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会食が進んでいる。数種類のデザートを前にして、怜が微笑んでいる。夏樹と半分ずつに分けて食べている姿が微笑ましい。
「一貴お兄ちゃんも食べない?」
「僕は構わない。お腹がいっぱいになった」
「怜さん。お兄ちゃんは緊張しているんだよ。カチコチだよ」
「そうなんだね」
「一貴。話があるんじゃないのか?」
「ああ。そうだ。桑園さん。実は……」
タイミングよく一貴が切り出した話題が、着物ブランドのことだ。怜は笑顔で相づちを打っていたが、紹介してもらえないかと言われたとたんに、表情が曇った。そして、聞きたいことがあると言い出した。ミユー企画とのことだろう。一貴の顔が緊張している。プラセルの社長の姿というより、普段俺達に見せている姿だ。
「島川さんの業界での噂を聞いています。手のひらを返した企業がありましたね。今は関係を戻しているのか……。えらく動き回りますね。理由は?」
「僕の考えが至りませんでした」
「一貴お兄ちゃん、怜さん。せっかくの食事だからさ~。黒崎さん……」
「怜。遠慮なく断ってくれ。信頼が大事だ」
プラセルの評判を聞いているはずだ。今進んでいる提携の話が取りやめられなかったのが不思議なぐらいだ。怜からは、たった一言、お受け出来ませんと返ってきた。これで話は終了だ。あとはプライベートとして交流だ。すると、怜から止められた。話の続きがあるという。
「黒崎、待ってくれ」
「ああ、どうした」
「島川さん。その件の理由ですが、ある一人を守ろうとして行動したことだと、黒崎から聞いています。そうですか?」
「そうです。手段を間違えました」
胸を張って答えた一貴を見て、怜が無言になった後に微笑んだ。そして、自分の方から、一貴へ顔を近づけた。一貴は引かずに、視線を向けている。すると、怜が笑い出した。
「失礼しました。あの件では、ご自分の立場が危うくなった。予想がつかないとは思えない。それでも、たった一人を泣かせたくなかった。……そういう考え方には、賛同します」
「え?」
「誰が間違っているか、正しいかどうかは、重要ですか?状況と時代で変化することです。守ることは悪いことじゃない」
「はあ……」
「名刺を拝見しました。純粋な友達募集中だと。申し込んでもかまいませんか?僕は、あなたが好きです」
「え?」
怜から差し出された手を、一貴が握りしめた。さらに怜が握り返したことで、夏樹が驚いて声を上げた。怜の指先の色が変わるぐらいに、力が込められているからだ。しかし、一貴は怯むことなく力を込めて握り返した。
痛みを堪えて笑顔を保っている2人の間には、友情に近いものが芽生えたことを知った。デザートが運ばれて来た後、いっそう和やかな空気の中で、会話を続けることができた。
「一貴お兄ちゃんも食べない?」
「僕は構わない。お腹がいっぱいになった」
「怜さん。お兄ちゃんは緊張しているんだよ。カチコチだよ」
「そうなんだね」
「一貴。話があるんじゃないのか?」
「ああ。そうだ。桑園さん。実は……」
タイミングよく一貴が切り出した話題が、着物ブランドのことだ。怜は笑顔で相づちを打っていたが、紹介してもらえないかと言われたとたんに、表情が曇った。そして、聞きたいことがあると言い出した。ミユー企画とのことだろう。一貴の顔が緊張している。プラセルの社長の姿というより、普段俺達に見せている姿だ。
「島川さんの業界での噂を聞いています。手のひらを返した企業がありましたね。今は関係を戻しているのか……。えらく動き回りますね。理由は?」
「僕の考えが至りませんでした」
「一貴お兄ちゃん、怜さん。せっかくの食事だからさ~。黒崎さん……」
「怜。遠慮なく断ってくれ。信頼が大事だ」
プラセルの評判を聞いているはずだ。今進んでいる提携の話が取りやめられなかったのが不思議なぐらいだ。怜からは、たった一言、お受け出来ませんと返ってきた。これで話は終了だ。あとはプライベートとして交流だ。すると、怜から止められた。話の続きがあるという。
「黒崎、待ってくれ」
「ああ、どうした」
「島川さん。その件の理由ですが、ある一人を守ろうとして行動したことだと、黒崎から聞いています。そうですか?」
「そうです。手段を間違えました」
胸を張って答えた一貴を見て、怜が無言になった後に微笑んだ。そして、自分の方から、一貴へ顔を近づけた。一貴は引かずに、視線を向けている。すると、怜が笑い出した。
「失礼しました。あの件では、ご自分の立場が危うくなった。予想がつかないとは思えない。それでも、たった一人を泣かせたくなかった。……そういう考え方には、賛同します」
「え?」
「誰が間違っているか、正しいかどうかは、重要ですか?状況と時代で変化することです。守ることは悪いことじゃない」
「はあ……」
「名刺を拝見しました。純粋な友達募集中だと。申し込んでもかまいませんか?僕は、あなたが好きです」
「え?」
怜から差し出された手を、一貴が握りしめた。さらに怜が握り返したことで、夏樹が驚いて声を上げた。怜の指先の色が変わるぐらいに、力が込められているからだ。しかし、一貴は怯むことなく力を込めて握り返した。
痛みを堪えて笑顔を保っている2人の間には、友情に近いものが芽生えたことを知った。デザートが運ばれて来た後、いっそう和やかな空気の中で、会話を続けることができた。
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