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なんとなく眺めていると、かけ声を上げているのは空手部のようだった。何かを持っている子がいる。悠人がキョトンとすると、森本が教えてくれた。板割りというものだと。
「おおー、板割りをやっているぞー」
「イタワリ?なにそれ?」
「15センチ四方の板を割るやつだ」
「瓦じゃないのー?」
「うちは板が多い。高いからな、瓦は……」
「へえ。テレビの世界だけかと思っていたよ~」
「何度もここを通っているぞ?夏樹は興味が向かないと、本当に見ていないもんなあ」
「うん。晩ご飯のおかずのことしか考えていないもん」
「そうだよねー。さっきの授業でレシピを練ってたもんねー」
「ウンウン。何でも取り入れているんだ。毎日の献立に困っているんだよ~」
黒崎に何を食べたいかと聞くと、何でもいいと返ってくる。その”なんでも”が困るというのに。
ブツブツ文句を呟いていると、真羽が大きく手を振って来た。板割りが成功したそうだ。さらに悠人がやりたがっている。
部員は半分しか成功していないようで、真羽の成功に、熱気が出てきたそうだ。森本と山崎にもどうかと誘われたが、断っていた。真羽はもう一度チャレンジしている。
(面白そうだなあ。テレビで観たのって、ケリで割ってたんだけど。それはナシなのかな?)
「パンチでしか割ったらダメなの?」
「俺たちは練習だから。真羽ならケリでもいいよ。黒崎君も興味があるのか?」
「うん。ケリは得意だから。中学の時は人を蹴っていたし……」
「えええ!?黒崎君が?」
驚かれてしまった。思わず口が滑ったが、悠人達が平然としているから、それ以上のツッコミはされなかった。さらに、悠人が月夜のレンジャーのブルーキックを試みようとしている。風邪気味なのに。そっと背後から抱きついて、動きをやめさせた。
「こら~、だめだよ~」
「わわわ!」
「どうしたんだよ?怖くないよ。熱が出たら試験が大変だよ?」
「うん。そうだね。ごほっ」
急に悠人が大人しくなった。しかも、驚いていた。俺は黒崎のように怖い顔をしていたのだろうか。
ケリを見ていると、家で練習している護身術のような物を思い出した。黒崎が先生役になり、力がなくてもできるという、相手を押さえつける術を習っている。軽いパンチや回し蹴りだ。
(やってみたくなったなあ。頼んでみようっと……)
「よかったらチャレンジさせてよ~」
「なつきー、だめだよ。それこそやめておけよー。怪我をしたら……」
「キックでやるから。2回ぐらい蹴ってもいい?」
「いいぞ!おーーし、構えくれーー!」
部員の子が合図をすると、15センチ四方の板が用意された。板を構えた部員が声を張り上げた。それが合図だ。さらに掛け声があがり、それに合わせて右足をふりあげた。黒崎の声を思い出しながらだ。
(左……えーっと。足を真っ直ぐに保て。距離はこの程度だ。かかとから打ち込め、いいか?よし、いけ!)
「えーーーーい!」
「おーーす!」
「トリャーーー!」
パーーーン!
おおーーー!
板が割れた音が響き渡った。同時に歓声があがり、続けてやってくれと声をかけられた。大きな拍手と、頑張れという声援が起きて、引っ込みがつかなくなった。一枚割っていくごとに、別の部員から板を構えられた。次々に割っていくと、ラストは大きめの板だった。
(これはキックは無理だな……、よいしょっと!)
ラストは回し蹴りでキメた。
パーーーーン!
ビーービーービーー!
威勢のいい音、歓声、拍手。緊急通報装置からのブザーが鳴り響いた。さっきの衝撃に反応してしまったようだ。急いで装置のボタンを押そうとしたが、焦っているから押せない。代わりに森本押してくれたから鳴り止んた。
「はああ~、ありがとう~」
「これで終わりじゃないだろう。スピーカーから声がしているぞ?大丈夫ですか?って」
「わあああ~。そうだった!」
カスタマーセンターから呼びかけられている音声が聞こえてきた。ここで返事をしないと、担当の人が駆けつけてくるシステムだ。ベルトから取り外そうにも出来ないから、発声練習の成果を披露した。
「俺は無事です!回し蹴りをしたから反応しました!板が割れただけです!」
俺が返事をしたことで、解決した。これでよし。さっそく片付けをして学食に向かった。森本が狙っていた限定メニューは売り切れだったが、大福&ソフトクリームは残っていた。ホクホクした気分でそれを食べると、悠人も元気になっていた。
「おおー、板割りをやっているぞー」
「イタワリ?なにそれ?」
「15センチ四方の板を割るやつだ」
「瓦じゃないのー?」
「うちは板が多い。高いからな、瓦は……」
「へえ。テレビの世界だけかと思っていたよ~」
「何度もここを通っているぞ?夏樹は興味が向かないと、本当に見ていないもんなあ」
「うん。晩ご飯のおかずのことしか考えていないもん」
「そうだよねー。さっきの授業でレシピを練ってたもんねー」
「ウンウン。何でも取り入れているんだ。毎日の献立に困っているんだよ~」
黒崎に何を食べたいかと聞くと、何でもいいと返ってくる。その”なんでも”が困るというのに。
ブツブツ文句を呟いていると、真羽が大きく手を振って来た。板割りが成功したそうだ。さらに悠人がやりたがっている。
部員は半分しか成功していないようで、真羽の成功に、熱気が出てきたそうだ。森本と山崎にもどうかと誘われたが、断っていた。真羽はもう一度チャレンジしている。
(面白そうだなあ。テレビで観たのって、ケリで割ってたんだけど。それはナシなのかな?)
「パンチでしか割ったらダメなの?」
「俺たちは練習だから。真羽ならケリでもいいよ。黒崎君も興味があるのか?」
「うん。ケリは得意だから。中学の時は人を蹴っていたし……」
「えええ!?黒崎君が?」
驚かれてしまった。思わず口が滑ったが、悠人達が平然としているから、それ以上のツッコミはされなかった。さらに、悠人が月夜のレンジャーのブルーキックを試みようとしている。風邪気味なのに。そっと背後から抱きついて、動きをやめさせた。
「こら~、だめだよ~」
「わわわ!」
「どうしたんだよ?怖くないよ。熱が出たら試験が大変だよ?」
「うん。そうだね。ごほっ」
急に悠人が大人しくなった。しかも、驚いていた。俺は黒崎のように怖い顔をしていたのだろうか。
ケリを見ていると、家で練習している護身術のような物を思い出した。黒崎が先生役になり、力がなくてもできるという、相手を押さえつける術を習っている。軽いパンチや回し蹴りだ。
(やってみたくなったなあ。頼んでみようっと……)
「よかったらチャレンジさせてよ~」
「なつきー、だめだよ。それこそやめておけよー。怪我をしたら……」
「キックでやるから。2回ぐらい蹴ってもいい?」
「いいぞ!おーーし、構えくれーー!」
部員の子が合図をすると、15センチ四方の板が用意された。板を構えた部員が声を張り上げた。それが合図だ。さらに掛け声があがり、それに合わせて右足をふりあげた。黒崎の声を思い出しながらだ。
(左……えーっと。足を真っ直ぐに保て。距離はこの程度だ。かかとから打ち込め、いいか?よし、いけ!)
「えーーーーい!」
「おーーす!」
「トリャーーー!」
パーーーン!
おおーーー!
板が割れた音が響き渡った。同時に歓声があがり、続けてやってくれと声をかけられた。大きな拍手と、頑張れという声援が起きて、引っ込みがつかなくなった。一枚割っていくごとに、別の部員から板を構えられた。次々に割っていくと、ラストは大きめの板だった。
(これはキックは無理だな……、よいしょっと!)
ラストは回し蹴りでキメた。
パーーーーン!
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