白い雫の天使~親愛なる人への旋律

夏目奈緖

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 店から出た後、早瀬さんが車で遠藤さん家へ向かった。それ以外のメンバーで、ぞろぞろと坂道をあがり、温かな家へ入って行った。

 昼ご飯を食べたあたりから、現実味を感じられた。もっと食べろと注意をされながらも、用意したのは”卵とじうどん”のみだ。食べても味が分からないし、お腹に入ったかどうかも分からない心地だ。食後の珈琲を、黒崎が淹れてくれた。これなら出来るようになった。

「落ち着いたか?後で悠人君へ電話をかけてやれ。遠藤さんのお宅から帰ったようだ」
「そっか……。ショッピングモールへ遊びに行くって話してた。戦隊モノのショーを観に行くそうだよ」
「これから出かけるか?構わないぞ」
「ううん。今日は家に居るよ。せっかく黒崎さんが一緒だし」
「出かけた先でも一緒だ。……おいで」
「これを片付けるよ……」
「後でやっておく」

 手を引かれてリビングへ連れて行かれた。ソファーへ横になると、タオルケットをかけてくれた。

 黒崎はどこへ行くのかな?書斎だろうか。少し寂しくなっていると身体が揺れた。一緒に寝転がったからだ。ふわっと匂いがして安心した。そして、髪の毛をすくように撫でられた後、額に唇が押し当てられた。温かくてくすぐったい。

 黒崎がアンへ呼びかけると、勢いよくジャンプして腕の中に上がった。ペロっと鼻先を舐められて笑った。くすぐりの刑とばかりに、黒崎からもキスをされた。いやらしさがなくて、優しいものだ。
 
「笑っているじゃないか。アンも一緒に寝よう」
「こんなキスが出来るんだね~」
「うるさい。元気が出たようだな。宅急便のドライバーへ渡しておく。寝ておけ」

 母への贈り物だ。黒崎のイラストと、一貴さんがデザインしたクッションカバー、晴海さんのフラワー作品。お義父さんから日本酒と和菓子だ。それを丁寧に梱包した。ボーっとしていたものの、普段通りのはずだ。

 黒崎の首筋へ鼻をすり寄せて、笑いながら話した。これからのことを考えて嬉しかったからだ。

 悠人へ電話をかけると、悲鳴があがった。食べていたタコ焼きを、Tシャツへ落としたからだ。大笑いして目が冴えて、結局は夜まで眠れなかった。
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