青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 アレクシスさんが聞いたのは、一貴さんとの過去世の縁だけだ。一貴さんが何をしていたか、どんな人だったかは聞いていないということだった。俺としては一貴さんが何をしていたか聞きたかった。それはアレクシスさんも同じだったそうだ。二葉と一貴さんとは初めて会った気がしないことで、ユーリーに頼んで、月島さんに見てもらったそうだ。

 アレクシスさんからすると、納得いくものだったそうだ。そして、今回のお見合いは首をかしげるものだったそうだ。俺達は兄弟なのに。そんなことを思ったそうだ。だから、聞いたということだった。

「アレクシスさん。他には聞けなかったの?」
「ああ。俺と二葉のことなら話せるそうだが、一貴君に関わることだから言えないそうだ。兄弟だった。それだけは聞けた。君のことも話せないと言われた。そうなると気になってくるんだけど、言えないものは聞けない。二葉のことを一番最初に聞いたのは、この子が産まれたときだった。名前は二葉だって聞いて、ああ、隆さんの言ったとおりに名前を付けたのかと思った。母さんからそう聞いてあったんだ。いつかこの家に戻ってくるとは思っていた。まさか20歳を過ぎるまで親子の名乗りをしないとは思わなかった」

 そう言って、アレクシスさんが二葉のことを見つめた。そして、もっと早くから知っている関係だったはずだったのにと言った。そして、さらに、君はどこまで旅に出ていたのかと言ったことで、二葉が泣き出した。

「ふたばーー、どうしたんだよーーー」
「夏樹。俺、なんか涙が出るんだ。アレクシスさんと会った時からだよ」
「お兄さんなんだろ。アレクシスさん、そうなんだよね?」
「ああ。俺が兄貴の方で、二葉は弟だった。妹だったときは、月島さんが求婚していたそうだ。あと、二葉が隆さんの家に奉公に来たときは、俺は商人だったそうだ。わけあって別々の家になり、小さいとき以降は会えない関係だったそうだ。そこから後は会っていなくて、今世で会ったらしい。ユリウスとはもっと何度も会っているそうだ。二葉とユリウスは友達同士の時が多くて、俺はその時、二葉の兄貴でって関係らしい。夏樹とは初めましてということだ」
「そうなんだね。そっか、一貴さんと兄弟だったのか」
「ああ。そうなると、血のつながりなんてあってもなくても、心の方で繋がっているんだって思う。隆さんと一貴君が親子だったかどうかも言えないそうだけど、この分だと、縁がありそうだ。ユリウスが月島君と付き合うようになったら教えても良いと言われたそうだ」
「なんだよ、それ~。餌にする気かよ~」
「ははは。それはいい。私は一貴とは初めて会った気がしてない。別に、血のつながりがなくても良いんだよ。二葉、そんなに泣くな」

 お義父さんが二葉にティッシュを差し出した。それを彼女が受け取り、涙を拭いて鼻をかみ、近くのゴミ箱に入れた。花粉症持ちだから、何度も鼻をかんでいるから、すでに彼女の鼻の下は赤い。薬を飲んでいるが、あまり効かないそうだ。

「ふたばーー、花粉症対策の注射を打ってきたら?」
「それ、強い薬だろ。やめた方がいいんじゃないか?」
「そうだけどさ。夜、鼻が詰まって寝られないなら、具合が悪くなるよ。一回、試してみたら?」

 アレクシスさんが心配しているのも分かる。強い薬が後でリバウンドが来ると思う。しかし、俺の回りではその注射を打つ人が多くて、悠人も打っていた。今年の花粉は多いらしい。俺は今のところ何もないが、ステージに立つ時期だったら打っていると思う。

 それを思っているのはお義父さんも同じで、やってみようと二葉に言った。二葉の方は一貴さんと同じで注射が苦手だから、怖がって打とうとしない。楽になるのに。去年から見ている二葉のことを見て、そう思った。初めて会ったときはしっかりしている子だと思っていたのに、けっこう気が弱くて、ウジウジしている。それは自分の性別が分からないからだということもあるだろう。
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