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午前8時。
ホールの控え室で久弥と話しているところだ。今日のステージの構成を確認し合っている。俺が久弥のことをイジる時間や、悠人に水を掛けようと試みて、ステージ内を追いかけっこするタイミングなどだ。悠人は今、聡太郎と大和とで写真を撮り合っている。SNSに載せる分だ。そして、高山さんを呼んできて、ミカさんにも入って貰っている。
「なつきーー。もう大丈夫?」
「もう少し待っていてね!」
「はーーい!」
久弥がステージの地図を指さして、書き込みをした。俺が久弥のことをイジる位置だ。ギターを持ってやって来た久弥を俺が迎えに行き、漫才をしかける。いつもなら悠人だが、一日目は俺がする。その後は、久弥が喋ってくれる。2日目は悠人になる。そうなると、2人でマイクで喋る。
「夏樹。お前は静かにしていろ。そのままでイケメンだ」
「身体に負担を掛けないためだなんて、思っていなかったよ。俺、ゼーゼー言っているからだね。ありがとう」
「いや、気にするな。お前に倒れられると俺が泣く。いいか?きちんとカメラに向かって歌うんだぞ?ここの部分だ」
「うん。俺がアップになる場所だね。キャーーッて言ってもらえるようにするよ」
今回のステージでは、大型モニターで俺達の姿が映し出される。後方にいる人向けに、少しでも姿を見てもらいたいからだ。俺が画面に向かって歌う場面は5秒間だ。その後で、久弥と悠人が向かい合わせになって演奏する。カメラはそっちを映し出す。その間に俺は呼吸を整えて、ドラムのそばに行き、今度は一緒に画面に映し出される。ベースの蘭さんも来る。そして、俺はステージの中央に戻り、歌い始める。
「ふーーー。これでよし」
「覚えたか?」
「うん。ステージだと夢中だけど、あれもしないといけない、これもしないといけないって思っているから、冷静でいられる部分もあるんだ。助かっているよ」
「そうか。こんなに細かく設定するのは息苦しいと言われたことがある。ディアドロップ時代のメンバーからだ。でもなーー、せっかく観に来てくれているんだから、見せ場を作っておきたい」
「その気持ち、分かるよ。俺だってコンサートのDVDを観た時、ベテルギウスのメンバーがめっちゃかっこよく見えて、感動したもん。こうやって構成を決めているだなあって、また感動しているんだ」
「ありがとう。おーーい、俺達も撮ってくれ!」
「はーーい!」
悠人が俺達にスマホカメラを向けてきた。そして、シャッターが切られた。久弥はカメラに慣れているから、いつ撮っても写りがいい。その反対に、俺はいまだに顔が引きつっている時があるから、取り直しになる。でも、悠人はそれが懐かしくなるはずだからと言い、SNSにアップしようとする。しかし、長谷部さんが撮り直ししなさいと言い、その写真は保存されて、何度か撮ることになる。その手間を惜しむメンバーではなく、いつの間にか膨大な量の写真が保存されている。
「今の写真、俺にも頂戴。黒崎さんに送りたいんだ」
「オッケーー。はーーい」
「ありがとう。あ、良い写真だね。俺、ちゃんと笑顔だよ。久弥はキメ顔だね」
「この道10数年だ。口に出すと短いなあ。80歳までステージに立つつもりだったのに……」
「お爺さんになった久弥って、どんな人だろうね?かっこいいのは変わらないと思うんだ。俺もそういうおじいさんになれるかな?」
「おい、泣かせるな。お前は健康でいろ」
「ごめんね。ああー、久弥、泣かないで……」
久弥の目元が赤くなった。それをみんなではやし立てて、俺が泣かせたのだと言われてしまった。俺の方こそ、いつステージに立てなくなるか分からない。そんなことを言わないで良かったと思った。日頃そう思っているから、つい口から出そうになる。それはメンバーを悲しませることであり、決して言ってはいけない。そう心に決めた。
ホールの控え室で久弥と話しているところだ。今日のステージの構成を確認し合っている。俺が久弥のことをイジる時間や、悠人に水を掛けようと試みて、ステージ内を追いかけっこするタイミングなどだ。悠人は今、聡太郎と大和とで写真を撮り合っている。SNSに載せる分だ。そして、高山さんを呼んできて、ミカさんにも入って貰っている。
「なつきーー。もう大丈夫?」
「もう少し待っていてね!」
「はーーい!」
久弥がステージの地図を指さして、書き込みをした。俺が久弥のことをイジる位置だ。ギターを持ってやって来た久弥を俺が迎えに行き、漫才をしかける。いつもなら悠人だが、一日目は俺がする。その後は、久弥が喋ってくれる。2日目は悠人になる。そうなると、2人でマイクで喋る。
「夏樹。お前は静かにしていろ。そのままでイケメンだ」
「身体に負担を掛けないためだなんて、思っていなかったよ。俺、ゼーゼー言っているからだね。ありがとう」
「いや、気にするな。お前に倒れられると俺が泣く。いいか?きちんとカメラに向かって歌うんだぞ?ここの部分だ」
「うん。俺がアップになる場所だね。キャーーッて言ってもらえるようにするよ」
今回のステージでは、大型モニターで俺達の姿が映し出される。後方にいる人向けに、少しでも姿を見てもらいたいからだ。俺が画面に向かって歌う場面は5秒間だ。その後で、久弥と悠人が向かい合わせになって演奏する。カメラはそっちを映し出す。その間に俺は呼吸を整えて、ドラムのそばに行き、今度は一緒に画面に映し出される。ベースの蘭さんも来る。そして、俺はステージの中央に戻り、歌い始める。
「ふーーー。これでよし」
「覚えたか?」
「うん。ステージだと夢中だけど、あれもしないといけない、これもしないといけないって思っているから、冷静でいられる部分もあるんだ。助かっているよ」
「そうか。こんなに細かく設定するのは息苦しいと言われたことがある。ディアドロップ時代のメンバーからだ。でもなーー、せっかく観に来てくれているんだから、見せ場を作っておきたい」
「その気持ち、分かるよ。俺だってコンサートのDVDを観た時、ベテルギウスのメンバーがめっちゃかっこよく見えて、感動したもん。こうやって構成を決めているだなあって、また感動しているんだ」
「ありがとう。おーーい、俺達も撮ってくれ!」
「はーーい!」
悠人が俺達にスマホカメラを向けてきた。そして、シャッターが切られた。久弥はカメラに慣れているから、いつ撮っても写りがいい。その反対に、俺はいまだに顔が引きつっている時があるから、取り直しになる。でも、悠人はそれが懐かしくなるはずだからと言い、SNSにアップしようとする。しかし、長谷部さんが撮り直ししなさいと言い、その写真は保存されて、何度か撮ることになる。その手間を惜しむメンバーではなく、いつの間にか膨大な量の写真が保存されている。
「今の写真、俺にも頂戴。黒崎さんに送りたいんだ」
「オッケーー。はーーい」
「ありがとう。あ、良い写真だね。俺、ちゃんと笑顔だよ。久弥はキメ顔だね」
「この道10数年だ。口に出すと短いなあ。80歳までステージに立つつもりだったのに……」
「お爺さんになった久弥って、どんな人だろうね?かっこいいのは変わらないと思うんだ。俺もそういうおじいさんになれるかな?」
「おい、泣かせるな。お前は健康でいろ」
「ごめんね。ああー、久弥、泣かないで……」
久弥の目元が赤くなった。それをみんなではやし立てて、俺が泣かせたのだと言われてしまった。俺の方こそ、いつステージに立てなくなるか分からない。そんなことを言わないで良かったと思った。日頃そう思っているから、つい口から出そうになる。それはメンバーを悲しませることであり、決して言ってはいけない。そう心に決めた。
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