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31-7(夏樹視点)
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20時。
ステージが終盤を超えた。ステージサイドに戻り、Far from heaven の準備に入った。紅い上弦の月の演出がされて、新月になり照明が落ちる。そこでステージの終了だ。
着物を羽織っている時、長谷部さんが走って来た。黒崎からだと言っている。胸の鼓動が跳ねたが、すぐに嬉しい知らせだと分かった。自然と涙が零れ落ちた。電話の向こうでは万理の声がしている。そして、黒崎が出た。
「……お母さんが目を覚ました。みんなの名前を呼んでいる。みんなの顔も分かっている。ライブ中継を観てもらう。これから、天国から遠く離れてだろう?聴いてもらうことにした」
「うん……。心を込めて歌うよ」
これ以上は話さない方がいい。涙と嗚咽で歌えなくなりそうだ。そして、白く輝いているステージへ歩き進んだ。歓声が起こる中、母の姿を思い浮かべた。ここからは空が見えないが、鈴を鳴らして感謝を伝える。
マイクの位置までたどり着ついた後、ベルト部分のストラップを揺らした。すると、白い照明が雲の代わりなのかな?タイミングよく消えていった。
「……far from heaven.天国から遠く離れてを聴いて下さい……」
ワーーーーーーー!
目の前の観客へ、そして、離れた場所にいる、愛する人たちへ届くように歌声をあげた。繊細さではなく力強さを求めた。悠人の力強いピアノの旋律と、佐久弥の繊細なアコースティックギターの旋律に歌声を乗せた。
「……far from heaven、……誰が間違っているのか、正しいのかは……重要なの……、あなたが心の傷跡の中にいることが嫌だ……」
歌っている間、子供の頃の思い出が蘇ってきた。入院先のベッドで母が付き添ってくれて、兄弟達から独り占めできた気分になっていた。すごく心配をかけていたというのに。今、母はみんなに囲まれている。俺も同じだ。精一杯の歌声を上げた。
最後の一音が空間に吸い込まれた後、歓声と拍手が起きた。悠人と佐久弥から抱きつかれた。何かが視界の中で輝いていると思えば、自分の涙だった。
パチパチパチ!
ワーーーーーーー!
白い雫が涙として頬を伝った。親愛なるメンバーと手を握り合い、目の前に広がる光景を、この目に焼き付けた。
嬉しい涙?悲しい涙?どっちかな?
--その答えは“うれし泣き”。
ポタっと落ちて、水玉模様を作った。次第に広がり、降り注ぐライトを反射した。まるで宝石のように輝き始めた時、親愛なるメンバーの、胸もとの聖なる雫も輝いた。
同じく雫が滴るメンバー、親愛なる人と抱き合った。贈られた雫は、ずっと輝いている。
ーーTo Dear Drops.
ーー母と、あの人に捧げる旋律。
「ありがとうございました!」
大きく声を張り上げた。目の前と、遠く離れた場所に居る、愛する人たちへ届くように。このステージを降りた後、会いに行く。帰る場所は我が家だ。温かな日々とともに。
ステージが終盤を超えた。ステージサイドに戻り、Far from heaven の準備に入った。紅い上弦の月の演出がされて、新月になり照明が落ちる。そこでステージの終了だ。
着物を羽織っている時、長谷部さんが走って来た。黒崎からだと言っている。胸の鼓動が跳ねたが、すぐに嬉しい知らせだと分かった。自然と涙が零れ落ちた。電話の向こうでは万理の声がしている。そして、黒崎が出た。
「……お母さんが目を覚ました。みんなの名前を呼んでいる。みんなの顔も分かっている。ライブ中継を観てもらう。これから、天国から遠く離れてだろう?聴いてもらうことにした」
「うん……。心を込めて歌うよ」
これ以上は話さない方がいい。涙と嗚咽で歌えなくなりそうだ。そして、白く輝いているステージへ歩き進んだ。歓声が起こる中、母の姿を思い浮かべた。ここからは空が見えないが、鈴を鳴らして感謝を伝える。
マイクの位置までたどり着ついた後、ベルト部分のストラップを揺らした。すると、白い照明が雲の代わりなのかな?タイミングよく消えていった。
「……far from heaven.天国から遠く離れてを聴いて下さい……」
ワーーーーーーー!
目の前の観客へ、そして、離れた場所にいる、愛する人たちへ届くように歌声をあげた。繊細さではなく力強さを求めた。悠人の力強いピアノの旋律と、佐久弥の繊細なアコースティックギターの旋律に歌声を乗せた。
「……far from heaven、……誰が間違っているのか、正しいのかは……重要なの……、あなたが心の傷跡の中にいることが嫌だ……」
歌っている間、子供の頃の思い出が蘇ってきた。入院先のベッドで母が付き添ってくれて、兄弟達から独り占めできた気分になっていた。すごく心配をかけていたというのに。今、母はみんなに囲まれている。俺も同じだ。精一杯の歌声を上げた。
最後の一音が空間に吸い込まれた後、歓声と拍手が起きた。悠人と佐久弥から抱きつかれた。何かが視界の中で輝いていると思えば、自分の涙だった。
パチパチパチ!
ワーーーーーーー!
白い雫が涙として頬を伝った。親愛なるメンバーと手を握り合い、目の前に広がる光景を、この目に焼き付けた。
嬉しい涙?悲しい涙?どっちかな?
--その答えは“うれし泣き”。
ポタっと落ちて、水玉模様を作った。次第に広がり、降り注ぐライトを反射した。まるで宝石のように輝き始めた時、親愛なるメンバーの、胸もとの聖なる雫も輝いた。
同じく雫が滴るメンバー、親愛なる人と抱き合った。贈られた雫は、ずっと輝いている。
ーーTo Dear Drops.
ーー母と、あの人に捧げる旋律。
「ありがとうございました!」
大きく声を張り上げた。目の前と、遠く離れた場所に居る、愛する人たちへ届くように。このステージを降りた後、会いに行く。帰る場所は我が家だ。温かな日々とともに。
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