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二葉の性自認は、さっきお義父さんが言っていたとおり、男性だ。しかし、町野先生の診察を受けるようになり、どちらなのか分からなくなったそうだ。それはあることらしい。男だと思っていたのに、やっぱり女性であり、女性として女性と愛するというタイプなのかも知れない。
今は男性の格好をしているが、たまに女性的な元のしゃべり方が出るときがある。それは驚いたときの反応だ。キャーーなんて言ったことがある。だから、今は無理をして男性の格好をしているのでは無いかと思っている。一度、女性の格好に戻してはどうかと思っている。
「ふたばーー。俺から言いたいことがもう一つあるんだ。はっきり言うけどさ、君、女性の格好に戻してみたらどうかって思っているんだ。一貴さんが、スポッと着られる、カジュアルなワンピースを持って帰ってくれてあるんだ。色は黒だよ。家の中ではそれを着ていたら?」
「女の格好はしたくないんだ。ズーーーーー」
二葉が首を横に振った。ママからスカートを履きなさいと言われた過去を思い出すからだそうだ。あなたは女の子だと言われたことが、よっぽど心に突き刺さったらしい。女の子らしくとか、女性としてこうだとか、そんなことを言われたのだと、二葉が色々と立て続けに言った。そのことでお義父さんは苦笑いをした。
「私のせいもある。すまなかった。この家に呼んでいたら、お前は我儘に育っていたかも知れない。だから、倉口さんの家に里子に出した感覚をしている」
「お義父さん……」
お義父さんが倉口さんの名前を出したことで、もう怒っていないのだと分かった。ママのこともだ。こうやって手元に戻ってきたことだし、二葉が旅に出ていたのは、神様からの思し召しなんだろう。俺としてはそんなことを思った。
すると、アレクシスさんが立ち上がった。これでいつものジーンズに戻せると言いながら。あのダメージジーンズだ。パンツが見えていたことは知っているのだろうか。この家であんな格好をするのはアレクシスさんだけだ。みんなピシッとした格好をしているというのに。
「アレクシスさん。あれはいけないよ~。パンツが見えていたんだ」
「お前、この家の子だな。ああーー、すっきりした。へっくしょい!」
アレクシスさんがヤンキー口調に戻った。二葉が驚いている。それだけギャップがあるからだ。くしゃみまでヤンキー口調だ。そして、ティッシュで鼻をかんだ。
「二葉君。こういうことだ。俺はこれが素だ。さっきまでの姿はバーテルス家の息子としての顔だ。ああやって学校に通っていたんだぞ。君は今、男性の格好をしているんだろうが、俺だってバーテルス家の息子の格好をしている。しかし、魂というのは本人でしかない。どんな格好をしようが何を言おうが、君は君だ。志乃さんが好きなら、それを突き通すといい。俺に遠慮は要らない。結婚しても良いんだぞ?」
「いや、俺は良いよ。愛が欲しいんだろ?」
アレクシスさんからの申し出に、二葉がもう一度、首を横に振った。すると、アレクシスさんが二葉に微笑みかけた。同性が好きだなんて厄介だよなと言って。恋人選びに手間がかかるのだという。好きになった相手も同性が好きだとは限らず、フラれた数なら負けないと言った。そして、彼が俺の方を向いた。お前は良いよなあと言いながら。
「どうして?相手は黒崎さんだよ。しつこかったんだ。あの人」
「それは分かる。10代で相手が見つかったなんて羨ましい。俺なんか、この年でもまだ決まった相手がいないんだ。どの人とも続かない。だから、ここでの見合いは良いかなって思った。でもなーー、兄弟としか思えないんだ」
「そっか。そうやって話していると、ユーリーと似ていないよ。さっきまでのあんたはそっくりだったけど。格好良さが半減するから、あのジーンズはやめたら?」
「はっきり言うんだな。バーテルス家の息子そのものなのは、ユリウスだ。あれがうちの家だ。言いだしたら聞かない、欲しいものは欲しい、でも、インテリジェンスだ。先祖からそうなんだぞ。俺だけは違う。ああーーー、バーテルス家の息子のふりをするのは疲れる!」
アレクシスさんが大きく股を開いて座り直した。ヤンキー座りだ。日本で初めてそれを見たときは、ああ、自分がいると思ったそうだ。その話に笑った後、俺達は応接室を出た。まだ泣いている二葉のことを心配しながら。
今は男性の格好をしているが、たまに女性的な元のしゃべり方が出るときがある。それは驚いたときの反応だ。キャーーなんて言ったことがある。だから、今は無理をして男性の格好をしているのでは無いかと思っている。一度、女性の格好に戻してはどうかと思っている。
「ふたばーー。俺から言いたいことがもう一つあるんだ。はっきり言うけどさ、君、女性の格好に戻してみたらどうかって思っているんだ。一貴さんが、スポッと着られる、カジュアルなワンピースを持って帰ってくれてあるんだ。色は黒だよ。家の中ではそれを着ていたら?」
「女の格好はしたくないんだ。ズーーーーー」
二葉が首を横に振った。ママからスカートを履きなさいと言われた過去を思い出すからだそうだ。あなたは女の子だと言われたことが、よっぽど心に突き刺さったらしい。女の子らしくとか、女性としてこうだとか、そんなことを言われたのだと、二葉が色々と立て続けに言った。そのことでお義父さんは苦笑いをした。
「私のせいもある。すまなかった。この家に呼んでいたら、お前は我儘に育っていたかも知れない。だから、倉口さんの家に里子に出した感覚をしている」
「お義父さん……」
お義父さんが倉口さんの名前を出したことで、もう怒っていないのだと分かった。ママのこともだ。こうやって手元に戻ってきたことだし、二葉が旅に出ていたのは、神様からの思し召しなんだろう。俺としてはそんなことを思った。
すると、アレクシスさんが立ち上がった。これでいつものジーンズに戻せると言いながら。あのダメージジーンズだ。パンツが見えていたことは知っているのだろうか。この家であんな格好をするのはアレクシスさんだけだ。みんなピシッとした格好をしているというのに。
「アレクシスさん。あれはいけないよ~。パンツが見えていたんだ」
「お前、この家の子だな。ああーー、すっきりした。へっくしょい!」
アレクシスさんがヤンキー口調に戻った。二葉が驚いている。それだけギャップがあるからだ。くしゃみまでヤンキー口調だ。そして、ティッシュで鼻をかんだ。
「二葉君。こういうことだ。俺はこれが素だ。さっきまでの姿はバーテルス家の息子としての顔だ。ああやって学校に通っていたんだぞ。君は今、男性の格好をしているんだろうが、俺だってバーテルス家の息子の格好をしている。しかし、魂というのは本人でしかない。どんな格好をしようが何を言おうが、君は君だ。志乃さんが好きなら、それを突き通すといい。俺に遠慮は要らない。結婚しても良いんだぞ?」
「いや、俺は良いよ。愛が欲しいんだろ?」
アレクシスさんからの申し出に、二葉がもう一度、首を横に振った。すると、アレクシスさんが二葉に微笑みかけた。同性が好きだなんて厄介だよなと言って。恋人選びに手間がかかるのだという。好きになった相手も同性が好きだとは限らず、フラれた数なら負けないと言った。そして、彼が俺の方を向いた。お前は良いよなあと言いながら。
「どうして?相手は黒崎さんだよ。しつこかったんだ。あの人」
「それは分かる。10代で相手が見つかったなんて羨ましい。俺なんか、この年でもまだ決まった相手がいないんだ。どの人とも続かない。だから、ここでの見合いは良いかなって思った。でもなーー、兄弟としか思えないんだ」
「そっか。そうやって話していると、ユーリーと似ていないよ。さっきまでのあんたはそっくりだったけど。格好良さが半減するから、あのジーンズはやめたら?」
「はっきり言うんだな。バーテルス家の息子そのものなのは、ユリウスだ。あれがうちの家だ。言いだしたら聞かない、欲しいものは欲しい、でも、インテリジェンスだ。先祖からそうなんだぞ。俺だけは違う。ああーーー、バーテルス家の息子のふりをするのは疲れる!」
アレクシスさんが大きく股を開いて座り直した。ヤンキー座りだ。日本で初めてそれを見たときは、ああ、自分がいると思ったそうだ。その話に笑った後、俺達は応接室を出た。まだ泣いている二葉のことを心配しながら。
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