468 / 938
14-37
しおりを挟む
アレクシスさんが聞いたのは、一貴さんとの過去世の縁だけだ。一貴さんが何をしていたか、どんな人だったかは聞いていないということだった。俺としては一貴さんが何をしていたか聞きたかった。それはアレクシスさんも同じだったそうだ。二葉と一貴さんとは初めて会った気がしないことで、ユーリーに頼んで、月島さんに見てもらったそうだ。
アレクシスさんからすると、納得いくものだったそうだ。そして、今回のお見合いは首をかしげるものだったそうだ。俺達は兄弟なのに。そんなことを思ったそうだ。だから、聞いたということだった。
「アレクシスさん。他には聞けなかったの?」
「ああ。俺と二葉のことなら話せるそうだが、一貴君に関わることだから言えないそうだ。兄弟だった。それだけは聞けた。君のことも話せないと言われた。そうなると気になってくるんだけど、言えないものは聞けない。二葉のことを一番最初に聞いたのは、この子が産まれたときだった。名前は二葉だって聞いて、ああ、隆さんの言ったとおりに名前を付けたのかと思った。母さんからそう聞いてあったんだ。いつかこの家に戻ってくるとは思っていた。まさか20歳を過ぎるまで親子の名乗りをしないとは思わなかった」
そう言って、アレクシスさんが二葉のことを見つめた。そして、もっと早くから知っている関係だったはずだったのにと言った。そして、さらに、君はどこまで旅に出ていたのかと言ったことで、二葉が泣き出した。
「ふたばーー、どうしたんだよーーー」
「夏樹。俺、なんか涙が出るんだ。アレクシスさんと会った時からだよ」
「お兄さんなんだろ。アレクシスさん、そうなんだよね?」
「ああ。俺が兄貴の方で、二葉は弟だった。妹だったときは、月島さんが求婚していたそうだ。あと、二葉が隆さんの家に奉公に来たときは、俺は商人だったそうだ。わけあって別々の家になり、小さいとき以降は会えない関係だったそうだ。そこから後は会っていなくて、今世で会ったらしい。ユリウスとはもっと何度も会っているそうだ。二葉とユリウスは友達同士の時が多くて、俺はその時、二葉の兄貴でって関係らしい。夏樹とは初めましてということだ」
「そうなんだね。そっか、一貴さんと兄弟だったのか」
「ああ。そうなると、血のつながりなんてあってもなくても、心の方で繋がっているんだって思う。隆さんと一貴君が親子だったかどうかも言えないそうだけど、この分だと、縁がありそうだ。ユリウスが月島君と付き合うようになったら教えても良いと言われたそうだ」
「なんだよ、それ~。餌にする気かよ~」
「ははは。それはいい。私は一貴とは初めて会った気がしてない。別に、血のつながりがなくても良いんだよ。二葉、そんなに泣くな」
お義父さんが二葉にティッシュを差し出した。それを彼女が受け取り、涙を拭いて鼻をかみ、近くのゴミ箱に入れた。花粉症持ちだから、何度も鼻をかんでいるから、すでに彼女の鼻の下は赤い。薬を飲んでいるが、あまり効かないそうだ。
「ふたばーー、花粉症対策の注射を打ってきたら?」
「それ、強い薬だろ。やめた方がいいんじゃないか?」
「そうだけどさ。夜、鼻が詰まって寝られないなら、具合が悪くなるよ。一回、試してみたら?」
アレクシスさんが心配しているのも分かる。強い薬が後でリバウンドが来ると思う。しかし、俺の回りではその注射を打つ人が多くて、悠人も打っていた。今年の花粉は多いらしい。俺は今のところ何もないが、ステージに立つ時期だったら打っていると思う。
それを思っているのはお義父さんも同じで、やってみようと二葉に言った。二葉の方は一貴さんと同じで注射が苦手だから、怖がって打とうとしない。楽になるのに。去年から見ている二葉のことを見て、そう思った。初めて会ったときはしっかりしている子だと思っていたのに、けっこう気が弱くて、ウジウジしている。それは自分の性別が分からないからだということもあるだろう。
アレクシスさんからすると、納得いくものだったそうだ。そして、今回のお見合いは首をかしげるものだったそうだ。俺達は兄弟なのに。そんなことを思ったそうだ。だから、聞いたということだった。
「アレクシスさん。他には聞けなかったの?」
「ああ。俺と二葉のことなら話せるそうだが、一貴君に関わることだから言えないそうだ。兄弟だった。それだけは聞けた。君のことも話せないと言われた。そうなると気になってくるんだけど、言えないものは聞けない。二葉のことを一番最初に聞いたのは、この子が産まれたときだった。名前は二葉だって聞いて、ああ、隆さんの言ったとおりに名前を付けたのかと思った。母さんからそう聞いてあったんだ。いつかこの家に戻ってくるとは思っていた。まさか20歳を過ぎるまで親子の名乗りをしないとは思わなかった」
そう言って、アレクシスさんが二葉のことを見つめた。そして、もっと早くから知っている関係だったはずだったのにと言った。そして、さらに、君はどこまで旅に出ていたのかと言ったことで、二葉が泣き出した。
「ふたばーー、どうしたんだよーーー」
「夏樹。俺、なんか涙が出るんだ。アレクシスさんと会った時からだよ」
「お兄さんなんだろ。アレクシスさん、そうなんだよね?」
「ああ。俺が兄貴の方で、二葉は弟だった。妹だったときは、月島さんが求婚していたそうだ。あと、二葉が隆さんの家に奉公に来たときは、俺は商人だったそうだ。わけあって別々の家になり、小さいとき以降は会えない関係だったそうだ。そこから後は会っていなくて、今世で会ったらしい。ユリウスとはもっと何度も会っているそうだ。二葉とユリウスは友達同士の時が多くて、俺はその時、二葉の兄貴でって関係らしい。夏樹とは初めましてということだ」
「そうなんだね。そっか、一貴さんと兄弟だったのか」
「ああ。そうなると、血のつながりなんてあってもなくても、心の方で繋がっているんだって思う。隆さんと一貴君が親子だったかどうかも言えないそうだけど、この分だと、縁がありそうだ。ユリウスが月島君と付き合うようになったら教えても良いと言われたそうだ」
「なんだよ、それ~。餌にする気かよ~」
「ははは。それはいい。私は一貴とは初めて会った気がしてない。別に、血のつながりがなくても良いんだよ。二葉、そんなに泣くな」
お義父さんが二葉にティッシュを差し出した。それを彼女が受け取り、涙を拭いて鼻をかみ、近くのゴミ箱に入れた。花粉症持ちだから、何度も鼻をかんでいるから、すでに彼女の鼻の下は赤い。薬を飲んでいるが、あまり効かないそうだ。
「ふたばーー、花粉症対策の注射を打ってきたら?」
「それ、強い薬だろ。やめた方がいいんじゃないか?」
「そうだけどさ。夜、鼻が詰まって寝られないなら、具合が悪くなるよ。一回、試してみたら?」
アレクシスさんが心配しているのも分かる。強い薬が後でリバウンドが来ると思う。しかし、俺の回りではその注射を打つ人が多くて、悠人も打っていた。今年の花粉は多いらしい。俺は今のところ何もないが、ステージに立つ時期だったら打っていると思う。
それを思っているのはお義父さんも同じで、やってみようと二葉に言った。二葉の方は一貴さんと同じで注射が苦手だから、怖がって打とうとしない。楽になるのに。去年から見ている二葉のことを見て、そう思った。初めて会ったときはしっかりしている子だと思っていたのに、けっこう気が弱くて、ウジウジしている。それは自分の性別が分からないからだということもあるだろう。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
タトゥーの甘い檻
マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代)
どのお話も単体でお楽しみいただけます。
「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」
真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。
それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。
「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。
アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。
ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。
愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。
「……お前のわがままには、最後まで付き合う」
針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。
執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
お腹いっぱい、召し上がれ
砂ねずみ
BL
料理研究家でαの藤白蒼は幼なじみで10個下のΩ晃と番になった。そんな二人の間に産まれた照は元気いっぱいな男の子。泣いたり、笑ったり、家族の温かみを感じながら藤白家の日常が穏やかに進んでいく。
そんな愛する妻と愛する息子、大切な家族のお腹いっぱい喜ぶ顔が見たいから。蒼は今日も明日もその先も、キッチンに立って腕を振るう。
さあ、お腹いっぱい、召し上がれ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる