夏椿の天使~あの日に出会った旋律

夏目奈緖

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 チャプ……、チャプ……。

 お風呂に入っているところだ。黒崎から誘われて、2人で入っている。さっきまでゆっくり湯船につかっていたのに、今は反対のことをやっている。両手を壁について、ため息をついた。すると、背後から黒崎の唇が近づいてきて、頬にキスをされた。耳元では、彼の熱い息遣いと、囁き声が聞こえている。今、黒崎から体を洗ってもらっている。でも、泡の付いた手が肌の上を滑っていくのに、ちっとも洗っている様子がない。

「んん。ちゃんと洗ってよ」
「洗っているぞ。ここも、ここ……」
「あ……、そこはだめ」
「洗ってやる。もっと足を……」
「あ……、洗ってないじゃん……」

 胸もとを滑っていた手が腰に添えられた。そして強く揺さぶられ始めた。足元のボディーソープの泡で滑りそうなぐらいだ。

「あ……っ、滑る……」
「こうしていよう」
「んん……」
「……綺麗だ。もっと体を見せてくれ」
「もう……、変なところに触るなよ……」
「もっとだ……」

 何度も角度を変えて、吐息ごと奪うようにキスをされた。口の中が熱くて、漏れた溜め息も熱がこもっている。そして、お互いの熱が溶け合った。

「ん、はあっ」
「これからどうする?」
「……ん」
「言わないと、このままだぞ」

 さらに強く抱き寄せられた。首筋とのど元に強く吸い付かれた。そして、仰け反った胸元にも強く吸い付かれた。声を我慢できなくて、濡れたバスルームの壁に背中を預けると、肩へ優しく歯を立てられた。その感覚に背中が震えて身じろぎして、黒崎に笑い声を立てられた。

「ベッドへ行きたい……」
「ベッドで何をする?」

 お互いの視線を絡み合わせた。そして、キスを受け取り、ボディーソープの泡を洗い流した。
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