白い雫の天使~親愛なる人への旋律

夏目奈緖

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 パチパチパチ!

 司会者から本日限定の ”To Dear Drops“ですと紹介された。次のバンド名だろうと、温かなツッコミが入った。黒崎が加入するのかという、笑いも一緒に。

 黒崎のピアノが旋律を奏でると、招待客がため息をもらして拍手した。みんなが知っている楽曲を弾いている間に、悠人がギターで参加した。そして、手拍子が起きた後、歌声をあげた。

 私のお父さんを歌い終えた後、悠人の軽快なリズムが響き渡った。そこへ黒崎の旋律が加わり、何の楽曲か分かったようだ。

 手拍子が起こり、笑顔が広がった。早瀬さんが動画を撮りつつ笑っている。沙耶さん達が微笑み合っている。流れるように、最後の曲に移った。

「Resumption、再開です。To Dear Dropsとしての初披露です。失敗はご愛嬌でお願いします。歌詞を忘れかけているので。沙耶さーん、笑い過ぎだよ~」

 沙耶さんが大笑いしている。自分で書いたくせにと。いざ曲が始まると、会場内が静まり返った。照明の効果を使い、流れていく水面をイメージしてもらった。まるで白い雫のようだ。 

 俺と黒崎を繋いでくれたのは、沙耶さんだ。大喧嘩をしては仲直りさせてくれた。そして、永遠の誓いを立てた時の、立会人としての存在だ。

 黒崎へ寄せたメッセージを歌詞に使った。束縛が激しくて寂しがり屋への。本人に教えてあるから、決まり悪そうにしていた。
 
「……1番でも2番でも関係ない……、ここにいるよ。……本気で求めてほしい。自分の力で獲れと……Resumption……」

 最後の一音はピアノの音色だ。空中に吸い込まれるように音が鳴り響いた後、3人でお辞儀をすると、大きな拍手が起こった。

 パチパチパチ!

 沙耶さんが俺たちのところへ来てくれた。彼女に抱きついて、お礼を言った。反対だと黒崎からツッコミが入ったが、意味は理解してくれた。マイクを通して俺たちの会話が流れている。

「はいはい。ありがとう。いつも泣き虫ねえ」
「うん。もう戻るよ。あ、禁句だっけ?……戻るって。ゆうとー、そうだよね?ああ、席に戻ったの?黒崎さんは……。え?笑ってる……」

 思い切り墓穴を彫った。顔が熱くなり、黒崎に隠してもらって席に戻った。ウケを狙ったわけではないのに、笑いが起きることがある。天然ボケの自覚はあるが、少しズレている程度だ。黒崎が何も言わずに笑っている。完全否定できないのか。
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