590 / 938
17-11
しおりを挟む
ふうっとため息をついた。俺はこの家の人間であり、実家よりも優先しろと両親から言い聞かされてある。実家のことは任せておけばいい。しかし、最近になって中山家の祖父母に会いたいと思うようになった。3月に一度だけ祖父と話が出来て、4月に入ってもう一度電話での短い会話をした。祖母とは話ができていない。いつか話さないといけないだろうと思うと気が重い。祖父との時のように、俺の方が悪いことをした気分になれるだろうか。
この件をお父さんに相談すると、こう言っていた。祖母は祖母で人生においてやらなければならないことがあり、俺は俺なのだと。無理に会うことはしなくていいのだと。電話だってしなくていいのだと言ってくれた。だからその時は気が晴れて、このままで良いと思った。しかし、お義父さんはそんな俺にこう言った。家族という物を作っても、自ら諍いを起して疎遠になり、将来は孤独になるのは、家族を作ったときには考えていなかったのかも知れないのだと。運命は常に動いている。家族が居るから幸せなんて思っても、きちんと話をして関係作りが出来なかったら、自分のようになってしまうのだと。
そこで俺はこう聞いた。今は幸せになっているかと。お義父さんは答えた。そうだよと。こんなに人が集まってくるなんて思わなかったと言ってくれた。そのお手伝いができたことを、俺は嬉しく思った。
「ユーリー。やっぱりお線香を焚きたいな」
「そうしようか。どれにする?色々あるよ」
「ほんとだ。何種類もあるね。このお線香は忠明叔父さんが持って来てくれたんだ。聖河さんが受ける財産分与のことで話に来たときだよ。聖河さん、やっぱり要らないって言ったんだって……」
「そうだったのか。だから、叔父さんが来ていたのか。この家の養子になる話も断るそうだから、その話もあったんだろう」
聖河さんのことでは彼の身の回りに変化が起きた。実のお父さんの家のおばあさんから譲られることになった都内にあるアパート物件のことだが、贈与を受けるのをやめたということだった。内田家の人と接してみて、やっぱり関わりたくないという思いが強くなったからだった。しかし、おばあさんの方は受け取ってくれという。そこで会いに行って、集まった内田家の親戚の人の前で要らないとはっきり断ると、彼らがホッとしていたという。聖河さんはその顔を見逃さなかった。祟りだなんて言って大騒ぎしていたくせに、いざ財産を渡すとなるとこの反応かと思い、呆れたそうだ。そこで、もうお別れを決めたそうだ。一円も要らないと言ってきたそうだ。しかし、まだ内田家のおばあさんとは話し合いが続いているそうだ。
そこで、不動産取引のことで法事の時から忠明叔父さんが聖河さんの相談役になった。内田家のことを嫌がる聖河さんに、子供の頃のときと同じように、黒崎家との養子縁組のアイデアがされた。黒崎家の養子になれば、内田家の人も追いかけては来ないだろうと思ってのことだ。もう別の家の人間になりました、ということだ。
それには聖河さんは断った。自分は山岸家の人間だからだということだった。お義父さんの実子がたくさんいる中、自分が養子にならなくても良いだろうという考えからだ。そして、山岸家のお祖父さんの反対もあった。聖河さんだけが跡取り息子では無いが、お祖父さんはお義父さんのことが嫌いだから、黒崎家の養子になるなということだった。しかし、忠明叔父さんは聖河さんのことを気に入り、黒崎家のメンバーになってほしいと希望した。とてもいい人だからだ。しかし、聖河さんにはその気は無くて、色々とありがたい話を蹴っている現状に戸惑いがあるそうだ。
「忠明叔父さんってさ。聖河さんのことが好きになったんだ。可愛いって言うんだ。俺にもデザートを持ってきてくれてさ~。お義父さんがね、年を取ると変わるなあって言っていたんだ。黒崎さん。そうだよね?あ……」
「……」
俺達は口を閉じた。今、黒崎が仏壇の前で手を合わせ始めたからだ。なんだか荘厳なイメージがある。そして、隣の祭壇の前に行き、拓海さんの十字架を手に取り、見つめ始めた。
この件をお父さんに相談すると、こう言っていた。祖母は祖母で人生においてやらなければならないことがあり、俺は俺なのだと。無理に会うことはしなくていいのだと。電話だってしなくていいのだと言ってくれた。だからその時は気が晴れて、このままで良いと思った。しかし、お義父さんはそんな俺にこう言った。家族という物を作っても、自ら諍いを起して疎遠になり、将来は孤独になるのは、家族を作ったときには考えていなかったのかも知れないのだと。運命は常に動いている。家族が居るから幸せなんて思っても、きちんと話をして関係作りが出来なかったら、自分のようになってしまうのだと。
そこで俺はこう聞いた。今は幸せになっているかと。お義父さんは答えた。そうだよと。こんなに人が集まってくるなんて思わなかったと言ってくれた。そのお手伝いができたことを、俺は嬉しく思った。
「ユーリー。やっぱりお線香を焚きたいな」
「そうしようか。どれにする?色々あるよ」
「ほんとだ。何種類もあるね。このお線香は忠明叔父さんが持って来てくれたんだ。聖河さんが受ける財産分与のことで話に来たときだよ。聖河さん、やっぱり要らないって言ったんだって……」
「そうだったのか。だから、叔父さんが来ていたのか。この家の養子になる話も断るそうだから、その話もあったんだろう」
聖河さんのことでは彼の身の回りに変化が起きた。実のお父さんの家のおばあさんから譲られることになった都内にあるアパート物件のことだが、贈与を受けるのをやめたということだった。内田家の人と接してみて、やっぱり関わりたくないという思いが強くなったからだった。しかし、おばあさんの方は受け取ってくれという。そこで会いに行って、集まった内田家の親戚の人の前で要らないとはっきり断ると、彼らがホッとしていたという。聖河さんはその顔を見逃さなかった。祟りだなんて言って大騒ぎしていたくせに、いざ財産を渡すとなるとこの反応かと思い、呆れたそうだ。そこで、もうお別れを決めたそうだ。一円も要らないと言ってきたそうだ。しかし、まだ内田家のおばあさんとは話し合いが続いているそうだ。
そこで、不動産取引のことで法事の時から忠明叔父さんが聖河さんの相談役になった。内田家のことを嫌がる聖河さんに、子供の頃のときと同じように、黒崎家との養子縁組のアイデアがされた。黒崎家の養子になれば、内田家の人も追いかけては来ないだろうと思ってのことだ。もう別の家の人間になりました、ということだ。
それには聖河さんは断った。自分は山岸家の人間だからだということだった。お義父さんの実子がたくさんいる中、自分が養子にならなくても良いだろうという考えからだ。そして、山岸家のお祖父さんの反対もあった。聖河さんだけが跡取り息子では無いが、お祖父さんはお義父さんのことが嫌いだから、黒崎家の養子になるなということだった。しかし、忠明叔父さんは聖河さんのことを気に入り、黒崎家のメンバーになってほしいと希望した。とてもいい人だからだ。しかし、聖河さんにはその気は無くて、色々とありがたい話を蹴っている現状に戸惑いがあるそうだ。
「忠明叔父さんってさ。聖河さんのことが好きになったんだ。可愛いって言うんだ。俺にもデザートを持ってきてくれてさ~。お義父さんがね、年を取ると変わるなあって言っていたんだ。黒崎さん。そうだよね?あ……」
「……」
俺達は口を閉じた。今、黒崎が仏壇の前で手を合わせ始めたからだ。なんだか荘厳なイメージがある。そして、隣の祭壇の前に行き、拓海さんの十字架を手に取り、見つめ始めた。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~
野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。
残念ながら話もできたし、触ることもできた。
様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。
そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。
厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。
きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。
それから五年。
地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。
真詞の運命が大きく動き出す。
人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半)
別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半)
・前半 巡(人外)×真詞
・後半 岬(人間)×真詞
※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。
※ キスを二回程度しかしないです。
※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。
※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる