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1-1 夏樹の日常
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11月1日、金曜日。午前6時。
朝の空気が気持ちいい。今、俺は庭の畑にいる。朝ご飯を食べた後、家庭菜園のトマトとネギとナスの収穫を済ませて、水やりを終わらせた。空はすっかり白くなり、東の方から太陽の光が差し込んできた。
朝ご飯を済ませた後だ。本当はこの畑の朝どれのトマトを使って、今朝の朝ご飯のサラダに使いたかったが、まだ暗いうちは危ないからと言って、畑に出るのを黒崎から止められた。
黒崎は今年38歳になる俺のパートナーだ。結婚指輪もしている。俺は22歳だから、お互いに年が離れている。しかし、喧嘩をすることもある。大抵は俺が拗ねて口を聞かないのがパターンだ。その時の黒崎は俺の怒りが収まるのを待っている。頼もしくて、束縛と独占欲が強い人だ。しかし、その独占欲は、俺が音楽の仕事を始めたことで弱まってきた。俺はそれがなんだか寂しくなり、黒崎にまとわりついている状況だ。
黒崎はとてもかっこいい人だ。黒崎製菓の副社長をしており、仕事では色んな人に会う。その中にはプライベートな誘いが書かれたメッセージカードを受け取ることもあり、俺はヤキモチを焼いている。しかし、浮気をしない人だ。
「ふふん。“夏樹、俺が浮気をしたことがあったか?”って。ないよね~。うへへ」
喧嘩の度に愛していると言ってくれる。俺の機嫌を取るために、スイーツを買ってきてくれる。最近買ってもらって良かったのは、瓶に入ったハチミツだ。喉にいい。俺はロックバンドのボーカルをしているから、喉を使う。一日一回、ハチミツをお湯で割って飲んでいる。おかげで身体の調子がいい。熱を出す回数も減った気がする。
「健康になってきたなあ。コンサートのリハーサルがあるし。よかった~」
今月末に俺がバンドのボーカルを務めているTO Dear Dropsこと、TDDのラストコンサートがある。ギタリストでリーダーの佐伯久弥が引退する。同じくバンドメンバーのギタリストの早瀬悠人は同じ大学の同じ学科で学んでいる親友だ。
その悠人と、”ディスレクト・サイド・ゼロ”というバンドを組むことになった。久弥はそのバンドのプロデューサー業に移る。ベースは須賀大和で、久弥の代わりになるギタリストは、俺の幼なじみの桜木聡太郎だ。ドラムは候補がいて、戸羽琉芯という高校3年生の子だ。もうすぐで高校を卒業する。本当はギタリストになりたい子で、ギターもとても上手だ。でも、俺達は琉芯に入ってもらいたい。
「夏樹。そろそろ入らないか?」
「うん。お茶が飲みたいの?」
「そうじゃない。心配している」
「そう~?」
リビングのテラス窓が開き、黒崎から呼びかけられた。俺は野菜の入った籠を持って、玄関に行った。俺の後ろには我が家の犬のアントワネットがいる。足に土が付いたから、拭いてあげないといけない。籠をキッチンに置き、アンの足の裏を拭いた。その間、黒崎は新聞を読んでいる。やっぱり何か飲みたいのだろう。
「黒崎さん。何がいい?お茶?それとも珈琲?俺も飲むから煎れてあげるよ」
「お茶がいい」
「オッケー。遠藤さんが出張先でもらったお茶なんだよ。美味しいって、佳代子さんが言っていたんだ」
「親父とジャズライブを観に行くと行っていた。15日の夜は遅くなるようだ」
「うん。分かったよ。また探さないからね」
遠藤さんはお向かいに住んでいる。TDDが所属しているIKUエンタテインメントの社長だ。佳代子さんは奥さんで、黒崎の小さい時を知っている人だ。アットホームな環境で音楽の仕事ができている。悠人の養父母でもある。悠人はパートナーの早瀬さんの両親とも養子縁組をして、早瀨悠人という名前になっている。
俺も黒崎の父親と養子縁組をしている。名前は黒崎夏樹だ。この名前になって、2年と少しになる。この家は森のような場所に建っている。同じ敷地内の東の方にお義父さんの家があり、門のそばに俺達が住んでいる家がある。
お義父さんは心臓が弱くなっていて、足も悪いから、何かと心配だ。以前、携帯に電話を入れても出なくて、庭や家の中を探し回ったことがある。結果、遠藤さんの家でお茶とお菓子をご馳走になっていたことが分かり、身体の力が抜けたことがある。近所の人には、お父さんを殺しちゃダメよと笑われてしまった。
朝の空気が気持ちいい。今、俺は庭の畑にいる。朝ご飯を食べた後、家庭菜園のトマトとネギとナスの収穫を済ませて、水やりを終わらせた。空はすっかり白くなり、東の方から太陽の光が差し込んできた。
朝ご飯を済ませた後だ。本当はこの畑の朝どれのトマトを使って、今朝の朝ご飯のサラダに使いたかったが、まだ暗いうちは危ないからと言って、畑に出るのを黒崎から止められた。
黒崎は今年38歳になる俺のパートナーだ。結婚指輪もしている。俺は22歳だから、お互いに年が離れている。しかし、喧嘩をすることもある。大抵は俺が拗ねて口を聞かないのがパターンだ。その時の黒崎は俺の怒りが収まるのを待っている。頼もしくて、束縛と独占欲が強い人だ。しかし、その独占欲は、俺が音楽の仕事を始めたことで弱まってきた。俺はそれがなんだか寂しくなり、黒崎にまとわりついている状況だ。
黒崎はとてもかっこいい人だ。黒崎製菓の副社長をしており、仕事では色んな人に会う。その中にはプライベートな誘いが書かれたメッセージカードを受け取ることもあり、俺はヤキモチを焼いている。しかし、浮気をしない人だ。
「ふふん。“夏樹、俺が浮気をしたことがあったか?”って。ないよね~。うへへ」
喧嘩の度に愛していると言ってくれる。俺の機嫌を取るために、スイーツを買ってきてくれる。最近買ってもらって良かったのは、瓶に入ったハチミツだ。喉にいい。俺はロックバンドのボーカルをしているから、喉を使う。一日一回、ハチミツをお湯で割って飲んでいる。おかげで身体の調子がいい。熱を出す回数も減った気がする。
「健康になってきたなあ。コンサートのリハーサルがあるし。よかった~」
今月末に俺がバンドのボーカルを務めているTO Dear Dropsこと、TDDのラストコンサートがある。ギタリストでリーダーの佐伯久弥が引退する。同じくバンドメンバーのギタリストの早瀬悠人は同じ大学の同じ学科で学んでいる親友だ。
その悠人と、”ディスレクト・サイド・ゼロ”というバンドを組むことになった。久弥はそのバンドのプロデューサー業に移る。ベースは須賀大和で、久弥の代わりになるギタリストは、俺の幼なじみの桜木聡太郎だ。ドラムは候補がいて、戸羽琉芯という高校3年生の子だ。もうすぐで高校を卒業する。本当はギタリストになりたい子で、ギターもとても上手だ。でも、俺達は琉芯に入ってもらいたい。
「夏樹。そろそろ入らないか?」
「うん。お茶が飲みたいの?」
「そうじゃない。心配している」
「そう~?」
リビングのテラス窓が開き、黒崎から呼びかけられた。俺は野菜の入った籠を持って、玄関に行った。俺の後ろには我が家の犬のアントワネットがいる。足に土が付いたから、拭いてあげないといけない。籠をキッチンに置き、アンの足の裏を拭いた。その間、黒崎は新聞を読んでいる。やっぱり何か飲みたいのだろう。
「黒崎さん。何がいい?お茶?それとも珈琲?俺も飲むから煎れてあげるよ」
「お茶がいい」
「オッケー。遠藤さんが出張先でもらったお茶なんだよ。美味しいって、佳代子さんが言っていたんだ」
「親父とジャズライブを観に行くと行っていた。15日の夜は遅くなるようだ」
「うん。分かったよ。また探さないからね」
遠藤さんはお向かいに住んでいる。TDDが所属しているIKUエンタテインメントの社長だ。佳代子さんは奥さんで、黒崎の小さい時を知っている人だ。アットホームな環境で音楽の仕事ができている。悠人の養父母でもある。悠人はパートナーの早瀬さんの両親とも養子縁組をして、早瀨悠人という名前になっている。
俺も黒崎の父親と養子縁組をしている。名前は黒崎夏樹だ。この名前になって、2年と少しになる。この家は森のような場所に建っている。同じ敷地内の東の方にお義父さんの家があり、門のそばに俺達が住んでいる家がある。
お義父さんは心臓が弱くなっていて、足も悪いから、何かと心配だ。以前、携帯に電話を入れても出なくて、庭や家の中を探し回ったことがある。結果、遠藤さんの家でお茶とお菓子をご馳走になっていたことが分かり、身体の力が抜けたことがある。近所の人には、お父さんを殺しちゃダメよと笑われてしまった。
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