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口をパクパク開けても、言葉が出てこない。今の沈黙に居心地が悪い。しかも、手を握られたままだ。 そして、信号が青に変わり、やっと手を離してもらえた。早瀬は変な男だと思う。
「はあ……」
「ため息が多いね」
「振り回されているからだよ。早瀬さんのペースに呑まれて、言いたいことが言えないし」
考えていることを先回りされて、逃げ道を塞がれてしまう。そして、引き返して逃げようとすると、背後に立っている状況だ。他の相手なら付き合わないはずだ。それもこれも、モップ事件のせいだと思う。
「僕に振り回されているのか?」
「自然に出来るのって、すごいね」
「わざとやっているからだよ」
「げえええっ」
「そう、その反応だよ。会社と家の往復でね。悠人君を見ていると飽きない」
「退屈しのぎなの?」
「いけない?」
「感じが悪い!」
一瞬でも尊敬したのが、阿呆らしくなった。こんなに人を馬鹿にした態度は失礼だ。肩を揺すって笑っている早瀬を睨みつけた後、窓の方へ向いた。
「そんなに怒らないで。こっちを向いてくれないか?ちゃんと謝るから」
「いやだよ」
「もう店に着いたよ」
「え……?」
いつの間にか到着していた。車酔いをせずに済んだのは、ペラペラ喋っていたからだ。駐車場に停車された後、シートベルトを外そうとした。しかし、上手く外せない。
「あれ?外れないよーー」
「やってあげる」
「ありがとう」
「どういたしまして」
早瀬が運転席から身を乗り出し、俺に覆いかぶさるような姿勢になった。鼻を掠めたのは、すっきりした匂いだ。何か付けているのだろう。
(いい匂いだな……)
そう思っていると、シートベルトが外れた音がした。でも、早瀬は動かないままだ。どうしたの?そう声をかけようとした時、いきなり顔を上げたから、至近距離で目が合った。 そして、片方の手首を優しい力で掴まれた後、シートに押し付けられた。
「どうしたの?ええ?」
「このまま動かないで……」
「え?んんーっ」
唇に温かい感触が起きた。なんと男とキスをしている。俺のファーストキスだ。同級生や、先輩からされそうになる度に死守してきた。そういう俺の大事な唇を、出会ったばかりの男に奪われた。こんなことは許せない。怒りが込み上げた後、左手で胸を押した。しかし、左手も早瀬に掴まれて、シートに押し付けられた。
「変な冗談はやめろよ!」
「冗談なんかじゃないよ」
至近距離にある早瀬の顔は真面目だった。そして、囁くように言われた。
「悠人君。君のことが好きになったみたいだ」
「はあー?」
「そういうこと。僕のことを好きになってくれないかな?」
驚きすぎて返す言葉がない。瞬きするのも忘れたのか、コンタクトレンズが渇いた感覚まで起きた。目を開けたり閉じたりしても、全く潤わない。こんな俺を見ても動じないまま、早瀬が助手席のドアを開けてくれた。俺は呆然としたまま車から降りた。
「はあ……」
「ため息が多いね」
「振り回されているからだよ。早瀬さんのペースに呑まれて、言いたいことが言えないし」
考えていることを先回りされて、逃げ道を塞がれてしまう。そして、引き返して逃げようとすると、背後に立っている状況だ。他の相手なら付き合わないはずだ。それもこれも、モップ事件のせいだと思う。
「僕に振り回されているのか?」
「自然に出来るのって、すごいね」
「わざとやっているからだよ」
「げえええっ」
「そう、その反応だよ。会社と家の往復でね。悠人君を見ていると飽きない」
「退屈しのぎなの?」
「いけない?」
「感じが悪い!」
一瞬でも尊敬したのが、阿呆らしくなった。こんなに人を馬鹿にした態度は失礼だ。肩を揺すって笑っている早瀬を睨みつけた後、窓の方へ向いた。
「そんなに怒らないで。こっちを向いてくれないか?ちゃんと謝るから」
「いやだよ」
「もう店に着いたよ」
「え……?」
いつの間にか到着していた。車酔いをせずに済んだのは、ペラペラ喋っていたからだ。駐車場に停車された後、シートベルトを外そうとした。しかし、上手く外せない。
「あれ?外れないよーー」
「やってあげる」
「ありがとう」
「どういたしまして」
早瀬が運転席から身を乗り出し、俺に覆いかぶさるような姿勢になった。鼻を掠めたのは、すっきりした匂いだ。何か付けているのだろう。
(いい匂いだな……)
そう思っていると、シートベルトが外れた音がした。でも、早瀬は動かないままだ。どうしたの?そう声をかけようとした時、いきなり顔を上げたから、至近距離で目が合った。 そして、片方の手首を優しい力で掴まれた後、シートに押し付けられた。
「どうしたの?ええ?」
「このまま動かないで……」
「え?んんーっ」
唇に温かい感触が起きた。なんと男とキスをしている。俺のファーストキスだ。同級生や、先輩からされそうになる度に死守してきた。そういう俺の大事な唇を、出会ったばかりの男に奪われた。こんなことは許せない。怒りが込み上げた後、左手で胸を押した。しかし、左手も早瀬に掴まれて、シートに押し付けられた。
「変な冗談はやめろよ!」
「冗談なんかじゃないよ」
至近距離にある早瀬の顔は真面目だった。そして、囁くように言われた。
「悠人君。君のことが好きになったみたいだ」
「はあー?」
「そういうこと。僕のことを好きになってくれないかな?」
驚きすぎて返す言葉がない。瞬きするのも忘れたのか、コンタクトレンズが渇いた感覚まで起きた。目を開けたり閉じたりしても、全く潤わない。こんな俺を見ても動じないまま、早瀬が助手席のドアを開けてくれた。俺は呆然としたまま車から降りた。
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