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午前9時半。
俺は今、テラスに出て、洗濯物を干しているところだ。そばにはアンがいて、ユーリーと遊んでいる。ボール遊びだ。ユーリーが放ったボールをアンが追いかけていき、それを咥えて彼の元に持って帰ってくる。その繰り返しだ。
「アン、良い子だな。ちゃんと僕のところに持ってくる」
「褒めて貰えてよかったよ~」
「色んなことを覚える子だ。隆さんと行った倉庫の場所も覚えている。さっき、俺のことを案内してくれた。倉庫はどこかな?と聞いただけだったのに……」
「ユーリーのことが好きなんだよ。溝に落ちそうになったところを助けて貰えたし……」
つい最近、アンの身に起きたことだ。俺に似てきたのか、俺がたまに片足を突っ込む溝に、アンも落ちそうになった。それをユーリーが助けて、腕に抱いた。その時のアンはホッとしていたような顔をしていて、しばらく大人しかった。その溝は必要であり、無くすことはできない。しかし、お義父さんが埋めようとしているから止めたところだ。
「大きな溝じゃないけど、危ないからってさ……。雨水の通り道だから、大事な場所だもん。泥が詰まらなくなったんだっけ?」
「ああ。あの場所は泥が溜まっていた。そこで遊んだ俺は母さんに叱られて、家の中に入れてもらえなかった」
「うひゃひゃひゃ。泥だらけの両手を見て、途方に暮れたんだよね?もう二度と遊ばないと誓っても、どうしても遊びたくなるのって分かるよ。俺が4歳の時まで住んでいた家には庭があったんだけど、伊吹お兄ちゃんと落とし穴を掘って遊んだんだ」
「どれぐらいの深さまで掘ったんだ?」
「ほんのこれぐらい。10センチぐらいだよ。土が硬くってさ。お父さんを落とそうと思って掘ったんだ。俺達の希望としては、お父さんが出られなくなる深さまで掘ろうとしたんだ。危ないよねえ……」
「どうして思いついたんだ?」
「お兄ちゃんと一緒に叱られたからだよ。俺は勉強するためのパズルを解くのをやめたことで叱られて、お兄ちゃんはテストの結果が悪くて、同じように叱られたんだ。今思うと、恐ろしいよ。仕返しだもん……」
「はははは。よっぽど恨みに感じたんだろう。この家はそういう念が込められている場所だから、当時の君の気持ちを理解してくれるオバケがいることだろう」
「怖いよ~。アレクシスさんは悪戯しなかったのかよ?」
「兄さんはしなかった。勉強ばかりの毎日で、外になんか出ていなかった。空手の稽古で道場に行ったぐらいだろう。今はアクティブな人になっているよ。色んな場所に出かけている」
「そっか。それぞれに思い出があるんだねえ……」
パン!俺はタオルを持ち、ピンと広げた。そして、パラソルハンガーに干していった。空は快晴だ。時々風が吹いているが、ちっとも寒くない。ぽかぽか陽気だ。周りにある木は白っぽくなり、枯れ葉だらけになっている木もあれば、青々と葉が残っている木もある。俺達は時々、地面を掃除して、枯れ葉を取っている。紅葉していた葉っぱが茶色になって落ちているのを見て、冬が来たのを感じている。
この庭は四季の移ろいがよく分かるように木が生えている。お父さんの家のそばにある池は氷水のような冷たさになり、いかにも冬だと分かる風景になる。今はお洒落に地面を舗装されているから、昔よりも寒く見えない。俺が転ぶことを恐れて、黒崎達がそうした。アンだって、何かあるかも知れないからだ。
俺達の近くにも池がある。俺が怪我をするきっかけになった思い出の池だ。池の方にめがけて風に飛んだ洗濯物を追いかけて花壇の縁に躓いて転び、額に怪我をした。あれ以来、俺には走るなという黒崎の”命令”が降りて、素直に言うことを聞いている。
俺は今、テラスに出て、洗濯物を干しているところだ。そばにはアンがいて、ユーリーと遊んでいる。ボール遊びだ。ユーリーが放ったボールをアンが追いかけていき、それを咥えて彼の元に持って帰ってくる。その繰り返しだ。
「アン、良い子だな。ちゃんと僕のところに持ってくる」
「褒めて貰えてよかったよ~」
「色んなことを覚える子だ。隆さんと行った倉庫の場所も覚えている。さっき、俺のことを案内してくれた。倉庫はどこかな?と聞いただけだったのに……」
「ユーリーのことが好きなんだよ。溝に落ちそうになったところを助けて貰えたし……」
つい最近、アンの身に起きたことだ。俺に似てきたのか、俺がたまに片足を突っ込む溝に、アンも落ちそうになった。それをユーリーが助けて、腕に抱いた。その時のアンはホッとしていたような顔をしていて、しばらく大人しかった。その溝は必要であり、無くすことはできない。しかし、お義父さんが埋めようとしているから止めたところだ。
「大きな溝じゃないけど、危ないからってさ……。雨水の通り道だから、大事な場所だもん。泥が詰まらなくなったんだっけ?」
「ああ。あの場所は泥が溜まっていた。そこで遊んだ俺は母さんに叱られて、家の中に入れてもらえなかった」
「うひゃひゃひゃ。泥だらけの両手を見て、途方に暮れたんだよね?もう二度と遊ばないと誓っても、どうしても遊びたくなるのって分かるよ。俺が4歳の時まで住んでいた家には庭があったんだけど、伊吹お兄ちゃんと落とし穴を掘って遊んだんだ」
「どれぐらいの深さまで掘ったんだ?」
「ほんのこれぐらい。10センチぐらいだよ。土が硬くってさ。お父さんを落とそうと思って掘ったんだ。俺達の希望としては、お父さんが出られなくなる深さまで掘ろうとしたんだ。危ないよねえ……」
「どうして思いついたんだ?」
「お兄ちゃんと一緒に叱られたからだよ。俺は勉強するためのパズルを解くのをやめたことで叱られて、お兄ちゃんはテストの結果が悪くて、同じように叱られたんだ。今思うと、恐ろしいよ。仕返しだもん……」
「はははは。よっぽど恨みに感じたんだろう。この家はそういう念が込められている場所だから、当時の君の気持ちを理解してくれるオバケがいることだろう」
「怖いよ~。アレクシスさんは悪戯しなかったのかよ?」
「兄さんはしなかった。勉強ばかりの毎日で、外になんか出ていなかった。空手の稽古で道場に行ったぐらいだろう。今はアクティブな人になっているよ。色んな場所に出かけている」
「そっか。それぞれに思い出があるんだねえ……」
パン!俺はタオルを持ち、ピンと広げた。そして、パラソルハンガーに干していった。空は快晴だ。時々風が吹いているが、ちっとも寒くない。ぽかぽか陽気だ。周りにある木は白っぽくなり、枯れ葉だらけになっている木もあれば、青々と葉が残っている木もある。俺達は時々、地面を掃除して、枯れ葉を取っている。紅葉していた葉っぱが茶色になって落ちているのを見て、冬が来たのを感じている。
この庭は四季の移ろいがよく分かるように木が生えている。お父さんの家のそばにある池は氷水のような冷たさになり、いかにも冬だと分かる風景になる。今はお洒落に地面を舗装されているから、昔よりも寒く見えない。俺が転ぶことを恐れて、黒崎達がそうした。アンだって、何かあるかも知れないからだ。
俺達の近くにも池がある。俺が怪我をするきっかけになった思い出の池だ。池の方にめがけて風に飛んだ洗濯物を追いかけて花壇の縁に躓いて転び、額に怪我をした。あれ以来、俺には走るなという黒崎の”命令”が降りて、素直に言うことを聞いている。
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