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25-30(夏樹視点)
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14時。
帰りの飛行機に乗るために、空港に到着したところだ。ロビーは、午後の光に包まれていた。高い天井から降り注ぐ陽射しが、磨かれた床を白く照らし、人々の足音とアナウンスが、ゆるやかに混ざり合っている。そして、キャリーケースの車輪が静かに転がっていき、その音が響いている。
田中先生とのお茶の時間は、思っていた以上に楽しい時間だった。先生は穏やかで、昔と変わらない笑顔を見せてくれた。俺たちの近況を聞いては目を細めて、心配な様子と、面白がる様子を見せていた。そして、君たちは本当に仲がいいな、と笑っていた。大学時代の思い出話や、先生が最近ハマっているというコーヒーの話でも盛り上がり、気づけば時計の針が予定よりもずっと進んでいた。別れ際に、またゆっくり話そうと言われたその言葉が、胸に温かく残っている。
俺と伊吹と聡太郎は搭乗手続きを終え、待合スペースのソファーに腰を下ろした。そして、伊吹がペットボトルのアイスコーヒーを口にしながら言った。
「楽しかったな。あんな人が担任なら、もう一度学生をやりたいぐらいだ」
「ね。俺もそう思ったよ」
聡太郎が笑って頷いた。すると、伊吹が腕時計に目を落とした。飛行機の出発まであと一時間を切っている。
「黒崎さん達は、そろそろ着くころだな」
「うん。さっきラインが入ったんだよ」
俺はスマートフォンを取り出し、黒崎から届いたメッセージを見た。“今、空港に向かっている。あと十数分で着く”というものだった、簡潔で、いつも通りの文面だったと思った。黒崎らしい。どんな時も余計なことは言わない。
すると、ロビーの自動ドアが開き、熱い外気が一瞬流れ込んだ。そして、そこから黒崎が姿を見せた。隣には朝陽がいた。彼は少し疲れたように見えたが、その表情には落ち着きがあった。そこで、伊吹が立ち上がり、手を振った。
「おーい、こっちです!」
その声に気づいた黒崎が軽く視線を向けてきて、朝陽を連れて歩いてきた。いつもどおりだ。その姿を見て、胸がほっとした。
「無事に会えたみたいだね」
「ああ。いろいろと話ができたようだ」
「お兄ちゃん……」
朝陽は少し息を整えながら苦笑いした。その顔を見て、俺は反対なのだと察した。俺は視線を向けると、朝陽が軽く頷いた。ろくに話ができなかったと言いながら。
「お父さん、酔っぱらっていたんだ。昨日、俺たちの前で泣いたから、気まずかったかもしれない。でも、俺、心配しているって伝えられたからよかったよ。来てよかった」
「そっか。それならよかったよ」
「朝陽がそういうなら、そうに違いない」
黒崎が苦笑した。しかし、その声音には、どこか安堵が混ざっている感じがした。朝陽も穏やかな顔をしている。そして、聡太郎が腕時計を見た。
「搭乗まで時間がありますけど、保安検査場に行きませんか?向こうで話をしましょう」
「じゃあ、行こうか」
俺たちは黒崎たちと並んで、ゲートへと歩き出した。照り返す太陽の光の中で、旅の終わりが静かに近づいているのを感じた。
(あ、朝陽、六槍さんに電話したかな?)
昨夜の電話のことを思い出した。全部終わったら電話をしてきてと言われていたと思う。そこで、朝陽に声をかけると、赤い顔をして頷いた。これから電話をかけようと思っていたところだったそうだ。それなら、今ここでするといいと思った。検査場の向こうの待合は静かだから、話がしずらいと思う。それに、六槍さんの方も待っているだろう。
帰りの飛行機に乗るために、空港に到着したところだ。ロビーは、午後の光に包まれていた。高い天井から降り注ぐ陽射しが、磨かれた床を白く照らし、人々の足音とアナウンスが、ゆるやかに混ざり合っている。そして、キャリーケースの車輪が静かに転がっていき、その音が響いている。
田中先生とのお茶の時間は、思っていた以上に楽しい時間だった。先生は穏やかで、昔と変わらない笑顔を見せてくれた。俺たちの近況を聞いては目を細めて、心配な様子と、面白がる様子を見せていた。そして、君たちは本当に仲がいいな、と笑っていた。大学時代の思い出話や、先生が最近ハマっているというコーヒーの話でも盛り上がり、気づけば時計の針が予定よりもずっと進んでいた。別れ際に、またゆっくり話そうと言われたその言葉が、胸に温かく残っている。
俺と伊吹と聡太郎は搭乗手続きを終え、待合スペースのソファーに腰を下ろした。そして、伊吹がペットボトルのアイスコーヒーを口にしながら言った。
「楽しかったな。あんな人が担任なら、もう一度学生をやりたいぐらいだ」
「ね。俺もそう思ったよ」
聡太郎が笑って頷いた。すると、伊吹が腕時計に目を落とした。飛行機の出発まであと一時間を切っている。
「黒崎さん達は、そろそろ着くころだな」
「うん。さっきラインが入ったんだよ」
俺はスマートフォンを取り出し、黒崎から届いたメッセージを見た。“今、空港に向かっている。あと十数分で着く”というものだった、簡潔で、いつも通りの文面だったと思った。黒崎らしい。どんな時も余計なことは言わない。
すると、ロビーの自動ドアが開き、熱い外気が一瞬流れ込んだ。そして、そこから黒崎が姿を見せた。隣には朝陽がいた。彼は少し疲れたように見えたが、その表情には落ち着きがあった。そこで、伊吹が立ち上がり、手を振った。
「おーい、こっちです!」
その声に気づいた黒崎が軽く視線を向けてきて、朝陽を連れて歩いてきた。いつもどおりだ。その姿を見て、胸がほっとした。
「無事に会えたみたいだね」
「ああ。いろいろと話ができたようだ」
「お兄ちゃん……」
朝陽は少し息を整えながら苦笑いした。その顔を見て、俺は反対なのだと察した。俺は視線を向けると、朝陽が軽く頷いた。ろくに話ができなかったと言いながら。
「お父さん、酔っぱらっていたんだ。昨日、俺たちの前で泣いたから、気まずかったかもしれない。でも、俺、心配しているって伝えられたからよかったよ。来てよかった」
「そっか。それならよかったよ」
「朝陽がそういうなら、そうに違いない」
黒崎が苦笑した。しかし、その声音には、どこか安堵が混ざっている感じがした。朝陽も穏やかな顔をしている。そして、聡太郎が腕時計を見た。
「搭乗まで時間がありますけど、保安検査場に行きませんか?向こうで話をしましょう」
「じゃあ、行こうか」
俺たちは黒崎たちと並んで、ゲートへと歩き出した。照り返す太陽の光の中で、旅の終わりが静かに近づいているのを感じた。
(あ、朝陽、六槍さんに電話したかな?)
昨夜の電話のことを思い出した。全部終わったら電話をしてきてと言われていたと思う。そこで、朝陽に声をかけると、赤い顔をして頷いた。これから電話をかけようと思っていたところだったそうだ。それなら、今ここでするといいと思った。検査場の向こうの待合は静かだから、話がしずらいと思う。それに、六槍さんの方も待っているだろう。
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