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雪庭の枝
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アンリは異星の血を引くという。七夕の織姫と彦星にあたるベガとアルタイル、その両方の血を宿し、アルタイル星の軍に属している。時々、同胞が空飛ぶ船で訪ねてくる。光をまとった船が夜空を横切るたび、俺は胸を締めつけられる。いつかアンリも、あの船で帰っていくのだと。
離れたくない。好きだと言いたい。けれど、言えない。アンリには故郷に婚約者がいる。任務を終えれば帰還し、式を挙げるのだという。そんな男に想いを告げるなど、できるはずもない。男が男を好きだなどと、この時代に口にできるものか。俺にも縁談の話はあるが、兄が察して遠ざけてくれている。
俺の気持ちを知っているのか、アンリはよく俺をからかう。抱きしめ、何食わぬ顔で添い寝をする。恋人のようでいて、決して一線は越えない。遊ばれている。今も、きっと。彼のために取り寄せた細工の贈り物を見せても、アンリは受け取るだけで、俺ではなく夕日を見ている。
「秀悟。かぐや姫が求婚者に望んだ蓬莱の玉の枝は、こんなものだったのかな」
「そうかもしれないな。見事な細工だ」
「君は本当に分かっていない。だから縁談も来ないんだ」
「俺のせいじゃない」
お前のせいだと言いたかった。アンリは笑い、座布団の上の細工を手に取る。夕日にかざすと、金が柔らかく輝いた。
「姫が欲しかったのは、こんな立派なものじゃない。もっと身近なものだよ」
「例えば?」
「正直さだ。蓬莱の玉の枝なんてないと認めること。見つからないから、連理の枝でどうかと言えばよかった」
「連理の枝?」
「別々に育った二本の木が、途中で一つになったものだよ。中国にはこういう詩がある。在天願作比翼鳥、在地願為連理枝。天では比翼の鳥に、地では連理の枝に。どこにいても、共にあるという誓いだ。贈り物なんて凝らなくていい。そこに落ちている枝でいいんだ」
そう言って庭へ降り、雪の残る地面から一本の枝を拾い上げた。白く霜を帯びた、ただの枝だ。俺は、また一本取られた気がして、ため息をついた。
離れたくない。好きだと言いたい。けれど、言えない。アンリには故郷に婚約者がいる。任務を終えれば帰還し、式を挙げるのだという。そんな男に想いを告げるなど、できるはずもない。男が男を好きだなどと、この時代に口にできるものか。俺にも縁談の話はあるが、兄が察して遠ざけてくれている。
俺の気持ちを知っているのか、アンリはよく俺をからかう。抱きしめ、何食わぬ顔で添い寝をする。恋人のようでいて、決して一線は越えない。遊ばれている。今も、きっと。彼のために取り寄せた細工の贈り物を見せても、アンリは受け取るだけで、俺ではなく夕日を見ている。
「秀悟。かぐや姫が求婚者に望んだ蓬莱の玉の枝は、こんなものだったのかな」
「そうかもしれないな。見事な細工だ」
「君は本当に分かっていない。だから縁談も来ないんだ」
「俺のせいじゃない」
お前のせいだと言いたかった。アンリは笑い、座布団の上の細工を手に取る。夕日にかざすと、金が柔らかく輝いた。
「姫が欲しかったのは、こんな立派なものじゃない。もっと身近なものだよ」
「例えば?」
「正直さだ。蓬莱の玉の枝なんてないと認めること。見つからないから、連理の枝でどうかと言えばよかった」
「連理の枝?」
「別々に育った二本の木が、途中で一つになったものだよ。中国にはこういう詩がある。在天願作比翼鳥、在地願為連理枝。天では比翼の鳥に、地では連理の枝に。どこにいても、共にあるという誓いだ。贈り物なんて凝らなくていい。そこに落ちている枝でいいんだ」
そう言って庭へ降り、雪の残る地面から一本の枝を拾い上げた。白く霜を帯びた、ただの枝だ。俺は、また一本取られた気がして、ため息をついた。
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