227 / 348
18-11(夏樹視点)
しおりを挟む
4月21日、日曜日。午前8時。
朝起きると頭痛がして、風邪を引いたのかと思った。これが二日酔いなのかと、だるい体で寝返りを打った。たった2口の白ワインでこんなになるのか。こんなにお酒に弱いとは思っていなかった。両親も伊吹も、お酒には強い方なのに。
「黒崎さん……。これは二日酔い?」
「おそらく。大人しくしないからだ」
「覚えてないんだよ~」
「そこまで飲ませていない」
「コース料理の途中だったよね。黒崎さん、あんまり食べてないじゃん。お腹すいたんじゃない?」
「ルームサービスを取った。お前の分の朝食を運んでもらう」
「今朝はパスする……」
「だめだ。お粥を用意してもらう」
「メニューにあるの?」
「ある。こういうケースはよくある」
「うん……」
頭痛はマシになってきたけれど、体がだるくて動きたくない。昨日届いているはずの、母からのラインを見逃してしまった。今ここで画面を見ると酔いそうだ。
ゆっくりと動いて起き上がった。黒崎から抱きかかえるように支えられて、ベッドに座った。そして、お茶を飲ませてもらった後、ふうっと息を吐いた。少し体が楽になった。
普段は俺が黒崎の世話をする側なのに、今日は反対だ。しかも手際がいい。家事をやればできるだろうと思った。しかし、それを指摘する余裕がない。
「昨夜のことか?お母さんからのラインを読んでやった。返信しろというから、電話で伝えておいた。元気が出たら電話をかけておけ」
「うん。覚えてないんだよ~」
「そうか。昨日は、誕生日プレゼントの3つ目を渡せなかった」
「どんなものー?黒崎さんからの甘い夜?」
「全く違う。今の時間の方が、都合がいいだろう」
黒崎がテーブルの上からスマホを取ってきた。どこかに電話をかけているようで、スピーカーから聞こえてきたのは、遠藤さんの声だった。
「おはようございます。昨日はすみませんでした」
「……気を遣わないでくれ。夏樹君はどうだ?」
「二日酔いになっています。元気づけてやりたいので、本人に伝えてやっていただけませんか?」
「……もろろんだよ」
「本人にかわります。……夏樹、遠藤さんと話をしろ」
「うん……」
遠藤さんが笑っているから、遠慮なく電話に出た。”三日続けて飲めば、二日酔いにならない”。そういう冗談を言われて、笑い声をもらした。そして、今から本題に入ると前置きされて、胸がドキッとした。
「……おめでとう。佐久弥のバンドのメンバーに選ばれたよ。悠人君はギタリストとしての参加だ。もちろん、君はボーカルだ!」
「わあーー。いたたた……」
「5日前に決まったことだが、口止めをされていた。誕生日おめでとう!」
「ありがとう……ございます……」
「ワクワクするような体験だぞ?泣いてどうする?」
「はいっ。黒崎さんに代わります」
「……もしもし。遠藤さん。帰ってから連絡をします。ありがとうございました」
「こちらこそありがとう。じゃあ……」
黒崎が電話を切った後、俺の両目から涙が溢れてきた。こんなにすごい経験をさせてもらえると分かったからだ。黒崎に何度も拭いてもらっているうちに、朝食が運ばれて来た。
朝起きると頭痛がして、風邪を引いたのかと思った。これが二日酔いなのかと、だるい体で寝返りを打った。たった2口の白ワインでこんなになるのか。こんなにお酒に弱いとは思っていなかった。両親も伊吹も、お酒には強い方なのに。
「黒崎さん……。これは二日酔い?」
「おそらく。大人しくしないからだ」
「覚えてないんだよ~」
「そこまで飲ませていない」
「コース料理の途中だったよね。黒崎さん、あんまり食べてないじゃん。お腹すいたんじゃない?」
「ルームサービスを取った。お前の分の朝食を運んでもらう」
「今朝はパスする……」
「だめだ。お粥を用意してもらう」
「メニューにあるの?」
「ある。こういうケースはよくある」
「うん……」
頭痛はマシになってきたけれど、体がだるくて動きたくない。昨日届いているはずの、母からのラインを見逃してしまった。今ここで画面を見ると酔いそうだ。
ゆっくりと動いて起き上がった。黒崎から抱きかかえるように支えられて、ベッドに座った。そして、お茶を飲ませてもらった後、ふうっと息を吐いた。少し体が楽になった。
普段は俺が黒崎の世話をする側なのに、今日は反対だ。しかも手際がいい。家事をやればできるだろうと思った。しかし、それを指摘する余裕がない。
「昨夜のことか?お母さんからのラインを読んでやった。返信しろというから、電話で伝えておいた。元気が出たら電話をかけておけ」
「うん。覚えてないんだよ~」
「そうか。昨日は、誕生日プレゼントの3つ目を渡せなかった」
「どんなものー?黒崎さんからの甘い夜?」
「全く違う。今の時間の方が、都合がいいだろう」
黒崎がテーブルの上からスマホを取ってきた。どこかに電話をかけているようで、スピーカーから聞こえてきたのは、遠藤さんの声だった。
「おはようございます。昨日はすみませんでした」
「……気を遣わないでくれ。夏樹君はどうだ?」
「二日酔いになっています。元気づけてやりたいので、本人に伝えてやっていただけませんか?」
「……もろろんだよ」
「本人にかわります。……夏樹、遠藤さんと話をしろ」
「うん……」
遠藤さんが笑っているから、遠慮なく電話に出た。”三日続けて飲めば、二日酔いにならない”。そういう冗談を言われて、笑い声をもらした。そして、今から本題に入ると前置きされて、胸がドキッとした。
「……おめでとう。佐久弥のバンドのメンバーに選ばれたよ。悠人君はギタリストとしての参加だ。もちろん、君はボーカルだ!」
「わあーー。いたたた……」
「5日前に決まったことだが、口止めをされていた。誕生日おめでとう!」
「ありがとう……ございます……」
「ワクワクするような体験だぞ?泣いてどうする?」
「はいっ。黒崎さんに代わります」
「……もしもし。遠藤さん。帰ってから連絡をします。ありがとうございました」
「こちらこそありがとう。じゃあ……」
黒崎が電話を切った後、俺の両目から涙が溢れてきた。こんなにすごい経験をさせてもらえると分かったからだ。黒崎に何度も拭いてもらっているうちに、朝食が運ばれて来た。
0
あなたにおすすめの小説
孤毒の解毒薬
紫月ゆえ
BL
友人なし、家族仲悪、自分の居場所に疑問を感じてる大学生が、同大学に在籍する真逆の陽キャ学生に出会い、彼の止まっていた時が動き始める―。
中学時代の出来事から人に心を閉ざしてしまい、常に一線をひくようになってしまった西条雪。そんな彼に話しかけてきたのは、いつも周りに人がいる人気者のような、いわゆる陽キャだ。雪とは一生交わることのない人だと思っていたが、彼はどこか違うような…。
不思議にももっと話してみたいと、あわよくば友達になってみたいと思うようになるのだが―。
【登場人物】
西条雪:ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。
白銀奏斗:勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない
タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。
対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──
不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
完結しました。
たまに番外編更新予定です。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
旦那様と僕
三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。
縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。
本編完結済。
『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる