夏椿の天使~あの日に出会った旋律

夏目奈緖

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 12時半。

 空港ターミナルビルのラウンジで飛行機を眺めている。さっきまで土産を選んでいた。ほとんどが菓子類だ。近所に配るものは、この空港でしか買えない限定のものにした。

 手荷物を預けて身軽になった。夏樹のことを思い浮かべている。こんな気分の時は、あの子の顔が見たい。せめて電話をかけよう。昼食の時間だろうか。発信すると即座につながった。待っていてくれたのか。

「……もしもし?飛行に乗ってる時間だよね?なにかあった?」
「予定変更だ。14:30の便でここを発つ。二葉と倉口さんを二人にさせた。ここで待っている」
「……二葉ちゃんは、ちゃんと空港に来るからね。俺も家で待っているよ」
「予定があるだろう?」
「……明日に変えてもらったんだ。佐久弥も都合が悪くてちょうどよかった。マジでそうだからね」
「噓が下手だぞ」
「……嘘じゃないよ。そっちにクリスピードーナツが売っているんだ。買ってきてよ~」
「もう買ってある。マカロンも予約ずみだ。帰りに二葉を家に寄らせたい。かまわないか?」
「……もちろん。サンドイッチを作っておくよ」
「すまない。親父に伝えてくれるか?」
「……りょーかい!少し休んだら?」
「ああ。ラウンジでゆっくりする」
「……ふふん。おやすみって言っておこうか?」
「おやすみ……」

 多忙で疲れていることを知られていたようだ。仕掛け絵本10冊では足りない。夏樹には、デビュー祝いを考えるとしよう。
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