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そういうもあって、志乃さんはお兄さんのことを北岡家の人間ではないと思っていると言っていたのだと分かった。言いすぎじゃないかなんて心の隅で思っていたが、志乃さんの名義の貯金から30万も無断で出されて、それをお兄さんが知っていてそうしたなんて、信頼関係が損なわれてもおかしくない。俺だってそうなると思う。
しかし、お兄さんはどうしてお金を受け取ったのだろうか。せせら笑いをしていたなんて。二葉が志乃さんから聞いたのは、大人しかった自分はお母さんの言うことをなんでも聞く子だったから、バカだと思われていたに違いないということだった。無断じゃ無くても、お金を出させていたに違いないということだった。しかし、隣の家にはおばあさんがいるから、そうならないから、お母さんは無断で引き出すことにしたのだと思うということだった。
バレたらバレたまで。引き出したことを志乃さんとおばあさんが知ったとき、そんな顔をしていた当時のお母さんを志乃さんは嫌い、もうあなたとは関わりたくないと思ったそうだ。そして、お兄さんのこともだ。そんな人達だから、うちの財産を欲しがるのもおかしくないのだということだった。
さて、俺は一貴さんのそばに座り、足を撫でた。頭はユーリーが撫でているからだ。今言いたいのは、こういう話だ。あんたなら、志乃さんの貯金を取っていこうなんて思わないだろうと。あんたは善人であり、悪いことをしようとしたらそれが明るみに出て、周りから止められるタイプなのだと。この家に来る前まではあちこちで悪いことをしていたらしいが、ちゃんと自分に返ってきている。神様という人が存在するとしたら、その人からの問い直しではないだろうか。そのことを一貴さんに言って聞かせた。
「カズ兄さん。俺が思っているのはそういうことだよ。俺達は、そういうあんたのことが好きなんだ。あんたはこの家の人だよ。だから、この家のお兄ちゃんで居てもらいたいんだ。嫌な人でも良いんだよ。それも人生という物で、出会う人は自分の鏡なんだって、大学の神仙教授が言っていたんだ」
「僕は血のつながりを重要視しているんだ。血のつながりがなかったら他人だ。でも、ユーリーのこともアレクシスのことも、親戚だと思っている……。ずっと憧れだったんだ。この家に住めることを。この家に住めたら息子だっていうことだと思っていたんだ。だから、バーテルス家とは血のつながりが無いけど、それはそれで、親しい家同士っていう意味だ。僕は血のつながりがほしい……」
「カズ兄さん……」
困ったなと思った。やっぱりお義父さんに言って、親子鑑定をやめて、認知届を出して貰うことにした。事実として、一貴さんはお義父さんの息子として生きてきたからだ。お母さんの交際相手の、もしかしたら父親かも知れないという人は国内にいるそうだが、お母さんと別れた後は連絡を絶っているという話だった。仕事はデザイナーだという。だから、一貴さんとしては、そっちの人の血を受け継いでいるのではないかと思っている。
一貴さんがプラセルを立ち上げたときは、その人がその仕事をしているなんて知らなかったそうだ。そして、その頃は、父親が誰でも良いと思っていたそうだ。この家には養子が集まり、誰よりも優れていればお義父さんからの愛情を貰える。そんな考えがあったそうだ。
しかし、一貴さんは本来は優しい人だから、殺伐とした考えでは無く、本当に親からの愛情が欲しくなり、寂しくなってしまった。今は落ち着いていると思ったが、今になって親子鑑定ということで、こんなにストレスを溜めたらどうにかなってしまいそうだと思った。
「ユーリー。お義父さんに声を掛けてくるよ……。親子鑑定をやめようって……」
「ああ。僕もそれが良いと思う。誰が父親でも良いじゃないかと思った」
「そうだよね。カズ兄さん。そういうことだよ。認知届をしてもらおうね!」
そう言って俺が立ち上がると、お義父さんが部屋の中に入ってきた。手にはブルーの紙袋が提げられている。二葉からのお土産だろうか。そんなことを思っていると、お義父さんがどうして寝ているのかと聞いてきたから、倒れたのだと説明した。
「お義父さん。カズ兄さんが倒れたんだ。親子鑑定のことを考えたからだよ」
「大丈夫か?」
「はい。もう起き上がれます……」
一貴さんが起き上がった。そして、項垂れた。そんな彼のことを見て悲しくなり、俺の方から親子関係を辞めてくれと頼んでみることにした。すると、お義父さんから何を言われるのかもう分かっているようで、ため息をついていた。
しかし、お兄さんはどうしてお金を受け取ったのだろうか。せせら笑いをしていたなんて。二葉が志乃さんから聞いたのは、大人しかった自分はお母さんの言うことをなんでも聞く子だったから、バカだと思われていたに違いないということだった。無断じゃ無くても、お金を出させていたに違いないということだった。しかし、隣の家にはおばあさんがいるから、そうならないから、お母さんは無断で引き出すことにしたのだと思うということだった。
バレたらバレたまで。引き出したことを志乃さんとおばあさんが知ったとき、そんな顔をしていた当時のお母さんを志乃さんは嫌い、もうあなたとは関わりたくないと思ったそうだ。そして、お兄さんのこともだ。そんな人達だから、うちの財産を欲しがるのもおかしくないのだということだった。
さて、俺は一貴さんのそばに座り、足を撫でた。頭はユーリーが撫でているからだ。今言いたいのは、こういう話だ。あんたなら、志乃さんの貯金を取っていこうなんて思わないだろうと。あんたは善人であり、悪いことをしようとしたらそれが明るみに出て、周りから止められるタイプなのだと。この家に来る前まではあちこちで悪いことをしていたらしいが、ちゃんと自分に返ってきている。神様という人が存在するとしたら、その人からの問い直しではないだろうか。そのことを一貴さんに言って聞かせた。
「カズ兄さん。俺が思っているのはそういうことだよ。俺達は、そういうあんたのことが好きなんだ。あんたはこの家の人だよ。だから、この家のお兄ちゃんで居てもらいたいんだ。嫌な人でも良いんだよ。それも人生という物で、出会う人は自分の鏡なんだって、大学の神仙教授が言っていたんだ」
「僕は血のつながりを重要視しているんだ。血のつながりがなかったら他人だ。でも、ユーリーのこともアレクシスのことも、親戚だと思っている……。ずっと憧れだったんだ。この家に住めることを。この家に住めたら息子だっていうことだと思っていたんだ。だから、バーテルス家とは血のつながりが無いけど、それはそれで、親しい家同士っていう意味だ。僕は血のつながりがほしい……」
「カズ兄さん……」
困ったなと思った。やっぱりお義父さんに言って、親子鑑定をやめて、認知届を出して貰うことにした。事実として、一貴さんはお義父さんの息子として生きてきたからだ。お母さんの交際相手の、もしかしたら父親かも知れないという人は国内にいるそうだが、お母さんと別れた後は連絡を絶っているという話だった。仕事はデザイナーだという。だから、一貴さんとしては、そっちの人の血を受け継いでいるのではないかと思っている。
一貴さんがプラセルを立ち上げたときは、その人がその仕事をしているなんて知らなかったそうだ。そして、その頃は、父親が誰でも良いと思っていたそうだ。この家には養子が集まり、誰よりも優れていればお義父さんからの愛情を貰える。そんな考えがあったそうだ。
しかし、一貴さんは本来は優しい人だから、殺伐とした考えでは無く、本当に親からの愛情が欲しくなり、寂しくなってしまった。今は落ち着いていると思ったが、今になって親子鑑定ということで、こんなにストレスを溜めたらどうにかなってしまいそうだと思った。
「ユーリー。お義父さんに声を掛けてくるよ……。親子鑑定をやめようって……」
「ああ。僕もそれが良いと思う。誰が父親でも良いじゃないかと思った」
「そうだよね。カズ兄さん。そういうことだよ。認知届をしてもらおうね!」
そう言って俺が立ち上がると、お義父さんが部屋の中に入ってきた。手にはブルーの紙袋が提げられている。二葉からのお土産だろうか。そんなことを思っていると、お義父さんがどうして寝ているのかと聞いてきたから、倒れたのだと説明した。
「お義父さん。カズ兄さんが倒れたんだ。親子鑑定のことを考えたからだよ」
「大丈夫か?」
「はい。もう起き上がれます……」
一貴さんが起き上がった。そして、項垂れた。そんな彼のことを見て悲しくなり、俺の方から親子関係を辞めてくれと頼んでみることにした。すると、お義父さんから何を言われるのかもう分かっているようで、ため息をついていた。
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