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25-1 黒崎家にて
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7月6日、土曜日。午前10時。
今日は悠人と早瀬さん、佐久弥と理久が我が家で集まる。佐久弥からプロモーションビデオ撮影のことでレクチャーを受けるためだ。今は撮影に入っていて、分からなかった部分を習う。もうすぐでみんなが到着する。
それまでの間、庭でストレッチを続けた。ナツツバキの木の幹に両手を添えて、ぐーっと全身を伸ばした。額から流れてきた汗を、黒崎がタオルで汗をふいてくれた。季節は夏真っ盛りだ。涼しい庭でも、さすがに気温が高くなっている。
「うーーん……」
「もうすぐだ。8、7、6、5、4……」
「3、2、1、ぜろーー。ふーー」
さっきまでウォーキングをやっていい運動になって、体が芯から温まった。黒崎にとっては早足ではなくて、汗すらかいていない。今度は大空に向かって両手を伸ばし、胸を開くようなイメージで見上げた。
「んんーー、あーー。ふう……」
発声練習もひと通り終わってアイス珈琲を飲んでいると、着信音が鳴った。佐久弥からだ。電話に出ると、近くまで来ているということだった。どっちの門からから入ればいいか?と聞かれて、すぐに行くから待っていてと答えた。
「タクシーから降りたってさ。行ってくるよ」
「先に俺が迎えに行く。後から来い」
「りょーかい。お願いします。あれー、アン?俺のことを置いて行くのかよー?」
アンが黒崎の後を追いかけていった。今朝は俺がアンに好物のサツマイモを食べさせて喜んでいたのに。俺が元気だと分かっているからだろう。ちらっとこっちを振り返って、パタパタと尻尾を振られた。ちゃんと見ているよという意味だろう。
シャリ……、シャリ……。
庭のあたりの砂利を踏む音が聞こえてきた。タクシーが走っていくのが見えた後、3人と1匹の姿を発見した。佐久弥と理久が、黒崎と話しながら歩いてきた。ここから遠目から見ると、佐伯兄弟はよく似ていると思う。10センチぐらい背の高さが違うが、雰囲気がそっくりだ。まるで俺と伊吹のようだ。
「いらっしゃーい」
「おおー、なつきーー、おはようーー」
「夏樹君、おはよーー」
ギターケースは佐久弥の荷物だ。理久が持っている黒っぽい段ボール箱は何だろう?それは、理久が作っている、”一人分の甘酒製造機”の試作品だった。今日は甘酒を作ってくれるそうだ。
「黒崎常務。この段ボールに試作品が入っています。こっちのボストンバックに材料があります」
「ありがとう、楽しみだ」
「興味を持って下さるから、やりがいがあります。もっと改善していいものを……」
「ワタベ電機との提携があるが、こういう形で導入すると……」
「面白いやつなら、俺が開発しますよ!」
理久が段ボールを持ち上げて、ボストンバッグを肩にかけた。すると、さすがに重いだろうと、黒崎が段ボールを受け取った。楽しそうに歩いて行く2人を見て笑えてきた。佐久弥も同じで、ゲラゲラと笑っている。
「俺が機械モノに興味ないからだ。黒崎さんに思う存分語れるだろう」
「話し出すとまらなくなる感じかなあ?」
「一緒に来ても退屈だぞって言ったら、試作品を見てもらいたいって、ごめんなー」
「ううん。いいんだよ~。積極的でいいじゃん。バイタリティーがすごいよ」
ワイワイ話しながら家の中に入ろうとしたときに、早瀬さんと悠人が到着した。悠人の右腕にはサポーターがつけられて、その手首には包帯が巻かれている。
今日は悠人と早瀬さん、佐久弥と理久が我が家で集まる。佐久弥からプロモーションビデオ撮影のことでレクチャーを受けるためだ。今は撮影に入っていて、分からなかった部分を習う。もうすぐでみんなが到着する。
それまでの間、庭でストレッチを続けた。ナツツバキの木の幹に両手を添えて、ぐーっと全身を伸ばした。額から流れてきた汗を、黒崎がタオルで汗をふいてくれた。季節は夏真っ盛りだ。涼しい庭でも、さすがに気温が高くなっている。
「うーーん……」
「もうすぐだ。8、7、6、5、4……」
「3、2、1、ぜろーー。ふーー」
さっきまでウォーキングをやっていい運動になって、体が芯から温まった。黒崎にとっては早足ではなくて、汗すらかいていない。今度は大空に向かって両手を伸ばし、胸を開くようなイメージで見上げた。
「んんーー、あーー。ふう……」
発声練習もひと通り終わってアイス珈琲を飲んでいると、着信音が鳴った。佐久弥からだ。電話に出ると、近くまで来ているということだった。どっちの門からから入ればいいか?と聞かれて、すぐに行くから待っていてと答えた。
「タクシーから降りたってさ。行ってくるよ」
「先に俺が迎えに行く。後から来い」
「りょーかい。お願いします。あれー、アン?俺のことを置いて行くのかよー?」
アンが黒崎の後を追いかけていった。今朝は俺がアンに好物のサツマイモを食べさせて喜んでいたのに。俺が元気だと分かっているからだろう。ちらっとこっちを振り返って、パタパタと尻尾を振られた。ちゃんと見ているよという意味だろう。
シャリ……、シャリ……。
庭のあたりの砂利を踏む音が聞こえてきた。タクシーが走っていくのが見えた後、3人と1匹の姿を発見した。佐久弥と理久が、黒崎と話しながら歩いてきた。ここから遠目から見ると、佐伯兄弟はよく似ていると思う。10センチぐらい背の高さが違うが、雰囲気がそっくりだ。まるで俺と伊吹のようだ。
「いらっしゃーい」
「おおー、なつきーー、おはようーー」
「夏樹君、おはよーー」
ギターケースは佐久弥の荷物だ。理久が持っている黒っぽい段ボール箱は何だろう?それは、理久が作っている、”一人分の甘酒製造機”の試作品だった。今日は甘酒を作ってくれるそうだ。
「黒崎常務。この段ボールに試作品が入っています。こっちのボストンバックに材料があります」
「ありがとう、楽しみだ」
「興味を持って下さるから、やりがいがあります。もっと改善していいものを……」
「ワタベ電機との提携があるが、こういう形で導入すると……」
「面白いやつなら、俺が開発しますよ!」
理久が段ボールを持ち上げて、ボストンバッグを肩にかけた。すると、さすがに重いだろうと、黒崎が段ボールを受け取った。楽しそうに歩いて行く2人を見て笑えてきた。佐久弥も同じで、ゲラゲラと笑っている。
「俺が機械モノに興味ないからだ。黒崎さんに思う存分語れるだろう」
「話し出すとまらなくなる感じかなあ?」
「一緒に来ても退屈だぞって言ったら、試作品を見てもらいたいって、ごめんなー」
「ううん。いいんだよ~。積極的でいいじゃん。バイタリティーがすごいよ」
ワイワイ話しながら家の中に入ろうとしたときに、早瀬さんと悠人が到着した。悠人の右腕にはサポーターがつけられて、その手首には包帯が巻かれている。
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