153 / 265
17-8
しおりを挟む
玄関ホールで、悠人達を見送っている。黒崎が送って行くから、先に外へ出ている。お前は寝ておけと言われた。
早瀬さんは落ち着いている。お義父さんから頭を下げられて、悲しそうにしていた。悠人は少しだけ落ち着いている。客間のベッドへ行くときは付き添われた。唇の傷に気づいたのは、その時だった。
「なつきー、寝ていろよ……」
「もうマシだもん。明日は大学を休むけど」
「ノートは任せておけよ。日下も手伝ってくれるし。森本も……」
図書室の本が、何冊もトートバッグに入っている。これからも遊びに来ると言ってくれた。家を出る間際になり、悠人が一貴さんの前に立った。
「許す方向にしたのは、お父さんから謝られたからだよ。あんたよりずっと年下で、まだ20歳だけど、仕事で覚えたことがある。どんなことがあっても不義理は出来ないって。今の自分があるのは、周りの人のおかげだよ。一人で進んできた人はいないからね。それから……自分の欲望を肯定するな!」
今はこの答えしか出ない。この先は変わるかもしれないけど。最後に、そう付け加えていた。許してもらえるのか。無理をしてないか。
今度は俺が悠人の前に立った。え?どうしたんだよ?と、彼の表情が和らいだ。この子にあんな顔をさせてしまった。
最初に電話で相談された時は、嫌な予感しかなかったのに。その後で一貴さんと話して、笑い話にもなった。それがいけなかった。気分に流されてしまった。この結果を招いたのは、俺のせいでもある。
「悠人。俺からも謝る。ごめんなさい」
「謝るなよー。許すしかなくなるだろー」
悠人が早瀬さんの背中にすがりついた。今の顔を見せたくないと言った。
すると、玄関前に黒崎の車が停車した。悠人達が乗り込む姿を見送った後、客間へ戻った。
その後、何時間も寝ていたようだ。時計を見ると、23時になっていた。ベッドのそばでは、黒崎が椅子に座っていた。書類へ目を通しつつ、ペンを走らせている。
「どうだ。痛いところはないか?」
「ダルさだけ。何か食べた?出前を取ったの……。俺の好きなモンテルラン堂?北王の懐石弁当?ふん……」
治ったら美味しいものを食べさせろ。そう言ってやるとキスをされた。用意してもらった卵とじうどんを食べて、朝まで寝た。
早瀬さんは落ち着いている。お義父さんから頭を下げられて、悲しそうにしていた。悠人は少しだけ落ち着いている。客間のベッドへ行くときは付き添われた。唇の傷に気づいたのは、その時だった。
「なつきー、寝ていろよ……」
「もうマシだもん。明日は大学を休むけど」
「ノートは任せておけよ。日下も手伝ってくれるし。森本も……」
図書室の本が、何冊もトートバッグに入っている。これからも遊びに来ると言ってくれた。家を出る間際になり、悠人が一貴さんの前に立った。
「許す方向にしたのは、お父さんから謝られたからだよ。あんたよりずっと年下で、まだ20歳だけど、仕事で覚えたことがある。どんなことがあっても不義理は出来ないって。今の自分があるのは、周りの人のおかげだよ。一人で進んできた人はいないからね。それから……自分の欲望を肯定するな!」
今はこの答えしか出ない。この先は変わるかもしれないけど。最後に、そう付け加えていた。許してもらえるのか。無理をしてないか。
今度は俺が悠人の前に立った。え?どうしたんだよ?と、彼の表情が和らいだ。この子にあんな顔をさせてしまった。
最初に電話で相談された時は、嫌な予感しかなかったのに。その後で一貴さんと話して、笑い話にもなった。それがいけなかった。気分に流されてしまった。この結果を招いたのは、俺のせいでもある。
「悠人。俺からも謝る。ごめんなさい」
「謝るなよー。許すしかなくなるだろー」
悠人が早瀬さんの背中にすがりついた。今の顔を見せたくないと言った。
すると、玄関前に黒崎の車が停車した。悠人達が乗り込む姿を見送った後、客間へ戻った。
その後、何時間も寝ていたようだ。時計を見ると、23時になっていた。ベッドのそばでは、黒崎が椅子に座っていた。書類へ目を通しつつ、ペンを走らせている。
「どうだ。痛いところはないか?」
「ダルさだけ。何か食べた?出前を取ったの……。俺の好きなモンテルラン堂?北王の懐石弁当?ふん……」
治ったら美味しいものを食べさせろ。そう言ってやるとキスをされた。用意してもらった卵とじうどんを食べて、朝まで寝た。
0
あなたにおすすめの小説
病弱の花
雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる