青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 ノアと話すときもこういう感じだった。しかしながら、彼の方が流暢な日本語で話すものだから、友人達もドイツ語クラスで学んでいたのに、彼に甘えて、日本語で話すようになった。よく冗談を言う子だ。今、紅茶を飲んでいるバーテルスさんから習ったことだそうだ。大成に楽しんでもらいたくてだ。

 しかし、バーテルスさんはノアの真意を知らないでいる。俺は黙っているようにしている。ノアから内緒にしてくれと言われたからだ。すると、黒崎から話しかけられた。紅茶のおかわりだろうか。

「夏樹。そう落ち込むな。日常的に使っていなかったら、覚えられないだろう」
「うっうっ。優しい言葉をありがとう。ノアとは日本語で話していたんだ~」
「夏樹。僕は楽しんでいるよ。大丈夫だ。……そうだ!これを持って来たんだ!」

 2人から慰められて、励まされた後、バーテルスさんがポケットからある物を取り出して、見せてくれた。それはストップウォッチよりも小さいサイズで、ライトかと思った。それをバーテルスさんが天井に向けてかざしたり、テラスの方に向けてみたりしている。なんだろうか。

「バーテルスさん。それは何?」
「オバケ探知機だよ。彼らを探知したら、ここのライトが赤く光る仕組みだ。何もないときは青だよ。良い霊のときは緑色になる」
「なにそれ!?オバケは嫌いなんだよ~」
「そうだと思って、見せたくなった。赤いときは良くない霊だという話だ。圭一が暮らしていた部屋では、青になっていたよ」

 バーテルスさんがテラス窓に近づいた。そこでも青いランプが光っているらしい。俺はホッとした。どこで買ってきたのだろう。ドイツから持って来たのだろうか。

「バーテルスさん。それをどこで買ってきたんだよ?ノアが同じ物を持っていた気がするんだけど……」
「空港で買った。嘘だよ。ノアから一つもらったばかりだ。彼は心霊探査が好きだからね。大成君だったかな?年下の友達だ。一緒にオバケ探査に行っていることは知っているか?」
「ううん。心霊スポットに行くのは、大学で止められているんだ。でも、行っている子がいるとは思っていたよ……」

 真面目なノアが行くなんて思ってもみないことだった。危ないと思った。暴走族が走って来たり、多くの人が集まったりして、何か起きるかも知れない。どころで、現地まではどう行っているのだろうか。2人とも車の運転免許をまだ取っていないだろう。廃墟なら、山奥のような気がする。ということは、他にも仲間がいるということか。全然知らなかった。

「バーテルスさん。ノア達がどうやって行っているのかな?電車でいける場所なの?山奥にあるイメージなんだけど……」
「羽音という歌手の、友達の従兄弟の男性に連れて行ってもらっている。真羽君といったかな」
「ええ!?羽音さんが!?俺の先輩なんだよ!真羽の従兄弟なんだ!」
「そうそう、そう言っていた。僕も連れて行ってもらいたくて頼んだんだけど、スケジュールが合わないんだ。仕事の予定との兼ね合いだよ」
「そっか……」

 バーテルスさんがドイツの出版社で働いている人だ。在宅勤務になって、しばらく経つそうだ。他にも仕事があり、滞在中はパソコンで何かやっていた。忙しい人だと、黒崎が教えてくれた。
 
「今夜は予定が空いているのに、心霊スポットには行かないそうだ……」
「ユーリー。夏樹から興味深い話を聞いているぞ。ここから1時間半の場所にある国道沿いで、下半身だけのオバケの目撃情報があるそうだ。夏樹のスタイリストの弟子から聞いた話だ」
「へえ?行きたいなあ……」
「連れて行く。せっかくだ。滞在中の楽しみにしてもらいたい」
「黒崎さんとバーテルスさんで行くんだね~。じゃあ、俺はお義父さんの家で待っているよ……」

 しかし、黒崎が首を振った。俺は嫌な予感がして、声を上げたそうになった。バーテルスさんが笑っている。

「夏樹。お前も連れて行く。1人にしておけない」
「ええ!?みんないるじゃん……」
「心配だ。そうだな。せっかくだ。親父も誘って、みんなで行こうか」
「それならいいけど……」

 黒崎からの提案はこうだ。黒崎家にいる家族を誘い、みんなでオバケを見に行くということだ。お客さんのおもてなしということだ。黒崎がお義父さんの家に電話をかけている。二葉と一貴さんと、お義父さんにだ。そして、俺達だけだと怖いと思ってしまい、早瀬さんと悠人にも、俺の方から声をかけることになった。
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