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21-1 天国から遠く離れて
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5月19日、日曜日。午前6時。
一昨日からコンサートが始まった。3日目の本日が最終日だ。合わせて7500人分のチケットは完売だ。観客の盛り上がりもいい。プロデューサー達からは、成功だと言われた。
ネガティブになりがちな俺のことを、早瀬が支えてくれた。何かあってはいけないと、家事の全てをやらせてもらえない。何かする方が気が紛れるのに。そそっかしいからだと言われると、大人しく言うことを聞くしかない。
シャワーを浴びた後、髪の毛を乾かしてもらっている。ドライヤーすら持たされない。夕方からの最終リハーサルまでは身体を休めておく。
「悠人、こっちを向け」
「はーい。髪が伸びたから時間がかかるようになったね。切ろうかな?」
「アレンジが出来なくなるぞ」
「短いスタイルも好きだよ。……裕理さんは今のままがいいの?だったらこのままにする」
「可愛いことを言うじゃないか。メエメエさんを食べてやる」
「コンサートが終わるまで待ってよ。俺も寂しい……。あああ……」
うっかり口が滑ってしまった。べったりくっついて寝ているが、それ以上のことをしないのは、早瀬の自制心によるものだ。何かあってはいけないと言っている。
コンサートが終われば、元通りの日々になる。それまでの我慢だ。たった3日間のことなのに、こんな事を思う自分が恥ずかしい。
早瀬は恥ずかしげもなく口にするが、俺はそういうタイプではない。スルーしてもらいたいのに、笑い声を立てられた。ドライヤーの風が遠のき、耳元に息を吹きかけられた。小さな風でも身体が反応した。
「もうー!」
「敏感だな。明日の夜が楽しみだ。少し触ってもいいか?影響ない程度にする」
「だめだって。もう、あの……」
「少しだけだ。じっとして……」
髪の毛を乾かしている途中なのに。癖がないからバサバサにはならないが、気になることだ。それは置いておこう。近づいて来た顔を押しのけたいのに、優しく見つめられては抵抗できない。
耳元の髪の毛をすくように手を添えられて、唇が近づいて来た。目を伏せがちにして受けとめた後、見つめ合った。綺麗な緑色の瞳と、色素薄めのまつ毛が揺れている。
どうして二年間も早瀬の瞳に気付かなかったのか。こんなに近くで触れ合っていたのに。デビュー直前になり知った。自信がなくて人の目を見られない。そんな自分が消えた。
「裕理さん。綺麗な目元だね……」
「ありがとう。君から言われるのは嬉しいよ。俺も黒い瞳が好きだ。理知的で賢い子に見える」
「げえええっ。見えるってなんだよ?」
「言葉どおりだ。動物的な部分とのギャップが堪らない。愛している」
「もう……」
「ウシになってもいい。もっとしてもいいか?」
自分からそう聞きながら、ラグの上に押し倒された。悪戯っぽく笑っているだけで、先に進もうとはしない。
テラス窓からは、朝の光を浴びた庭が見えている。ここに来て植えた木々や草花、新しく置いたベンチが良い景色だ。室内は温かみのあるカラーだ。こんな家に住みたいと思っていた。家族が欲しいと願い、夢が叶った。それを叶えてくれたのは、目の前の人だ。
「裕理さん。大好きだよ」
「”愛している”だろう?そういうところが可愛いよ」
自制心を保つと言った通りに、キスから進まなかった。どうも熱がこもった気がするが。それを消そうと起き上がり、ドライヤーを当てられた。今度は普通の触り方をされて、寂しいようなホッとした気分だ。そして、ドライヤーが終わった。早瀬が今度はキッチンに行った。
「さあ、朝ご飯を食べよう」
「うん」
さあ朝ごはんだ。ダイニングから呼ばれて、グーグー腹を鳴らしながら走って行った。
一昨日からコンサートが始まった。3日目の本日が最終日だ。合わせて7500人分のチケットは完売だ。観客の盛り上がりもいい。プロデューサー達からは、成功だと言われた。
ネガティブになりがちな俺のことを、早瀬が支えてくれた。何かあってはいけないと、家事の全てをやらせてもらえない。何かする方が気が紛れるのに。そそっかしいからだと言われると、大人しく言うことを聞くしかない。
シャワーを浴びた後、髪の毛を乾かしてもらっている。ドライヤーすら持たされない。夕方からの最終リハーサルまでは身体を休めておく。
「悠人、こっちを向け」
「はーい。髪が伸びたから時間がかかるようになったね。切ろうかな?」
「アレンジが出来なくなるぞ」
「短いスタイルも好きだよ。……裕理さんは今のままがいいの?だったらこのままにする」
「可愛いことを言うじゃないか。メエメエさんを食べてやる」
「コンサートが終わるまで待ってよ。俺も寂しい……。あああ……」
うっかり口が滑ってしまった。べったりくっついて寝ているが、それ以上のことをしないのは、早瀬の自制心によるものだ。何かあってはいけないと言っている。
コンサートが終われば、元通りの日々になる。それまでの我慢だ。たった3日間のことなのに、こんな事を思う自分が恥ずかしい。
早瀬は恥ずかしげもなく口にするが、俺はそういうタイプではない。スルーしてもらいたいのに、笑い声を立てられた。ドライヤーの風が遠のき、耳元に息を吹きかけられた。小さな風でも身体が反応した。
「もうー!」
「敏感だな。明日の夜が楽しみだ。少し触ってもいいか?影響ない程度にする」
「だめだって。もう、あの……」
「少しだけだ。じっとして……」
髪の毛を乾かしている途中なのに。癖がないからバサバサにはならないが、気になることだ。それは置いておこう。近づいて来た顔を押しのけたいのに、優しく見つめられては抵抗できない。
耳元の髪の毛をすくように手を添えられて、唇が近づいて来た。目を伏せがちにして受けとめた後、見つめ合った。綺麗な緑色の瞳と、色素薄めのまつ毛が揺れている。
どうして二年間も早瀬の瞳に気付かなかったのか。こんなに近くで触れ合っていたのに。デビュー直前になり知った。自信がなくて人の目を見られない。そんな自分が消えた。
「裕理さん。綺麗な目元だね……」
「ありがとう。君から言われるのは嬉しいよ。俺も黒い瞳が好きだ。理知的で賢い子に見える」
「げえええっ。見えるってなんだよ?」
「言葉どおりだ。動物的な部分とのギャップが堪らない。愛している」
「もう……」
「ウシになってもいい。もっとしてもいいか?」
自分からそう聞きながら、ラグの上に押し倒された。悪戯っぽく笑っているだけで、先に進もうとはしない。
テラス窓からは、朝の光を浴びた庭が見えている。ここに来て植えた木々や草花、新しく置いたベンチが良い景色だ。室内は温かみのあるカラーだ。こんな家に住みたいと思っていた。家族が欲しいと願い、夢が叶った。それを叶えてくれたのは、目の前の人だ。
「裕理さん。大好きだよ」
「”愛している”だろう?そういうところが可愛いよ」
自制心を保つと言った通りに、キスから進まなかった。どうも熱がこもった気がするが。それを消そうと起き上がり、ドライヤーを当てられた。今度は普通の触り方をされて、寂しいようなホッとした気分だ。そして、ドライヤーが終わった。早瀬が今度はキッチンに行った。
「さあ、朝ご飯を食べよう」
「うん」
さあ朝ごはんだ。ダイニングから呼ばれて、グーグー腹を鳴らしながら走って行った。
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