね?」
まるで子供に言い聞かせるように甘く囁かれ、エリーナの顔は真っ赤になる。
「噂通り、夫人を愛してらっしゃるのですね、フォード公爵様」
「ええ、かけがえのない愛しい妻ですよ」
ニッコリと満面の笑みを浮かべるカールに、エリーナはなぜか不穏な空気を感じた。
「はぁー」
目がさめるとエリーナは自室のベッドの上だった。
ドレスもいつの間にかネグリジェに着替えさせられていた。
昨夜のことを忘れていた方がまだよかったかもしれない。
エリーナは一部始終覚えていた。
眠ってしまってからの記憶はもちろんないけど、その直前まで自分がしていた行為を思い出すと、顔から火が出そうなほど恥ずかしい。
(カール様に対してなんて大胆なことをっ!!)
やっと少しだけ人前にでる勇気が持てたと思っていたところだったのに、とんだ失態をしてしまった。
結局、夜はまた別々になった。きっと今度こそエリーナに呆れたのだろう。
このままではどんどん嫌われてしまう。
「エリーナ夫人? どちらへ?」
「少し、気分転換したいの。お庭を散歩してきてもいいかしら?」
「ええ。大丈夫ですよ。暑いのでお気をつけくださいね」
「ありがとう」
ユリアに断りを入れてエリーナは庭に出た。
調子がいいときはよくこうして散歩している。庭を一周するだけでもかなりの時間がかかり、ちょうどいい運動になる。
ユリアの言っていた通り、外は太陽の日差しが降り注ぎ少し歩くとじんわりと汗をかいた。
エリーナは噴水の縁に座りため息を吐いた。
(なんだか空回りばかりしてるわ……)
頑張れば頑張ろうとするほど、失敗ばかりしている気がする。
ふと視線を上げると、門のところでこちらを伺いながら行ったり来たりしている男の人がいて、エリーナは立ち上がった。
お客さんかもしれないと思い、門のところまで行って男性に声をかける。
「あの、何かご用でしょうか?」
「……」
男性はニヤニヤと笑みを浮かべながらエリーナを上から下まで眺める。
綺麗な顔立ちをした青年で、エリーナとそう年も変わらないように見えた。
警戒心を男性に向けると、男性は今度は人懐っこい笑みを浮かべる。
「ああ、これは失礼を。私ジュスト・バルテと申します。フォード公爵様はお見えでしょうか?」
「カールはただいま外出しておりますが」
「そうですか。私は仕事関係でフォード公爵様によくしてもらっていましてね。今日は約束をしてなかったんですが、相談したいことがございまして」
ジュストが困ったなというように頭を掻く。
「あ、でしたら中で待っていますか? もうすぐ帰ってくると……」
「そう? 嬉しいな。フォード公爵様は忙しい方だからなかなか会えなくて」
「どうぞ。ご案内しますね」
ジュストを中に招き入れようとしたとき。
門の外で一台の馬車が止まった。カールの馬車だ。
「カール様。お帰りなさいませ」
「エリーナ、ただいま」
カールが馬車から降り、ジュストを一瞥してエリーナに向き直った。
「あ、お客様です。カール様にご相談したいことがあると」
「こんにちは。フォード公爵様。図々しいかと思いましたが屋敷まで訪ねてきました」
ニッコリと愛想の良い笑みを浮かべるジュストに対し、なぜかカールの表情は厳しい。
カールは一つため息を吐いてエリーナに言った。
「君はもう部屋に戻りなさい。私はこの後も仕事が残っているから」
「でも」
何か手伝えることはないかと尋ねようとしたが、カールが人前にもかかわらずちゅっと唇にキスをしてきた。
「っつ……」
「いい子だから、ね?」
まるで子供に言い聞かせるように甘く囁かれ、エリーナの顔は真っ赤になる。
「噂通り、夫人を愛してらっしゃるのですね、フォード公爵様」
「ええ、かけがえのない愛しい妻ですよ」
ニッコリと満面の笑みを浮かべるカールに、エリーナはなぜか不穏な空気を感じた。
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