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午前9時。
インターンシップの開始時刻が迫った。この会議室には、スーツ姿の参加者が、ズラっと着席している。AからK列までの11グループに分けられている。このグループでワークをやるのだろう。俺はG列のメンバーだ。
(80人が11グループ?どうして10グループじゃないのかな?)
俺の隣に座っているのは、大学二年生の山本さんだ。優しそうな女の子で、別の大学に通っている。すぐに打ち解けてもらえた。俺が男臭くないからだ。
この中には同じ学部内の友達がいる。山本さんの向こうに座っている。そこそこ仲が良いほうだ。何となく連絡先を交換して、付き合いをしている。俺にはそういう相手が多い。
(お兄ちゃんみたいに親友がいない……)
自分が変われば出来る気がする。このままでは本気で取り合ってもらえない。ふと、枝川さんのことが気になった。奥の部屋へ行き、そのまま姿を見ていない。スタッフとして会場に張り付くと言っていたから、また会えるだろう。
(ご飯を食べに行くの、楽しみだなあ。仲良くなれるといいな……。気が合いそうだし……)
ひょんなことから知り合った。友達といえば学生しかいないから新鮮だ。キョロキョロしても、やっぱり姿はなかった。
ガタ、ガタ……。
すぐ前の席の参加者が戻ってきた。トイレに行ってていた様子だ。わずかな椅子の音なのに、隣の男の子がチラッと視線を向けた。何か話しかけるかと思えば、そうしない。何かを書きこんでいる。そして、サッと、ペンケースを自分のほうに寄せた。
戻ってきた子がファイルを開きつつ、何かを取り出していた。男の子が視線を向けた後、椅子を自分の方に寄せた。ほんの数センチもないのに。
(ふうん……。邪魔だって意味か……。なんで参加したのかな?)
二人は同じグループ同士だ。ロクに話していない状態で、この態度は勘弁してほしい。他の席へ視線を向けると、同じような光景が見えた。ギスギスした空気が漂っている。そこで、久弥から言われたことが思い浮かんだ。
(お前は人のことを気にしすぎだ。観察して動きを読むのはOK。でも、自分に降りかかったかのように感じるのはダメだ。顔色をうかがい過ぎる……って)
この3日間、この空気感の中でやるのか。重たい気分になっていると、前の方のグループに、ロビーで見かけた男の子を見つけた。隣の子と楽しそうに話している。すると、隣の列からの会話が聞こえてきた。
「黒崎夏樹か。ここの息子だってさ……」
「受付で盛り上がっていたぞ。声をかけよう。昼休憩しかチャンスがない」
「連絡先を?ヤバいだろ」
「分からないって。誰でもやってるって……」
(ええ?あぶないなあ。仲良くしたいのか……)
俺達には、今回の参加者のフルネームが記載された名簿が配られている。彼らを見ると、ペンで印を付けている表情が、とても嫌な感じだった。仲良くしたら有利な子を見つけたということだ。
(だから俺は温室育ちなのか。嫌なものは嫌なんだけど……)
かといって、NOと言えない性格をしている。心の中では批判しているくせに。
モヤモヤした気分になっていると、枝川さんのことが視界に入った。裕理君と話している。何となく眺めていると、こっちを向いた。距離があるのに気づいてくれたようだ。しかも軽く手を振ってくれた。
(嬉しいなあ。頭だけ下げておこう……)
会釈をすると笑顔を返された。モヤモヤが消えて、気持ちを切り替えることが出来た。
すると、さっきまでのざわめきが治まった。会場内が張り詰めた空気に変わった。いよいよインターンシップが開催されるからだ。壇上のスクリーンには ”黒崎製菓株式会社、インターンシップに際して" という文字が表示された。
インターンシップの開始時刻が迫った。この会議室には、スーツ姿の参加者が、ズラっと着席している。AからK列までの11グループに分けられている。このグループでワークをやるのだろう。俺はG列のメンバーだ。
(80人が11グループ?どうして10グループじゃないのかな?)
俺の隣に座っているのは、大学二年生の山本さんだ。優しそうな女の子で、別の大学に通っている。すぐに打ち解けてもらえた。俺が男臭くないからだ。
この中には同じ学部内の友達がいる。山本さんの向こうに座っている。そこそこ仲が良いほうだ。何となく連絡先を交換して、付き合いをしている。俺にはそういう相手が多い。
(お兄ちゃんみたいに親友がいない……)
自分が変われば出来る気がする。このままでは本気で取り合ってもらえない。ふと、枝川さんのことが気になった。奥の部屋へ行き、そのまま姿を見ていない。スタッフとして会場に張り付くと言っていたから、また会えるだろう。
(ご飯を食べに行くの、楽しみだなあ。仲良くなれるといいな……。気が合いそうだし……)
ひょんなことから知り合った。友達といえば学生しかいないから新鮮だ。キョロキョロしても、やっぱり姿はなかった。
ガタ、ガタ……。
すぐ前の席の参加者が戻ってきた。トイレに行ってていた様子だ。わずかな椅子の音なのに、隣の男の子がチラッと視線を向けた。何か話しかけるかと思えば、そうしない。何かを書きこんでいる。そして、サッと、ペンケースを自分のほうに寄せた。
戻ってきた子がファイルを開きつつ、何かを取り出していた。男の子が視線を向けた後、椅子を自分の方に寄せた。ほんの数センチもないのに。
(ふうん……。邪魔だって意味か……。なんで参加したのかな?)
二人は同じグループ同士だ。ロクに話していない状態で、この態度は勘弁してほしい。他の席へ視線を向けると、同じような光景が見えた。ギスギスした空気が漂っている。そこで、久弥から言われたことが思い浮かんだ。
(お前は人のことを気にしすぎだ。観察して動きを読むのはOK。でも、自分に降りかかったかのように感じるのはダメだ。顔色をうかがい過ぎる……って)
この3日間、この空気感の中でやるのか。重たい気分になっていると、前の方のグループに、ロビーで見かけた男の子を見つけた。隣の子と楽しそうに話している。すると、隣の列からの会話が聞こえてきた。
「黒崎夏樹か。ここの息子だってさ……」
「受付で盛り上がっていたぞ。声をかけよう。昼休憩しかチャンスがない」
「連絡先を?ヤバいだろ」
「分からないって。誰でもやってるって……」
(ええ?あぶないなあ。仲良くしたいのか……)
俺達には、今回の参加者のフルネームが記載された名簿が配られている。彼らを見ると、ペンで印を付けている表情が、とても嫌な感じだった。仲良くしたら有利な子を見つけたということだ。
(だから俺は温室育ちなのか。嫌なものは嫌なんだけど……)
かといって、NOと言えない性格をしている。心の中では批判しているくせに。
モヤモヤした気分になっていると、枝川さんのことが視界に入った。裕理君と話している。何となく眺めていると、こっちを向いた。距離があるのに気づいてくれたようだ。しかも軽く手を振ってくれた。
(嬉しいなあ。頭だけ下げておこう……)
会釈をすると笑顔を返された。モヤモヤが消えて、気持ちを切り替えることが出来た。
すると、さっきまでのざわめきが治まった。会場内が張り詰めた空気に変わった。いよいよインターンシップが開催されるからだ。壇上のスクリーンには ”黒崎製菓株式会社、インターンシップに際して" という文字が表示された。
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