白い雫の天使~親愛なる人への旋律

夏目奈緖

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 14時半。

 オフィスに戻ると、早瀬から声を掛けられた。明日の予定の簡単な打ち合わせを行った。その後、夏樹の件が出てきた。例のニュースを見たそうだ。

「ニュースに出ていたよ。ウサギーの売り上げがアップしたそうだ」
「ランチの話題にも出ていた。一貴は知っていた。悠人君に話を持って行くそうだ。新しいTシャツの件だ」
「面白そうだな。ちょうど他にも話がきている。味噌のメーカーからだよ。遠藤さんから聞いたばかりだ」
「味噌汁づくりが趣味だからか?」
「そうだろうね。本人が ”やりたい” と、言うかどうかだなあ。やらせると面白いだろう」

 MIDSHIPへの起用、今回のTシャツ、味噌メーカーの件は、早瀬にとっては喜ばしいものだ。悠人が輝くなら、そのサポートを惜しまないと言った。俺はその正反対の考え方をしている。それを口にすると、吹き出して笑い出した。

「重々承知しております。ブレないところが大好きだよ」
「告白してくれたのか。あいにく、夏樹がいる」
「変な噂が流れるかもしれない。まだ残っている」
「そうか。妬まれているじゃないのか?」
「ストレートに言うところも大好きだよ」

 早瀬の言った通りだ。オフィスを通りかかった社員が、やや剣呑な空気でこちらを振り向いた。千川部長の派閥メンバーだ。お互いに会釈をしたのはマナーだ。

 ここにも競争があるね。そう呟かれた言葉が、胸の引っかかりを解いた。夏樹が外に出ていくことが寂しいのに加えて、さらに競争の中に飛び込むことが不安なのだと分かった。

 夏樹も不安なのかも知れない。今日は土産を買って帰るとしよう。候補の店を思い浮かべつつ、午後の業務に取りかかった。
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