177 / 265
21-1 黒崎の幼なじみ・デザイナー
しおりを挟む
6月16日、日曜日。午前10時。
今日は休日だ。我が家のリビングにて、黒崎から日焼け止めを塗られている。首の後ろから下の方まで丁寧に。車移動だから、日焼け対策は要らないと思う。しかし、黒崎は塗ると言って譲らない。
「黒崎さん。首の後ろは塗って終わったよ。また塗るの?」
「また日焼けをするぞ。適当に塗るからだ。赤くなっているぞ」
「多少はなるよ。ニ、三日で落ち着くから。今度は腕?さっきも……」
「厚めに塗っておく」
ソファーで寝転がっている状態だ。抱き上げられて起こされた後、腕を伸ばされた。優しい力で、クリームの付いた手が滑って行く。首の後ろから下の辺りまで日焼け止めを塗られた。そして、身体を起こされた後、腕を伸ばされた。今度はこっちだと言って。
車のガラスには紫外線対策がされているが、油断できないそうだ。黒崎本人は日焼けするのを気にしないくせに、俺には神経を使っている。日焼けをしてほしくないからだ。
今日は外へ出かける予定だ。怜さんと会う約束がある。一貴さんを紹介するために。レストランでの会食だ。一貴さんが選んだ店だ。
うちでご飯を食べればいいのに。その方が打ち解けやすいと話してある。食事の後で、我が家に遊びに来るからだ。
昔、一度だけ訪ねて来たことがあるそうだ。どんなふうに変わっているのか、楽しみにしていると言っていた。最近の写真は送ってある。
「少しは焼けたいよ」
「お前の場合は似合わない。髪の毛が伸びてきたな。そろそろ美容院の時期だ。毛先を揃えるだけにしておけ」
「もっと短くしたいよ。後ろでまとめたら、女の子みたいだし」
大学の友達が聞いたら、驚くに決まっている。髪型を自由に出来ないとは。俺はセンスがないから、アドバイスを受けているのだと思うことにしている。
「よく似合っている。怜と知り合った当時の長さだ。覚えているか?」
「そうだったね~。黒崎さんと恋人同士になった時だよ。怜さんを見て、女の人だって勘違いして、マンションを飛び出したっけ。あれがきっかけだったね。ベッドに入ったのは……」
懐かしい思い出だ。勘違いから黒崎と喧嘩をして、仲直りできた。その結果、初めてベッドに入った。沙耶さんから仲裁されたことも大きい。今回は都内に4人が揃った。3年ぶりだ。
「沙耶さんの9月の結婚式に怜さんも出席するよね?4人が揃うよ」
「ああ。怜がお前を見て驚くだろう。ステージを動画で観ているが、実物はイメージが違う。声の張りも、顔立ちも成長した。3年間は大きい」
「万理の言ったとおりだよね。俺たちの年代は違いが大きいって。いたた……、やめひぇひょ~」
「憎まれ口は成長しないようだな」
頬をつまんで引っ張られた。大事にしているようで、そうでないと思う。遠回しに黒崎のことを“オジサン”だと言ったからだ。すると、黒崎が手を離した後、顔を近づけてきた。そして、そっと頬に唇が押し当てられた後、首筋へも同じようにされた。心なしか、吐息が熱くなっている。イチャつくわけにはいかない。もうすぐ家を出るからだ。
「黒崎さん……。だめだよ」
「痛みを取っている。ここはどうだ」
「だめだってば……。間に合わなくなるよ」
「こっちは、どうだ」
「こら……」
耳たぶをつまんで引っ張ってやった。笑っているから、効果がないのはいつものことだ。手を握られて、指先を舐められた。まだ息が熱い。
黒崎が時計を見て、間に合うと笑った。そんなことはないのに。黒崎の手を払いのけても、すぐに握られてしまう。時間がないと繰り返しておいた。
今日は休日だ。我が家のリビングにて、黒崎から日焼け止めを塗られている。首の後ろから下の方まで丁寧に。車移動だから、日焼け対策は要らないと思う。しかし、黒崎は塗ると言って譲らない。
「黒崎さん。首の後ろは塗って終わったよ。また塗るの?」
「また日焼けをするぞ。適当に塗るからだ。赤くなっているぞ」
「多少はなるよ。ニ、三日で落ち着くから。今度は腕?さっきも……」
「厚めに塗っておく」
ソファーで寝転がっている状態だ。抱き上げられて起こされた後、腕を伸ばされた。優しい力で、クリームの付いた手が滑って行く。首の後ろから下の辺りまで日焼け止めを塗られた。そして、身体を起こされた後、腕を伸ばされた。今度はこっちだと言って。
車のガラスには紫外線対策がされているが、油断できないそうだ。黒崎本人は日焼けするのを気にしないくせに、俺には神経を使っている。日焼けをしてほしくないからだ。
今日は外へ出かける予定だ。怜さんと会う約束がある。一貴さんを紹介するために。レストランでの会食だ。一貴さんが選んだ店だ。
うちでご飯を食べればいいのに。その方が打ち解けやすいと話してある。食事の後で、我が家に遊びに来るからだ。
昔、一度だけ訪ねて来たことがあるそうだ。どんなふうに変わっているのか、楽しみにしていると言っていた。最近の写真は送ってある。
「少しは焼けたいよ」
「お前の場合は似合わない。髪の毛が伸びてきたな。そろそろ美容院の時期だ。毛先を揃えるだけにしておけ」
「もっと短くしたいよ。後ろでまとめたら、女の子みたいだし」
大学の友達が聞いたら、驚くに決まっている。髪型を自由に出来ないとは。俺はセンスがないから、アドバイスを受けているのだと思うことにしている。
「よく似合っている。怜と知り合った当時の長さだ。覚えているか?」
「そうだったね~。黒崎さんと恋人同士になった時だよ。怜さんを見て、女の人だって勘違いして、マンションを飛び出したっけ。あれがきっかけだったね。ベッドに入ったのは……」
懐かしい思い出だ。勘違いから黒崎と喧嘩をして、仲直りできた。その結果、初めてベッドに入った。沙耶さんから仲裁されたことも大きい。今回は都内に4人が揃った。3年ぶりだ。
「沙耶さんの9月の結婚式に怜さんも出席するよね?4人が揃うよ」
「ああ。怜がお前を見て驚くだろう。ステージを動画で観ているが、実物はイメージが違う。声の張りも、顔立ちも成長した。3年間は大きい」
「万理の言ったとおりだよね。俺たちの年代は違いが大きいって。いたた……、やめひぇひょ~」
「憎まれ口は成長しないようだな」
頬をつまんで引っ張られた。大事にしているようで、そうでないと思う。遠回しに黒崎のことを“オジサン”だと言ったからだ。すると、黒崎が手を離した後、顔を近づけてきた。そして、そっと頬に唇が押し当てられた後、首筋へも同じようにされた。心なしか、吐息が熱くなっている。イチャつくわけにはいかない。もうすぐ家を出るからだ。
「黒崎さん……。だめだよ」
「痛みを取っている。ここはどうだ」
「だめだってば……。間に合わなくなるよ」
「こっちは、どうだ」
「こら……」
耳たぶをつまんで引っ張ってやった。笑っているから、効果がないのはいつものことだ。手を握られて、指先を舐められた。まだ息が熱い。
黒崎が時計を見て、間に合うと笑った。そんなことはないのに。黒崎の手を払いのけても、すぐに握られてしまう。時間がないと繰り返しておいた。
0
あなたにおすすめの小説
病弱の花
雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる