188 / 938
8-32
しおりを挟む
本当はこのまま抱きついていたいが、俺にはまだもう一つ仕事が残っていて、部屋を出て行かなければならない。関係者席に残っている人達への挨拶だ。ほとんどがプラセルの関係者であり、昨日の夕方に挨拶を済ませてある。しかし、俺達との握手がしたいということで、もちろん俺達もそうしたくて、これから向かう。
「黒崎さん。関係者席に行くけど、一緒にどう?」
「ああ、もちろんだ。挨拶をするんだろう?この後はどこにでも付き添ってやる」
「いつもの黒崎さんだね。お義父さんもいるんだろ?晴海お兄ちゃん達も……。記念写真を撮ろうよ!まだ撮っていなかっただろ?」
「ああ、そうしよう。髪の毛が乱れていないんだな。さすがはプロのセットだ」
「そうだろーー。ローザーさんがささっと作ったんだ。俺、すっごい頭を振っていたのに、かっこいいままだよ。俺がやったら寝癖かなって言われると思うんだ。尊敬するよ」
「ああ。この道30年だと言っていたな。生涯続けるなら、70年の道もありそうだ」
「そうだよねえ。ローザーさんって、食べ物に気を付けているそうだから、長生きしそうだよ。そうなりたいんだってさ。未来の乗り物がどんな風になるのか、見たいんだって言っていたよ」
「そうか……。聖河と付き合うことになったのか?もう広まっているぞ。晴海兄さんが言っていた」
「マジで?どこから広まったんだろ?聖河さん、バタバタしていたはずだし、ローザーさんも関係者席に行く余裕はなかったと思うんだ」
「それは……」
コンコン。するとその時だ。控え室のドアがノックされた。入ってきたのは、話題の主だった。聖河さんだ。早速俺はこの話を彼にした。すると、喋ったのは、僕とローザーさんだと言い出したから驚いた。
「いつの間に?」
「晴海君達に紹介したくて、彼を連れて行った。今日のコンサートの前だよ。君がアリーナ席を案内する撮影中に紹介させたもらった。お父さんにも話したかった」
「そうなんだね。お義父さんの反応はどうだった?」
「ああ。喜んでくれていたよ。初デートは来週だ。まずは食事をして、お互いのことを知ることにするよ。何も知らない者同士だ。はははは」
「幻滅したりして……。いた!何するんだよ~」
「余計な事を言うな」
「だってさ~、そうじゃん……。いた!痛い!」
黒崎が俺の頬を指ではじいた。その瞬間、痛みが走り、距離を取って逃げた。ちょうど良いから部屋から出て、関係者席に行くことにした。すると、黒崎がドアを開けて、俺のことを廊下に出した。
「なんだよ。俺のことを追い出すわけ?」
「関係者席に行くつもりなんだろう?俺は聖河と話をするから、お前一人で行ってこい」
「なんだよ~、俺を一人にするなよ~っ」
パタン!ドアが閉められてしまった。そこで、俺が自分でドアを開けて黒崎に仕返しをしようとすると、彼の方も開けたタイミングだったから、俺の身体が宙に浮いた。
「わあああああーー」
「足を出せ」
「よっと……」
黒崎の声に反応して、俺の左足が伸びて着地した。背中がヒヤッとして、汗をかいてしまった。聖河さんの前だからなのか、黒崎が俺の身体を支えてくれなかった。それを恨みに思い、彼の足先を蹴ってやった。コンサートは無事に済んだから、これから黒崎とは喧嘩し放題だ。
「ふん!こいつめ!」
「なんだと?お前、泣かすぞ」
「はははは。2人とも、やめろ」
聖河さんが俺達の間に入るようにして立ち、俺達を引き離した。それでも俺は黒崎の足を蹴り続けるようにジタバタ動き、後から入ってきた長谷部さんから止められて、大人しくした。
「黒崎さん。関係者席に行くけど、一緒にどう?」
「ああ、もちろんだ。挨拶をするんだろう?この後はどこにでも付き添ってやる」
「いつもの黒崎さんだね。お義父さんもいるんだろ?晴海お兄ちゃん達も……。記念写真を撮ろうよ!まだ撮っていなかっただろ?」
「ああ、そうしよう。髪の毛が乱れていないんだな。さすがはプロのセットだ」
「そうだろーー。ローザーさんがささっと作ったんだ。俺、すっごい頭を振っていたのに、かっこいいままだよ。俺がやったら寝癖かなって言われると思うんだ。尊敬するよ」
「ああ。この道30年だと言っていたな。生涯続けるなら、70年の道もありそうだ」
「そうだよねえ。ローザーさんって、食べ物に気を付けているそうだから、長生きしそうだよ。そうなりたいんだってさ。未来の乗り物がどんな風になるのか、見たいんだって言っていたよ」
「そうか……。聖河と付き合うことになったのか?もう広まっているぞ。晴海兄さんが言っていた」
「マジで?どこから広まったんだろ?聖河さん、バタバタしていたはずだし、ローザーさんも関係者席に行く余裕はなかったと思うんだ」
「それは……」
コンコン。するとその時だ。控え室のドアがノックされた。入ってきたのは、話題の主だった。聖河さんだ。早速俺はこの話を彼にした。すると、喋ったのは、僕とローザーさんだと言い出したから驚いた。
「いつの間に?」
「晴海君達に紹介したくて、彼を連れて行った。今日のコンサートの前だよ。君がアリーナ席を案内する撮影中に紹介させたもらった。お父さんにも話したかった」
「そうなんだね。お義父さんの反応はどうだった?」
「ああ。喜んでくれていたよ。初デートは来週だ。まずは食事をして、お互いのことを知ることにするよ。何も知らない者同士だ。はははは」
「幻滅したりして……。いた!何するんだよ~」
「余計な事を言うな」
「だってさ~、そうじゃん……。いた!痛い!」
黒崎が俺の頬を指ではじいた。その瞬間、痛みが走り、距離を取って逃げた。ちょうど良いから部屋から出て、関係者席に行くことにした。すると、黒崎がドアを開けて、俺のことを廊下に出した。
「なんだよ。俺のことを追い出すわけ?」
「関係者席に行くつもりなんだろう?俺は聖河と話をするから、お前一人で行ってこい」
「なんだよ~、俺を一人にするなよ~っ」
パタン!ドアが閉められてしまった。そこで、俺が自分でドアを開けて黒崎に仕返しをしようとすると、彼の方も開けたタイミングだったから、俺の身体が宙に浮いた。
「わあああああーー」
「足を出せ」
「よっと……」
黒崎の声に反応して、俺の左足が伸びて着地した。背中がヒヤッとして、汗をかいてしまった。聖河さんの前だからなのか、黒崎が俺の身体を支えてくれなかった。それを恨みに思い、彼の足先を蹴ってやった。コンサートは無事に済んだから、これから黒崎とは喧嘩し放題だ。
「ふん!こいつめ!」
「なんだと?お前、泣かすぞ」
「はははは。2人とも、やめろ」
聖河さんが俺達の間に入るようにして立ち、俺達を引き離した。それでも俺は黒崎の足を蹴り続けるようにジタバタ動き、後から入ってきた長谷部さんから止められて、大人しくした。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~
野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。
残念ながら話もできたし、触ることもできた。
様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。
そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。
厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。
きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。
それから五年。
地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。
真詞の運命が大きく動き出す。
人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半)
別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半)
・前半 巡(人外)×真詞
・後半 岬(人間)×真詞
※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。
※ キスを二回程度しかしないです。
※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。
※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる