257 / 265
31-4(黒崎視点)
しおりを挟む
午前6時。
羽田空港第二ターミナルへ到着した。母とはラウンジで待ち合わせをしている。出入口から見て、すぐに見つけることができた。飛行機を眺めている後ろ姿で分かった。
早めに待ち合わせたのは、朝陽のことを話すためだ。こんな時にやめなさいと言われたが、そうも言っていられない状況になりつつある。勉強をせずに、女の子達の家に入り浸っているようだ。
母親が言い聞かせようが、聞くような年齢ではない。20歳になった自覚もない。家庭環境が原因なのか?二葉はしっかりしている。
「イケメン医学生だからモテるのか?……それも今だけだ。俺から話しておく」
「私の責任よ。仕事ばかりで、あの子の話を聞いていないもの」
「二葉は十分だと言っていたぞ。それに何を話すんだ?母と姉を守れるのは自分だけだと自覚させる。黒崎製菓グループでバイトをさせてもいい。学業の方がマシだと思わせる。俺に任せておけ」
「あの子は優しい子よ!」
「二葉もそうだ」
「圭一……」
夏樹とは一歳しか違いがない。万理とは同じ年だ。二葉を見れば、母の影響だとは思えない。優秀な姉との違いを、子供の頃から感じている。晴海兄さんに話すと、少々は理解できるとは言っていた。
これで話は終わりだと告げて、出発ロビーへ向かった。俺からキツい言い方をされたのに、反対に気遣われている。二葉のことでは感謝されて、何でもないことだと返しておいた。
夏樹からラインが入り、ホッとした。あの子がつらい思いをしているが、そばに居られないことを悔やむ。薄情だと自覚しながらも、朝陽に強く言えない母のことに悩んだ。
そんな俺のことを、母が何も言わずに背中に手を回してきた。優しいリズムで叩く仕草は自然なものだ。
この存在を、夏樹たちは失われようとしているのか。いつか別れる日が来るが、こんなに早くなくてもいいだろう。
あの日の砂浜で鳴らしたストラップを預かっている。赤いカーディガンと着物で、心が通じ合うといい。その手助けをする。そう心得て、ロビーへ向かった。
羽田空港第二ターミナルへ到着した。母とはラウンジで待ち合わせをしている。出入口から見て、すぐに見つけることができた。飛行機を眺めている後ろ姿で分かった。
早めに待ち合わせたのは、朝陽のことを話すためだ。こんな時にやめなさいと言われたが、そうも言っていられない状況になりつつある。勉強をせずに、女の子達の家に入り浸っているようだ。
母親が言い聞かせようが、聞くような年齢ではない。20歳になった自覚もない。家庭環境が原因なのか?二葉はしっかりしている。
「イケメン医学生だからモテるのか?……それも今だけだ。俺から話しておく」
「私の責任よ。仕事ばかりで、あの子の話を聞いていないもの」
「二葉は十分だと言っていたぞ。それに何を話すんだ?母と姉を守れるのは自分だけだと自覚させる。黒崎製菓グループでバイトをさせてもいい。学業の方がマシだと思わせる。俺に任せておけ」
「あの子は優しい子よ!」
「二葉もそうだ」
「圭一……」
夏樹とは一歳しか違いがない。万理とは同じ年だ。二葉を見れば、母の影響だとは思えない。優秀な姉との違いを、子供の頃から感じている。晴海兄さんに話すと、少々は理解できるとは言っていた。
これで話は終わりだと告げて、出発ロビーへ向かった。俺からキツい言い方をされたのに、反対に気遣われている。二葉のことでは感謝されて、何でもないことだと返しておいた。
夏樹からラインが入り、ホッとした。あの子がつらい思いをしているが、そばに居られないことを悔やむ。薄情だと自覚しながらも、朝陽に強く言えない母のことに悩んだ。
そんな俺のことを、母が何も言わずに背中に手を回してきた。優しいリズムで叩く仕草は自然なものだ。
この存在を、夏樹たちは失われようとしているのか。いつか別れる日が来るが、こんなに早くなくてもいいだろう。
あの日の砂浜で鳴らしたストラップを預かっている。赤いカーディガンと着物で、心が通じ合うといい。その手助けをする。そう心得て、ロビーへ向かった。
0
あなたにおすすめの小説
病弱の花
雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる