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そのグループの向こうから、奥村らしき声が響いてきた。どうやら取り囲まれているらしい。さらに周りのざわめきが大きくなったから様子を窺った。奥村を取り囲んでいるのは剣道部だと思う。国府さんが他の男の子に指示を出しているのが見えた。
悠人が黒崎に何が起きているのかを説明した。すると、画面の向こうの黒崎が笑い声を立てていた。悠人に画面を傾けてくれと頼み始めた。どんな風になっているのか見たいそうだ。俺も彼らの方を見ると、奥村が取り囲んでいるメンバー達に文句を言っていた。
「お前らなんだよー!?」
「奥村さん、来てください」
「な、な、なんでだよ!?」
「奥村、いいから来い!」
剣道部の2人が左右に挟んで奥村のことを連れて行こうとしている。そのうちの1人は理学系の授業で一緒になっている子だ。礼儀正しくて、サッパリした性格の子だ。こういう騒ぎの時でも落ち着いているようだ。そして、ピンと伸びた姿勢をして声を張り上げた。
「お騒がせしましたーー!剣道部の勧誘でーーす!」
その言葉で学食内に平穏が戻った。強引な勧誘は、この学内ではお馴染みだからだ。剣道部は伝統のある部で、今までに問題を起こしたことがない。OBや厳しい師範が関わっているからだ。
しかし、俺としては今の状況は平穏でいられない。伊吹が関わっていることには違いない。伊吹は在学中に剣道部に在籍していた。暴力的なことは心配していない。これで解決したと思った。悠人が顔を引きつらせている。
「ひいいいいっ。ひどい勧誘だーーっ」
「お兄ちゃんなりのマイルドな方法なんだねえ」
「あれって伊吹さんのやつ?」
「間違いないよ。お兄ちゃんは剣道部だったんだ。あんなやり方をするなら、奥村さんは、よっぽどヤバイ人なんだよ……」
「ひいいいいっ」
「助かったねえ……」
奥村が2人に担ぎ上げられて出て行った。この騒ぎの様子は黒崎にも見えている。黒崎が満足そうに笑ったことで、背中に冷たい汗が流れた。
「剣道部の人だったよ。連れて行ったのは」
「……さすがだ。素早い行動だ」
「俺も絡んでいるにしては冷静だね?いつもなら怖い顔をするじゃん」
「……気づいていたからだ。裕理もだ」
「ええ?」
「ひいいいいっ」
「しばらく様子を見ていた。噂になる程度まで引き延ばす必要があった。お前たちの居心地が悪くなるだろう。そろそろ伊吹君に依頼するタイミングだった」
「黒崎さん。知っていたなら教えてよ~」
「……自分達で解決しようとするだろう?そうはさせない。大事な時期だ。そろそろ昼食に入る。裕理には連絡しておく。悠人君からもさせるように。迎えが来る前にラインを入れてこい。いいな?」
「りょーかい」
「口元にソースがついているぞ?」
「あ……。取れた?」
「ああ、取れたとも。……行ってくる」
「うん!」
通話が終わる間際に、意味深な笑みを浮かべていた気がする。イヤらしいことを考えていたのだろうと思って、頭が痛くなった。
すると、悠人が早瀬さんに連絡を取り始めた。笑顔になったから良かった。”伊吹君は怖い人じゃないから安心しなさい”と言われていた。悠人は早瀬さんからの言葉を否定することなく、きちんと食事を済ませて学食を出た。
悠人が黒崎に何が起きているのかを説明した。すると、画面の向こうの黒崎が笑い声を立てていた。悠人に画面を傾けてくれと頼み始めた。どんな風になっているのか見たいそうだ。俺も彼らの方を見ると、奥村が取り囲んでいるメンバー達に文句を言っていた。
「お前らなんだよー!?」
「奥村さん、来てください」
「な、な、なんでだよ!?」
「奥村、いいから来い!」
剣道部の2人が左右に挟んで奥村のことを連れて行こうとしている。そのうちの1人は理学系の授業で一緒になっている子だ。礼儀正しくて、サッパリした性格の子だ。こういう騒ぎの時でも落ち着いているようだ。そして、ピンと伸びた姿勢をして声を張り上げた。
「お騒がせしましたーー!剣道部の勧誘でーーす!」
その言葉で学食内に平穏が戻った。強引な勧誘は、この学内ではお馴染みだからだ。剣道部は伝統のある部で、今までに問題を起こしたことがない。OBや厳しい師範が関わっているからだ。
しかし、俺としては今の状況は平穏でいられない。伊吹が関わっていることには違いない。伊吹は在学中に剣道部に在籍していた。暴力的なことは心配していない。これで解決したと思った。悠人が顔を引きつらせている。
「ひいいいいっ。ひどい勧誘だーーっ」
「お兄ちゃんなりのマイルドな方法なんだねえ」
「あれって伊吹さんのやつ?」
「間違いないよ。お兄ちゃんは剣道部だったんだ。あんなやり方をするなら、奥村さんは、よっぽどヤバイ人なんだよ……」
「ひいいいいっ」
「助かったねえ……」
奥村が2人に担ぎ上げられて出て行った。この騒ぎの様子は黒崎にも見えている。黒崎が満足そうに笑ったことで、背中に冷たい汗が流れた。
「剣道部の人だったよ。連れて行ったのは」
「……さすがだ。素早い行動だ」
「俺も絡んでいるにしては冷静だね?いつもなら怖い顔をするじゃん」
「……気づいていたからだ。裕理もだ」
「ええ?」
「ひいいいいっ」
「しばらく様子を見ていた。噂になる程度まで引き延ばす必要があった。お前たちの居心地が悪くなるだろう。そろそろ伊吹君に依頼するタイミングだった」
「黒崎さん。知っていたなら教えてよ~」
「……自分達で解決しようとするだろう?そうはさせない。大事な時期だ。そろそろ昼食に入る。裕理には連絡しておく。悠人君からもさせるように。迎えが来る前にラインを入れてこい。いいな?」
「りょーかい」
「口元にソースがついているぞ?」
「あ……。取れた?」
「ああ、取れたとも。……行ってくる」
「うん!」
通話が終わる間際に、意味深な笑みを浮かべていた気がする。イヤらしいことを考えていたのだろうと思って、頭が痛くなった。
すると、悠人が早瀬さんに連絡を取り始めた。笑顔になったから良かった。”伊吹君は怖い人じゃないから安心しなさい”と言われていた。悠人は早瀬さんからの言葉を否定することなく、きちんと食事を済ませて学食を出た。
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