白い雫の天使~親愛なる人への旋律

夏目奈緖

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 玄関ホールで、悠人達を見送っている。黒崎が送って行くから、先に外へ出ている。お前は寝ておけと言われた。

 早瀬さんは落ち着いている。お義父さんから頭を下げられて、悲しそうにしていた。悠人は少しだけ落ち着いている。客間のベッドへ行くときは付き添われた。唇の傷に気づいたのは、その時だった。

「なつきー、寝ていろよ……」
「もうマシだもん。明日は大学を休むけど」
「ノートは任せておけよ。日下も手伝ってくれるし。森本も……」

 図書室の本が、何冊もトートバッグに入っている。これからも遊びに来ると言ってくれた。家を出る間際になり、悠人が一貴さんの前に立った。

「許す方向にしたのは、お父さんから謝られたからだよ。あんたよりずっと年下で、まだ20歳だけど、仕事で覚えたことがある。どんなことがあっても不義理は出来ないって。今の自分があるのは、周りの人のおかげだよ。一人で進んできた人はいないからね。それから……自分の欲望を肯定するな!」

 今はこの答えしか出ない。この先は変わるかもしれないけど。最後に、そう付け加えていた。許してもらえるのか。無理をしてないか。

 今度は俺が悠人の前に立った。え?どうしたんだよ?と、彼の表情が和らいだ。この子にあんな顔をさせてしまった。

 最初に電話で相談された時は、嫌な予感しかなかったのに。その後で一貴さんと話して、笑い話にもなった。それがいけなかった。気分に流されてしまった。この結果を招いたのは、俺のせいでもある。

「悠人。俺からも謝る。ごめんなさい」
「謝るなよー。許すしかなくなるだろー」

 悠人が早瀬さんの背中にすがりついた。今の顔を見せたくないと言った。

 すると、玄関前に黒崎の車が停車した。悠人達が乗り込む姿を見送った後、客間へ戻った。

 その後、何時間も寝ていたようだ。時計を見ると、23時になっていた。ベッドのそばでは、黒崎が椅子に座っていた。書類へ目を通しつつ、ペンを走らせている。

「どうだ。痛いところはないか?」
「ダルさだけ。何か食べた?出前を取ったの……。俺の好きなモンテルラン堂?北王の懐石弁当?ふん……」

 治ったら美味しいものを食べさせろ。そう言ってやるとキスをされた。用意してもらった卵とじうどんを食べて、朝まで寝た。
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