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ガタガタ……。
テーブルにたどり着くと、如月君が、さっそく空いている椅子を引いてくれた。ここに座れよと。はいはいと言って荷物も取られて、彼の隣に置かれた。この強引さが気持ちいい。俺の方が遠慮がちにしていたからだ。
「3時限目が入っているだろ?早く食べないと時間が足りないぞ?何にする?買ってきてやる」
「自分で行くからいいよ。ねぎ塩唐揚げ丼だし」
この店の定番メニューだ。ササッと食べられる丼物は学生たちに人気だ。しかし、カウンターへ向かおうとすると、本日売り切れの張り紙がされた。
「ああー、売り切れか。休み明けだから間に合うと思ったのに」
「次から俺に連絡して来いよ。先に買っておくから」
「ありがとう」
「佐伯は遠慮がちだからな。もっとグイグイいけよ。なあ、藤沢もそう思うだろ?」
「理久君の、おっとりした性格もいいよ。涼介と正反対で、いいコンビだ」
「そうだけどな。深くは考えていないふりをするのは、ある意味、武器だぞ」
自分は深く考えていない性格だと、出会った時に話してあった。だから考えなしに黒崎君に連絡先を聞いてしまいそうになり、トラブルになったのだと。しかしそれは違うはずだと、如月君に見破られた。
それは最終日のことだった。黒崎君との3人で連絡先を交換した後、幸也君との待ち合わせ場所へ向かった。その直後、如月君からラインが入っていた。そして、その夜、ゆっくりと考えつつやり取りをした。電話でも良かったが、ラインにしようと決めた。
『佐伯が言っているのは、本当は反対だろう?よく考える性格をしていると思ったぞ。どうして考えていないふりをするんだ?』
『自分を守るためだった。温室育ちでいたほうが楽だった。これからはやめるよ』
『協力する。おまえはいい奴だ。もっと自信を持て。明日、キャンパスで声をかけるぞ!』
本当に次の日に声を掛けられた。インターンシップの時のような大声で、さえきーー!と。その時にビビッときた。如月君のことが好きになった瞬間だった。しかし、恋愛未経験だから、この先をどうすればいいのか分からない。急に告白されても困るのは分かり切っている。俺の方も、具体的に何がしたいのかが分からない。恋人同士なら、キスをしたりいちゃついたりするだろう。しかし、その発想が浮かばない。久弥からは、”憧れているだけだ。恋愛感情じゃないだろう”と指摘された。そして、幸也君への感情こそ、恋愛感情だと教えられた。
(今までにいないタイプの子だから、憧れだって?それなら幸也君もそうだよ……)
思い出すだけでムカムカしてきた。久弥に対してではなく、幸也君に向けてのものだ。俺のことが好きだし、付き合いたいと言っている。そのくせに喧嘩になっている。あの大人げのなさと気の多さ。たしかに周りにいないタイプだ。
「俺は認めないーー!」
「理久君ー?どうしたの?」
「売り切れが悔しくて……」
「はいはい」
とっさに誤魔化したのに、藤沢君がクスクスと笑い出した。実はこの子にも見破られている。天真爛漫なふりをしていることに。だから、”可愛い理久君”でいる必要がなくなった。文句を吐くし、人目を気にしている。ありのままだ。すると、藤沢君が言った。
「向こうのカウンターに行こう。焼き立てパンが出てくる頃だよ」
「そうだね!今日はメロンパンにするよ。如月君、買ってこようか?」
「頼む!ミカンロールパンと、クロワッサン」
「はいはい。理久君、行こうか」
「あ……」
藤沢君が立ち上った。幸也君ぐらい背が高い。見上げる角度も同じだ。こうして脳裏に浮かぶことすら腹が立つ。それなのに食事や遊びの誘いに乗っている自分自身が理解不能だ。
テーブルにたどり着くと、如月君が、さっそく空いている椅子を引いてくれた。ここに座れよと。はいはいと言って荷物も取られて、彼の隣に置かれた。この強引さが気持ちいい。俺の方が遠慮がちにしていたからだ。
「3時限目が入っているだろ?早く食べないと時間が足りないぞ?何にする?買ってきてやる」
「自分で行くからいいよ。ねぎ塩唐揚げ丼だし」
この店の定番メニューだ。ササッと食べられる丼物は学生たちに人気だ。しかし、カウンターへ向かおうとすると、本日売り切れの張り紙がされた。
「ああー、売り切れか。休み明けだから間に合うと思ったのに」
「次から俺に連絡して来いよ。先に買っておくから」
「ありがとう」
「佐伯は遠慮がちだからな。もっとグイグイいけよ。なあ、藤沢もそう思うだろ?」
「理久君の、おっとりした性格もいいよ。涼介と正反対で、いいコンビだ」
「そうだけどな。深くは考えていないふりをするのは、ある意味、武器だぞ」
自分は深く考えていない性格だと、出会った時に話してあった。だから考えなしに黒崎君に連絡先を聞いてしまいそうになり、トラブルになったのだと。しかしそれは違うはずだと、如月君に見破られた。
それは最終日のことだった。黒崎君との3人で連絡先を交換した後、幸也君との待ち合わせ場所へ向かった。その直後、如月君からラインが入っていた。そして、その夜、ゆっくりと考えつつやり取りをした。電話でも良かったが、ラインにしようと決めた。
『佐伯が言っているのは、本当は反対だろう?よく考える性格をしていると思ったぞ。どうして考えていないふりをするんだ?』
『自分を守るためだった。温室育ちでいたほうが楽だった。これからはやめるよ』
『協力する。おまえはいい奴だ。もっと自信を持て。明日、キャンパスで声をかけるぞ!』
本当に次の日に声を掛けられた。インターンシップの時のような大声で、さえきーー!と。その時にビビッときた。如月君のことが好きになった瞬間だった。しかし、恋愛未経験だから、この先をどうすればいいのか分からない。急に告白されても困るのは分かり切っている。俺の方も、具体的に何がしたいのかが分からない。恋人同士なら、キスをしたりいちゃついたりするだろう。しかし、その発想が浮かばない。久弥からは、”憧れているだけだ。恋愛感情じゃないだろう”と指摘された。そして、幸也君への感情こそ、恋愛感情だと教えられた。
(今までにいないタイプの子だから、憧れだって?それなら幸也君もそうだよ……)
思い出すだけでムカムカしてきた。久弥に対してではなく、幸也君に向けてのものだ。俺のことが好きだし、付き合いたいと言っている。そのくせに喧嘩になっている。あの大人げのなさと気の多さ。たしかに周りにいないタイプだ。
「俺は認めないーー!」
「理久君ー?どうしたの?」
「売り切れが悔しくて……」
「はいはい」
とっさに誤魔化したのに、藤沢君がクスクスと笑い出した。実はこの子にも見破られている。天真爛漫なふりをしていることに。だから、”可愛い理久君”でいる必要がなくなった。文句を吐くし、人目を気にしている。ありのままだ。すると、藤沢君が言った。
「向こうのカウンターに行こう。焼き立てパンが出てくる頃だよ」
「そうだね!今日はメロンパンにするよ。如月君、買ってこようか?」
「頼む!ミカンロールパンと、クロワッサン」
「はいはい。理久君、行こうか」
「あ……」
藤沢君が立ち上った。幸也君ぐらい背が高い。見上げる角度も同じだ。こうして脳裏に浮かぶことすら腹が立つ。それなのに食事や遊びの誘いに乗っている自分自身が理解不能だ。
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