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ザーーー、ザーーー。
2人で湾沿いの広場を歩いている。IKUのコンサートホールが遠くに見えている。お店の客層を大学生にして良かったようだ。その通りに、若い年代が多く通っている。
黒崎が苦笑している。ここでやれというのかと。当たり前だと言い返した。人が多いけれど、広いから密集していない。クルクル回るのには問題ない。旅先での駆け引き、今日の告白、頬をつねったこと、お仕置きにはピッタリだ。
黒崎の腕をグイグイ引っ張り、人のいない場所を選んだ。向かい合い、肩周りに両腕を回した。俺の方は準備完了だ。ここまで来ると観念しただろう。
「つかまっておけ」
「りょーかい!」
脇の下に両腕が回された。そして、しっかりホールドしたのを確認した後、ゆっくり回り始めた。片足ずつ浮き上がり、少しずつ回転を始めた。高校生ぐらいの子たちが見て笑っている。自分たちもやりたいと言っている。
5回転ぐらいで止めるかと思えば、サービス精神を出してくれた。何度もクルクル回り、景色が変化していく。メリーゴーランドの状態だ。
10回ぐらい回ったところで、黒崎から文句が出てきた。聞く気はない。さらにすがりついて、俺の方から地面を蹴った。黒崎じゃため息をついて笑っているようだ。
「もっとだよ~」
「腰が痛い。ベッドに影響する」
「わあああ、ドン引きするよ。分かっているの?」
「俺には意味がない。進むか引き返すしか選択肢がないものを、一歩引いたところで現状は変わらない」
「そういうところが好きだよ~」
もっと回れと命令すると、両足が宙に浮いた。さすがに疲れて息が上がった。止まった時には目が回り、地面へ座り込んだ。
「ふう。疲れた~」
「お前は疲れていないはずだ」
「そんなことないもん!」
抱きかかえられて立ち上がった。黒崎がため息をついている。俺の方は目が回った。自分の方から回れと言った以上、文句は言えない。
「黒崎さん。汗をかいているよ。はい、どうぞ」
「ああ」
バッグの中からハンカチを取りだして、黒崎の額を拭いてあげた。汗を引かせたいから、もう一度店内に戻ろうかと黒崎に言うと、今帰ると風邪を引くぞと止められた。
「デザートで食べ足りない物があるのか?」
「あんたのことを考えて言ったんだよ~。息が切れているだろ?俺とは違って……。わあ~。つねるなよ~」
もう少しで黒崎から頬をつねられるところだった。俺達は笑いながら広場を後にした。ガラス越しに見えている、一貴さんたちへ手を振りながら。
2人で湾沿いの広場を歩いている。IKUのコンサートホールが遠くに見えている。お店の客層を大学生にして良かったようだ。その通りに、若い年代が多く通っている。
黒崎が苦笑している。ここでやれというのかと。当たり前だと言い返した。人が多いけれど、広いから密集していない。クルクル回るのには問題ない。旅先での駆け引き、今日の告白、頬をつねったこと、お仕置きにはピッタリだ。
黒崎の腕をグイグイ引っ張り、人のいない場所を選んだ。向かい合い、肩周りに両腕を回した。俺の方は準備完了だ。ここまで来ると観念しただろう。
「つかまっておけ」
「りょーかい!」
脇の下に両腕が回された。そして、しっかりホールドしたのを確認した後、ゆっくり回り始めた。片足ずつ浮き上がり、少しずつ回転を始めた。高校生ぐらいの子たちが見て笑っている。自分たちもやりたいと言っている。
5回転ぐらいで止めるかと思えば、サービス精神を出してくれた。何度もクルクル回り、景色が変化していく。メリーゴーランドの状態だ。
10回ぐらい回ったところで、黒崎から文句が出てきた。聞く気はない。さらにすがりついて、俺の方から地面を蹴った。黒崎じゃため息をついて笑っているようだ。
「もっとだよ~」
「腰が痛い。ベッドに影響する」
「わあああ、ドン引きするよ。分かっているの?」
「俺には意味がない。進むか引き返すしか選択肢がないものを、一歩引いたところで現状は変わらない」
「そういうところが好きだよ~」
もっと回れと命令すると、両足が宙に浮いた。さすがに疲れて息が上がった。止まった時には目が回り、地面へ座り込んだ。
「ふう。疲れた~」
「お前は疲れていないはずだ」
「そんなことないもん!」
抱きかかえられて立ち上がった。黒崎がため息をついている。俺の方は目が回った。自分の方から回れと言った以上、文句は言えない。
「黒崎さん。汗をかいているよ。はい、どうぞ」
「ああ」
バッグの中からハンカチを取りだして、黒崎の額を拭いてあげた。汗を引かせたいから、もう一度店内に戻ろうかと黒崎に言うと、今帰ると風邪を引くぞと止められた。
「デザートで食べ足りない物があるのか?」
「あんたのことを考えて言ったんだよ~。息が切れているだろ?俺とは違って……。わあ~。つねるなよ~」
もう少しで黒崎から頬をつねられるところだった。俺達は笑いながら広場を後にした。ガラス越しに見えている、一貴さんたちへ手を振りながら。
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