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それは俺も同じだ。良い声を出したいからだ。声帯を痛めないようにして、長く歌い続けるためにだ。
「俺、お酒が飲めなくて良かった~。好きで好きでたまらなかったら、喉が痛むっていうもんね。でも、羽音さんは飲む方なんだよねえ。どうやってあの声を維持しているんだろう?勅使河原さんは一切飲まないって言っていたんだ。久弥は適量だけ。不思議だなあ……」
コポコポ。お湯が沸いたから、茶瓶にポットのお湯を注ぎ入れた。そして、ほうじ茶の良い匂いがキッチンに漂った。
「ふうーー。落ち着くなあ……。今日と明日、何をしようかな?」
黒崎の希望により、どこにも出かけない2日間を、この家で過ごすことにした。ただし、探検はする。庭の中にある倉庫だ。俺はまだ行ったことがなくて、ワクワクしている。
「すごい昔のアルバムとか、髪飾りとか保管してあるなんて、楽しみだよ~。曾お祖父さんと曾おばあちゃんよりも古い人達が集めていたものとかあるって……。何時代になるんだろう?縄文時代だったりして……」
俺の通っている大学で地質調査に出かけた生徒が、縄文時代と思われる土器を発掘したことがある。それは大学の研究センターで大切に保管されて、専門機関に寄贈したらしい。一度だけ、写真で見せてもらったことがある。すると、俺の住んでいる家なら出てくるんじゃないかという話になり、その話をすると、お義父さんが笑っていた。人骨なら出てきそうだと言いながら。
「怖いよーーー。ぶるぶる。子孫にたたってやるっていう呪いの藁人形とか、その時の金槌とか、釘とか出てきたらさ~。俺が見たオバケなんて、この家から付いてきた奴だと思うんだ……。きっと、晴海お兄ちゃんが見たオバケと同じなんだ……。ああーー、もう外に行こうっと……」
カタン。ほうじ茶を飲んだ後、カップをシンクに置いて、玄関に行った。すると、少しだけ開けておいた寝室のドアから、アンが出てくるのが分かった。爪の音がしたからだ。
「アン、行く?」
「……」
タンタン。カチャカチャ。アンが階段を降りてきた。寒いのに珍しいことだ。お義父さんが散歩に誘いに来るまでは、家の中でまったりしているのに。
「さあ、行こうか。なに?抱っこなの?はいはい……」
アンが抱っこをせがんできたから、抱き上げた。やっぱり寒いのだろう。少し震えている。そこで、セーターを着せることにした。
「ちょっと待っててよ。はい、どうぞ……。なに?今度は歩くの?」
アンが玄関ドアの前に立った。さっそく俺がドアを開けると、一目散に畑の方に走っていった。ついさっきは震えていたくせに。セーターが温かいということなのか。もこもこの分厚い商品だ。アンが気に入って、それなら着てくれる。
「おーーい。どこまで走って行くんだよ?畑はこっちだよーーー」
アンが畑を通り過ぎていき、今日黒崎と行く予定の倉庫がある方角まで走って行くのが見えた。すると、アンが俺を見て立ち止まり、尻尾を振って、帰ってきた。倉庫に行こうということなのか。
「行くの?倉庫に?黒崎さんがいないと、行けないんだ。後にしようよ。あれ?畑で遊ぶの?気が変わったのかよ?」
アンが大人しくなり、トマトの方に行き、匂いを嗅ぎ始めた。その横には寒さよけのカバーをかけているネギがある。俺はそのカバーを取り外して、地面に置いた。そして、アンを畑の端っこに呼んだ。これからシャワーで畑に水をかけるからだ。
「アン、こっちだよ。そうそう、良い子だね~」
アンは分かっている。水やりすることを。もう何年も続いている習慣だからだ。俺がホースを取りに行くと、アンが家の方を向いて、小さく吠えた。黒崎が寝室の窓を開けたことが分かった。俺は彼を見て、手を振り、おはようと声をかけた。
「俺、お酒が飲めなくて良かった~。好きで好きでたまらなかったら、喉が痛むっていうもんね。でも、羽音さんは飲む方なんだよねえ。どうやってあの声を維持しているんだろう?勅使河原さんは一切飲まないって言っていたんだ。久弥は適量だけ。不思議だなあ……」
コポコポ。お湯が沸いたから、茶瓶にポットのお湯を注ぎ入れた。そして、ほうじ茶の良い匂いがキッチンに漂った。
「ふうーー。落ち着くなあ……。今日と明日、何をしようかな?」
黒崎の希望により、どこにも出かけない2日間を、この家で過ごすことにした。ただし、探検はする。庭の中にある倉庫だ。俺はまだ行ったことがなくて、ワクワクしている。
「すごい昔のアルバムとか、髪飾りとか保管してあるなんて、楽しみだよ~。曾お祖父さんと曾おばあちゃんよりも古い人達が集めていたものとかあるって……。何時代になるんだろう?縄文時代だったりして……」
俺の通っている大学で地質調査に出かけた生徒が、縄文時代と思われる土器を発掘したことがある。それは大学の研究センターで大切に保管されて、専門機関に寄贈したらしい。一度だけ、写真で見せてもらったことがある。すると、俺の住んでいる家なら出てくるんじゃないかという話になり、その話をすると、お義父さんが笑っていた。人骨なら出てきそうだと言いながら。
「怖いよーーー。ぶるぶる。子孫にたたってやるっていう呪いの藁人形とか、その時の金槌とか、釘とか出てきたらさ~。俺が見たオバケなんて、この家から付いてきた奴だと思うんだ……。きっと、晴海お兄ちゃんが見たオバケと同じなんだ……。ああーー、もう外に行こうっと……」
カタン。ほうじ茶を飲んだ後、カップをシンクに置いて、玄関に行った。すると、少しだけ開けておいた寝室のドアから、アンが出てくるのが分かった。爪の音がしたからだ。
「アン、行く?」
「……」
タンタン。カチャカチャ。アンが階段を降りてきた。寒いのに珍しいことだ。お義父さんが散歩に誘いに来るまでは、家の中でまったりしているのに。
「さあ、行こうか。なに?抱っこなの?はいはい……」
アンが抱っこをせがんできたから、抱き上げた。やっぱり寒いのだろう。少し震えている。そこで、セーターを着せることにした。
「ちょっと待っててよ。はい、どうぞ……。なに?今度は歩くの?」
アンが玄関ドアの前に立った。さっそく俺がドアを開けると、一目散に畑の方に走っていった。ついさっきは震えていたくせに。セーターが温かいということなのか。もこもこの分厚い商品だ。アンが気に入って、それなら着てくれる。
「おーーい。どこまで走って行くんだよ?畑はこっちだよーーー」
アンが畑を通り過ぎていき、今日黒崎と行く予定の倉庫がある方角まで走って行くのが見えた。すると、アンが俺を見て立ち止まり、尻尾を振って、帰ってきた。倉庫に行こうということなのか。
「行くの?倉庫に?黒崎さんがいないと、行けないんだ。後にしようよ。あれ?畑で遊ぶの?気が変わったのかよ?」
アンが大人しくなり、トマトの方に行き、匂いを嗅ぎ始めた。その横には寒さよけのカバーをかけているネギがある。俺はそのカバーを取り外して、地面に置いた。そして、アンを畑の端っこに呼んだ。これからシャワーで畑に水をかけるからだ。
「アン、こっちだよ。そうそう、良い子だね~」
アンは分かっている。水やりすることを。もう何年も続いている習慣だからだ。俺がホースを取りに行くと、アンが家の方を向いて、小さく吠えた。黒崎が寝室の窓を開けたことが分かった。俺は彼を見て、手を振り、おはようと声をかけた。
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