白い雫の天使~親愛なる人への旋律

夏目奈緖

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20-1 黒崎の大学講演会

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 6月6日、木曜日。23時。

 今夜は黒崎が定時で帰ってきた。明日の午後、うちの大学のセミナー講師を担当する。その準備のために、早めに仕事を切り上げたそうだ。出張と会食が多くて、疲れているだろう。早めに寝てねと声を掛けて、ベッドに入った。

 そして、寝転がって本を読んでいると、黒崎が覆いかぶさってきた。お休みのキス程度かと思えば、本気でジャレついてきた。

「黒崎さん……。準備は?」
「9割は済ませた。後で仕上げる」
「先に仕上げてきたら?早めに寝ろよ~」
「このままでいいのか?」
「あんたは平気なわけ?」
「どうだろうな……」

 黒崎が起き上がり、上半身を脱いだ。カッコいい身体に見惚れていると、グイっと抱き上げられて、腕の中に閉じ込められた。もう逃げ出せない。

 何度もキスをされた後、頬や左手に吸い付かれた。すっかり息が熱くなっている。もちろん自分もだ。ぼんやりとした灯りの中、影が動いた。背中に両腕をまわして抱きついた。黒崎も寂しかったのだろう。俺も同じだ。

 コンサートから2週間が経ち、俺も黒崎の仕事のスケジュールも元通りになった。コンサートまでは、できるだけ家に居るようにしてくれた。本人は何も言わないけれど、そうなのだと思う。その後で会食が立て続けに入った。

「黒崎さん……。んん……」
「日焼け止めを塗り忘れたのか。また焼けているぞ」
「あんたが舐めるから落ちたんだよ……」
「おいで」

 見つめ合ったままで身体が揺れ動き、お互いの呼吸と体温を感じた。そして、愛おしむようにキスをされた。今夜の黒崎は甘くて蕩けそうだ。朝になれば偉そうな人になるから、今のうちに堪能しておく。

「夏樹。大学の友達を紹介しろ」
「知ってるじゃん……。あんたの先輩の甥っ子の日下葉月。八代、真羽、山崎、森本、悠人。絵理奈ちゃん。他に気になるわけ?」
「お前を見ている男がいるはずだ。友達のふりをするだろう」
「可愛いことを言うなよ~」

 この独占欲が愛おしい。濃厚なキスをしてやると、身体をくすぐられた。今度はじゃれ合いに発展して、気がつくと日付を越していた。俺には眠れと言い、黒崎が書斎へ向かった。お休みと言い、俺は遠慮することなく、目を閉じた。
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