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ちょうどタイミングがいい。10分間の休憩に入ったから、休憩する場所に行った。黒崎も来てくれた。高さのあるパーテーションに遮られて、俺達の姿が周りから見えなくなった。
黒崎から、肩に両手が置かれて見つめられた。よく似合っているとか、可愛いとかいう褒め言葉を待っているのに、何も言ってくれない。
「どうしたんだよ?」
「ここまで仕上がるのか。男にしか見えないのに違和感がない」
「撮影だから濃いめのメイクなんだよ。俺だって分かる?」
「もちろん分かる。……綺麗だ」
「ええーー?」
「……誰にも見せたくない」
「ヒョーーーーッ」
感激のあまり、思い切り声を上げてしまった。さらにバシバシと黒崎の体を叩いたことで、佐久弥とスタイリストが飛んできた。何か起きたのだと思ったらしい。俺たちがイチャついていることが分かると、阿保らしいと言いながらカメラの前に戻って行った。
今回のスタイリストさんがメイクも担当した。俺達の衣装を提案した人でもある。佐久弥と親しそうだと思っていたら、プライベートで友達付き合いをしているそうだ。中華料理を食べに行き、お酒を飲む店へ移動するのが定番コースだという。
食事に行った店でファンに会った時、佐久弥は自然体で振る舞っているそうだ。俺と理久がいたシャルロットキッチンでもそうだった。自由になれて良かったと言っている。しかし、ディアドロップのイメージで好きになってもらった人には感謝していると話していた。
もうあのイメージが無くなるのは寂しいという声が、IKUに寄せられているそうだ。そして、佐久弥がソロ活動で自然体に振る舞うことを嫌うファンもいたらしい。長谷部さんからそう教えてもらった。ディアドロップのライブをしたとき、ブーイングをやった観客もいたそうだ。その時の会話を思い出した。
(……ブーイングはごく一部よ。これが波及して、ライブで観客同士が喧嘩になることがあるの。別のレコード会社のバンドのケースだけど、3人グループのファンの一人が、ライブでブーイングをやりすぎてね……。その帰りに、他の観客グループから取り囲まれたのよ。10人ぐらいに。主催者側は、会場ホールから出た後のことは関知しないの。問題が起きて週刊誌に載ったら、残念なことですってコメントを出すぐらい。怖いでしょう?)
(……駄目だよって、ブーイングした人に注意したんだね。でも、続けたからなんだね)
(……ええ。佐伯さんはディアドロップのイメージが好きだった人も大事にしたいっていう考え方なの。今回集まったのは、それに賛同するスタッフばかりよ。優しい人ばかりよ)
佐久弥の方を見ると、悠人の髪の毛をイジって遊んでいる。その様子を仙頭さんがカメラに収めている。プロモーションビデオ撮影のメイキング動画として使うそうだ。俺が見ていたライブDVDやミュージックビデオは、こんな風準備して撮っていたのかと勉強になった。するとその時だ。佐久弥から声を掛けられた。
「夏樹。疲れが出たのか?着替えに入るそうだ」
「はい!」
「気を遣うな。メンバー同士だぞ?長谷部さんから聞いたぞー?怖い話で脅されたのか?はいはい……。お願いしまーす」
「はい!夏樹君。これを脱ぎましょうね」
赤い着物を脱いだ後、佐久弥から頭を撫でられた。気を遣うなと。優しい兄貴だと実感した。黒崎と佐久弥が世間話をしている光景を見ていると、2人の気が合っているのが分かった。お酒を飲みに行きたいと話している。
「……いつでも構いません。飲みに行きましょう」
「はい。行きましょう。さあー、次の衣装に変えるぞー。ゆうとー!ジュースを飲むのをやめて、こっちに来てくれ」
「はーーい。裕理さん!取り上げないでよーー!」
早瀨さんが悠人からジュースを奪い取った。まだ一口しか飲んでいないそうだ。どっと笑いが起こった。この光景も仙頭さんがカメラに収めた。黒崎や悠人たちが笑っている。だから大丈夫だ。何も怖くないと思った。
黒崎から、肩に両手が置かれて見つめられた。よく似合っているとか、可愛いとかいう褒め言葉を待っているのに、何も言ってくれない。
「どうしたんだよ?」
「ここまで仕上がるのか。男にしか見えないのに違和感がない」
「撮影だから濃いめのメイクなんだよ。俺だって分かる?」
「もちろん分かる。……綺麗だ」
「ええーー?」
「……誰にも見せたくない」
「ヒョーーーーッ」
感激のあまり、思い切り声を上げてしまった。さらにバシバシと黒崎の体を叩いたことで、佐久弥とスタイリストが飛んできた。何か起きたのだと思ったらしい。俺たちがイチャついていることが分かると、阿保らしいと言いながらカメラの前に戻って行った。
今回のスタイリストさんがメイクも担当した。俺達の衣装を提案した人でもある。佐久弥と親しそうだと思っていたら、プライベートで友達付き合いをしているそうだ。中華料理を食べに行き、お酒を飲む店へ移動するのが定番コースだという。
食事に行った店でファンに会った時、佐久弥は自然体で振る舞っているそうだ。俺と理久がいたシャルロットキッチンでもそうだった。自由になれて良かったと言っている。しかし、ディアドロップのイメージで好きになってもらった人には感謝していると話していた。
もうあのイメージが無くなるのは寂しいという声が、IKUに寄せられているそうだ。そして、佐久弥がソロ活動で自然体に振る舞うことを嫌うファンもいたらしい。長谷部さんからそう教えてもらった。ディアドロップのライブをしたとき、ブーイングをやった観客もいたそうだ。その時の会話を思い出した。
(……ブーイングはごく一部よ。これが波及して、ライブで観客同士が喧嘩になることがあるの。別のレコード会社のバンドのケースだけど、3人グループのファンの一人が、ライブでブーイングをやりすぎてね……。その帰りに、他の観客グループから取り囲まれたのよ。10人ぐらいに。主催者側は、会場ホールから出た後のことは関知しないの。問題が起きて週刊誌に載ったら、残念なことですってコメントを出すぐらい。怖いでしょう?)
(……駄目だよって、ブーイングした人に注意したんだね。でも、続けたからなんだね)
(……ええ。佐伯さんはディアドロップのイメージが好きだった人も大事にしたいっていう考え方なの。今回集まったのは、それに賛同するスタッフばかりよ。優しい人ばかりよ)
佐久弥の方を見ると、悠人の髪の毛をイジって遊んでいる。その様子を仙頭さんがカメラに収めている。プロモーションビデオ撮影のメイキング動画として使うそうだ。俺が見ていたライブDVDやミュージックビデオは、こんな風準備して撮っていたのかと勉強になった。するとその時だ。佐久弥から声を掛けられた。
「夏樹。疲れが出たのか?着替えに入るそうだ」
「はい!」
「気を遣うな。メンバー同士だぞ?長谷部さんから聞いたぞー?怖い話で脅されたのか?はいはい……。お願いしまーす」
「はい!夏樹君。これを脱ぎましょうね」
赤い着物を脱いだ後、佐久弥から頭を撫でられた。気を遣うなと。優しい兄貴だと実感した。黒崎と佐久弥が世間話をしている光景を見ていると、2人の気が合っているのが分かった。お酒を飲みに行きたいと話している。
「……いつでも構いません。飲みに行きましょう」
「はい。行きましょう。さあー、次の衣装に変えるぞー。ゆうとー!ジュースを飲むのをやめて、こっちに来てくれ」
「はーーい。裕理さん!取り上げないでよーー!」
早瀨さんが悠人からジュースを奪い取った。まだ一口しか飲んでいないそうだ。どっと笑いが起こった。この光景も仙頭さんがカメラに収めた。黒崎や悠人たちが笑っている。だから大丈夫だ。何も怖くないと思った。
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