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7-2(枝川視点)
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12時半。
黒崎製菓の営業企画部オフィスでは、一つの騒ぎが起きている。業務中は通常通りだったが、昼休み時間を迎えて、ある話題で持ちきりだ。この企画部内の、販促チームの社員が逮捕されたことが理由だ。
早朝に部長以上が集まり、会議が行われた。それを受けて、チーフから課長クラスが社員へのフォローを行っている。噂とするなというのは無理だ。業務の滞りを食い止めている。
(理久、気を遣っていたな。理由を話しても良かったけど……)
痴漢捕まった社員がいるから忙しくなった。そう言えば良かったのか。なるべくなら事情を話したくない。気分のいいものではないからだ。夜遅くまで対応するため、家族がいるものは話してあるだろう。
捕まったのは白澤という、30代後半の社員だ。以前から評判が悪く、問題を起こしていた。今月末には支社への異動が決まっていた。このことで、会社にやり返したのだろう。出世競争にやぶれた腹いせだ。
マーケティング推進室は落ち着き払っている。橋本室長と併せてチーフである自分も目を光らせているからだ。
どの企業でも同じことだとだが、足の引っ張り合いを頻繁にやっている。実際に自分もされている。それをクリアしつつ、心が消耗している。
ここから見えるのは、役員室と部長クラスのデスクだ。課長以上のミーティングが行われている。それが終わり次第、室長からの指示があるはずだ。その間に、俺は部下達に声をかけた。
「太市君。午後のミーティングは中止にする。来週の火曜日、午後に変更だ」
「はい。16時からの、開発メニューチームの打合せは……」
「当初の予定通りに進めてくれ。平田を見なかったか?」
「平田ですか、さっき販促チームの方へ……」
「そうか。すまない」
ひと言断り、パソコンに視線を落とした。平田は4月まで販促チームに所属していた。新入社員時代には、白澤から面倒を見てもらっている。知らせを耳にした後、沈み込んでいた。
(今はフォローが出来ない。帰る頃にはできるかな……)
モヤモヤした気分で業務を続けていると、早瀬から声がかかった。すぐに向かうと、黒崎が電話中だった。また何かあったのか?
「新しい問題は起きていない。頼みたいことがある。一階のロビーの受付へ、これを届けてほしい」
「かしこまりました。今回の対応策ですか。メールにしないんですか?」
「漏れ伝わるからだ。もう一つある。顧問弁護士がロビーに到着した。ここへ案内してくれ」
「承知しました。久田弁護士ですか?」
「今回は違う。桂川弁護士だ。受付そばのソファーで待ってもらっている」
「はい。今から向かいます」
お馴染みの久田さんではなかった。今回から新しく、顧問弁護士が加わるそうだ。さっそくオフィスを出た。
黒崎製菓の営業企画部オフィスでは、一つの騒ぎが起きている。業務中は通常通りだったが、昼休み時間を迎えて、ある話題で持ちきりだ。この企画部内の、販促チームの社員が逮捕されたことが理由だ。
早朝に部長以上が集まり、会議が行われた。それを受けて、チーフから課長クラスが社員へのフォローを行っている。噂とするなというのは無理だ。業務の滞りを食い止めている。
(理久、気を遣っていたな。理由を話しても良かったけど……)
痴漢捕まった社員がいるから忙しくなった。そう言えば良かったのか。なるべくなら事情を話したくない。気分のいいものではないからだ。夜遅くまで対応するため、家族がいるものは話してあるだろう。
捕まったのは白澤という、30代後半の社員だ。以前から評判が悪く、問題を起こしていた。今月末には支社への異動が決まっていた。このことで、会社にやり返したのだろう。出世競争にやぶれた腹いせだ。
マーケティング推進室は落ち着き払っている。橋本室長と併せてチーフである自分も目を光らせているからだ。
どの企業でも同じことだとだが、足の引っ張り合いを頻繁にやっている。実際に自分もされている。それをクリアしつつ、心が消耗している。
ここから見えるのは、役員室と部長クラスのデスクだ。課長以上のミーティングが行われている。それが終わり次第、室長からの指示があるはずだ。その間に、俺は部下達に声をかけた。
「太市君。午後のミーティングは中止にする。来週の火曜日、午後に変更だ」
「はい。16時からの、開発メニューチームの打合せは……」
「当初の予定通りに進めてくれ。平田を見なかったか?」
「平田ですか、さっき販促チームの方へ……」
「そうか。すまない」
ひと言断り、パソコンに視線を落とした。平田は4月まで販促チームに所属していた。新入社員時代には、白澤から面倒を見てもらっている。知らせを耳にした後、沈み込んでいた。
(今はフォローが出来ない。帰る頃にはできるかな……)
モヤモヤした気分で業務を続けていると、早瀬から声がかかった。すぐに向かうと、黒崎が電話中だった。また何かあったのか?
「新しい問題は起きていない。頼みたいことがある。一階のロビーの受付へ、これを届けてほしい」
「かしこまりました。今回の対応策ですか。メールにしないんですか?」
「漏れ伝わるからだ。もう一つある。顧問弁護士がロビーに到着した。ここへ案内してくれ」
「承知しました。久田弁護士ですか?」
「今回は違う。桂川弁護士だ。受付そばのソファーで待ってもらっている」
「はい。今から向かいます」
お馴染みの久田さんではなかった。今回から新しく、顧問弁護士が加わるそうだ。さっそくオフィスを出た。
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