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落ち着いた後、本部へ向かった。そこには如月の姿があり、黒崎の空気が変わった。平田さんが気づいて会釈された。黒崎が軽く頷くと、北岡さんを連れて行った。如月の顔が引きつっている。あんな顔をするなら、冷静だったのだろう。
黒崎が、如月と二葉に話してこいと促した。周りには人が居ない場所だ。何かあれば助けに来られる場所に本部があるが、暴力を振るわれた後になる。二葉だけを向かわせるのは危ない。せめて近くで待ちたい。
「夏樹。暴力は振るって来ない。俺がいるからだ。見えない位置に居てもだ」
「怖い存在があるからか……。力が弱い相手に手を出すタイプなのか。信じられないよ」
黒崎からの指摘に納得するしかない。暴力を振るうなら、最初からそういう性格だと言われた。黒崎が言うには、二葉には下心で近づいたようだ。今回は手を上げたことで、取り繕い様がない。
(だから俺のことを、如月と会わせなかったのか。理久と藤沢はOKなのに……)
如月と友達付き合いが何となく遠のいていたのは、黒崎が見抜いていたからなのか。だったら二葉を止めなかった理由を聞くと、恋愛感情は反対されると燃えるものだと返って来た。
イベントの賑やかな空気の中で、ここだけが静まり返っている。あとは二葉たちが話し合うだけだ。
「行ってきます」
「向こうで待っている」
俺たちに振り返ることなく、二葉が如月の元へ歩いて行った。理久のことを黒崎が連れて行き、枝川さんへ預けた。俺たちは離れた位置で待つかと思いきや、会話が聞こえる場所まで移動した。
「黒崎さん……。心配なら言えよ……」
「意味がない。どういう方法を取るか見ておく。……育ての父親と似た奴に惹かれた。きつい言い方か?だから見合いさせると言った。いい加減、朝陽にも悩まされている。守る存在が必要だ。お前には俺がいる。そういう意味合いだ」
向こうからは、俺たちのことは見えない。黒崎なら小さな物音でも気づく。息をひそめて待っていると、会話が始まった。二葉は落ち込んでいた子とは思えない程の、冷静な話し方をしている。
如月は押し黙っている様子だ。いきなり爆発しそうで怖いと感じたが、黒崎が目を閉じて微笑んだから安心した。
冷静な二葉に対して、如月の早口な話し方が対照的だ。くだけた言い方だし、的が得ていない。謝っている様子もなく、がっかりした。慌てているのだろう。
俺は人を見る目がないのか。黒崎へ考えていることが伝わり、否定しながら背中をさすられた。今は会話を聞かなければ。
「……インターン参加は止めて頂戴」
「……俺の勝手だ。何かの権力があるのかよ」
「……何もないわ。私からの希望よ。一切、近づかないで」
「……大学で同じ授業になった時は?友達の前で不自然だろ。こういうのはよくあることだぞ」
「……二度も言わせないで。いいわね?」
かっこいい。素直にそう思ったところで、二葉がやって来た。俺たちを見て驚いたが、押し黙るようにして声を上げなかった。そのまま3人で本部へ行き、平田さんが入れ替わりで向こうへ行った。
これで終わりだと、黒崎が二葉へ視線を向けた。さっきまでの緊張感はなく、笑顔を浮かべている。“ふったのか?ふったわよ”と、言い合いを始めた。
「二葉。姿勢が曲がっているぞ」
「はい!」
肩を回す仕草をした後、姿勢がよくなった。よしと黒崎が返事をすると笑った。そして、枝川さんから声を掛けられた後、本部へ向かった。二葉が理久の元へと歩いて行った。そして、悠人からアイス珈琲を差し出されて、さっそく飲んでいる。笑顔のままだが、姿勢が崩れ気味だ。すぐに気持ちが楽になるわけがない。
彼女の背中を叩き、理久がワッフルの店へと促している。その光景を眺めて、黒崎が懐かしいと呟いた。
「まるで俺の学生時代だ。沙耶と怜との3人で出かけた。二葉も同じ状況だ」
「あんたもいるだろ。俺も藤沢もいるし、悠人だって」
「裕理は深川さんと似ている。教育係を引き受けて貰えてよかった」
ぽろっと優しい言葉が出てきたことを、自覚しているのかな?きっとお義父さんも同じ気持ちでいた。黒崎は表に出した違いがある。寂しくないよと、腕を掴んでグイグイ引っ張った。持ち場に戻る必要があるだろう。
しかし、優しい時間は終了した。俺への小言が始まったからだ。フードを被って姿を隠せとか、褒められてハンカチを振り回すなとか言われた。そこで悠人へ助けを求めて、何とかおさまった。
黒崎が、如月と二葉に話してこいと促した。周りには人が居ない場所だ。何かあれば助けに来られる場所に本部があるが、暴力を振るわれた後になる。二葉だけを向かわせるのは危ない。せめて近くで待ちたい。
「夏樹。暴力は振るって来ない。俺がいるからだ。見えない位置に居てもだ」
「怖い存在があるからか……。力が弱い相手に手を出すタイプなのか。信じられないよ」
黒崎からの指摘に納得するしかない。暴力を振るうなら、最初からそういう性格だと言われた。黒崎が言うには、二葉には下心で近づいたようだ。今回は手を上げたことで、取り繕い様がない。
(だから俺のことを、如月と会わせなかったのか。理久と藤沢はOKなのに……)
如月と友達付き合いが何となく遠のいていたのは、黒崎が見抜いていたからなのか。だったら二葉を止めなかった理由を聞くと、恋愛感情は反対されると燃えるものだと返って来た。
イベントの賑やかな空気の中で、ここだけが静まり返っている。あとは二葉たちが話し合うだけだ。
「行ってきます」
「向こうで待っている」
俺たちに振り返ることなく、二葉が如月の元へ歩いて行った。理久のことを黒崎が連れて行き、枝川さんへ預けた。俺たちは離れた位置で待つかと思いきや、会話が聞こえる場所まで移動した。
「黒崎さん……。心配なら言えよ……」
「意味がない。どういう方法を取るか見ておく。……育ての父親と似た奴に惹かれた。きつい言い方か?だから見合いさせると言った。いい加減、朝陽にも悩まされている。守る存在が必要だ。お前には俺がいる。そういう意味合いだ」
向こうからは、俺たちのことは見えない。黒崎なら小さな物音でも気づく。息をひそめて待っていると、会話が始まった。二葉は落ち込んでいた子とは思えない程の、冷静な話し方をしている。
如月は押し黙っている様子だ。いきなり爆発しそうで怖いと感じたが、黒崎が目を閉じて微笑んだから安心した。
冷静な二葉に対して、如月の早口な話し方が対照的だ。くだけた言い方だし、的が得ていない。謝っている様子もなく、がっかりした。慌てているのだろう。
俺は人を見る目がないのか。黒崎へ考えていることが伝わり、否定しながら背中をさすられた。今は会話を聞かなければ。
「……インターン参加は止めて頂戴」
「……俺の勝手だ。何かの権力があるのかよ」
「……何もないわ。私からの希望よ。一切、近づかないで」
「……大学で同じ授業になった時は?友達の前で不自然だろ。こういうのはよくあることだぞ」
「……二度も言わせないで。いいわね?」
かっこいい。素直にそう思ったところで、二葉がやって来た。俺たちを見て驚いたが、押し黙るようにして声を上げなかった。そのまま3人で本部へ行き、平田さんが入れ替わりで向こうへ行った。
これで終わりだと、黒崎が二葉へ視線を向けた。さっきまでの緊張感はなく、笑顔を浮かべている。“ふったのか?ふったわよ”と、言い合いを始めた。
「二葉。姿勢が曲がっているぞ」
「はい!」
肩を回す仕草をした後、姿勢がよくなった。よしと黒崎が返事をすると笑った。そして、枝川さんから声を掛けられた後、本部へ向かった。二葉が理久の元へと歩いて行った。そして、悠人からアイス珈琲を差し出されて、さっそく飲んでいる。笑顔のままだが、姿勢が崩れ気味だ。すぐに気持ちが楽になるわけがない。
彼女の背中を叩き、理久がワッフルの店へと促している。その光景を眺めて、黒崎が懐かしいと呟いた。
「まるで俺の学生時代だ。沙耶と怜との3人で出かけた。二葉も同じ状況だ」
「あんたもいるだろ。俺も藤沢もいるし、悠人だって」
「裕理は深川さんと似ている。教育係を引き受けて貰えてよかった」
ぽろっと優しい言葉が出てきたことを、自覚しているのかな?きっとお義父さんも同じ気持ちでいた。黒崎は表に出した違いがある。寂しくないよと、腕を掴んでグイグイ引っ張った。持ち場に戻る必要があるだろう。
しかし、優しい時間は終了した。俺への小言が始まったからだ。フードを被って姿を隠せとか、褒められてハンカチを振り回すなとか言われた。そこで悠人へ助けを求めて、何とかおさまった。
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