公爵様は無垢な令嬢を溺愛する。

くみ

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プロローグ

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   屋敷の外に広がる手入れされた庭に、ルード・ベレ・リアはよく足を運んでいた。


「リア様。おはようございます。今日もお水やりですか?」


「アルさん。おはようございます。ええ。予定より早くに目が覚めてしまって」


   太陽はまだ沈んでいて、空は闇夜のように真っ暗だ。


「お嬢様は働き者ですな」


 「そうかしら? この屋敷で起きていないのは私かジルお兄様くらいしかいないわ」


 「ジル様はお仕事で忙しい方ですからな」

   
    アルはホウキで庭の掃き掃除をしながら、感心したように呟いた。


 「リアお嬢様。お外は冷えますので、風邪など引かれませんように」


  「もう、アルったら。大丈夫よ。私はいつでも元気よ」

   
    心配性なアルに苦笑を漏らし、リアは花壇に水やりをした。

   
    春には色とりどりのチューリップが咲き誇る。

    
    ここだけはリアが手入れをしたいとアルとジルにお願いした。


  「リア様のお母様も春になると調子のいい時はそこで、花を愛でていましたな」


     しんみりというアルに、小さく微笑み返す。


     リアの母親はリアが九歳の時に流行病で亡くなった。


      母はこのゴーダンの街で一番の美人と評判だった。


      リアもそんな母が誇らしくて、大好きだった。


      悲しみにくれたリアだったけれど、この花を毎年咲かせると母も天国で喜ぶーと父・ドバスに言われ、それから十年たった今でも時期が来ると欠かさず水やりをしている。


    「そういえば、今日ジル様は地方から戻られるんでしたな」

 
    「ええ。友人のグリード公爵様をご招待すると連絡がありました」


     「ほー。あのグリード公爵殿と」


       大仰に頷くアルに、リアは不思議そうに首を傾げた。


     「いやいや。さ、私は仕事にもどりましょう。リア様も早く暖をとってください。雪が降りそうな寒さだ」


       ぶるっとアルは震えて、早足で行ってしまう。


       リアはそれほど気にせず、もう一度まだ土だけの花壇を見て屋敷の中へと戻っていった。




       
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