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山本月夢。もうすぐで高校を卒業してから1年が経つとのことだ。3月生まれだから、まだ18歳である。16歳の時に、IKUの歌唱コンテストに初エントリーしてデビューを勝ち取った人物である。作詞作曲もするアーティストであるという。
すらっとした背の高いスタイルと、かっこいい系の顔立ち。てっきり将来への希望と自信に満ちあふれているかと思えばそんなタイプでは無く、ネガティブなのだという。なにせそそっかしくて、歌うことしか得意なことが無く、お母さんからの勧めで歌唱コンテストにエントリーしたのだそうだ。
家族構成は、両親と2人の兄との3人兄弟だということだ。しかも、この5人家族のうち、月夢以外の家族はみんな4月生まれなのだという。そういうわけもあって、みんな小さい頃は保育園や幼稚園の組では3月生まれの子に比べると背が高かったり、出来ることが多かったりして、お兄さん、お姉さん的なポジションを取ることが多かったそうだ。
それは大人になっていく過程の人格形成で重要なことだったはずだと、月夢は言っているそうだ。なにせ自分は3月生まれの子であり、保育園の組では一番背が低くて、何でも手伝って貰わないとできない子だったそうで、しかも、家に帰ると一番下の子だから、自分よりも何でもできる兄貴2人を見て育ち、どうせ俺なんてというネガティブな性格が植え付いてしまったのだそうだ。
しかし、俺は大学の授業で教授がこんなことを言っていたのを覚えている。それは小学校入学までの話なのだと。小学校に上がればみんな同じ。そういう感じなのだそうだ。そこで、俺は当時、4月生まれの夏樹に話を聞いてみると、たしかにそんな記憶があったような気がしたそうだ。
しかし、夏樹こそ、家に帰れば何でもできる伊吹さんという4歳年上の兄貴がいたし、何でも出来る1歳年下の妹の万理ちゃんがいたから、4月生まれだからと言って、何でもできるという記憶ではなかったと言っていた。保育園に行けば自分よりも大きい子もいれば小さい子も居るわけで、出来ることも出来ないことも混ざっている中、4月生まれだからリーダーシップを取ったという記憶が無いという。しかし、同じ組の中では3月生まれの子よりも背が高かったかも知れないから、お兄さんの気分だった事はあるかも知れないと言っていた。
月夢にとっては重要なことらしい。3月の、しかも、3月30日生まれということで、4月生まれの子とは1歳ぐらいの年の差があったから、色々とコンプレックスを覚えたのだと言っている。家に帰れば帰ればで末っ子であり、月夢偉いわ!あなたがいて良かった!なんていう言葉は、パパやお兄ちゃんに向けられた言葉なのだという。
俺達が彼のそばに行くと、パイプ椅子に座り、カタカタと小さく震えていた。子供の頃の失敗体験などを思い出しているのだろうか。そんな事が思い浮かび、胸が痛くなった。
「もしもーーし。月夢。どうしたのかな?」
「あ……。悠人さん!俺、どうしよう?って思っているんです……。あの……
、羽音さんから薔薇の花が渡される瞬間に横やりを入れるタイミングのことなんですけど、俺、上手く出来るか心配なんです……」
「ふむふむ。君にとっては大きな出来事だからなーーー。そのうち、あの羽音さんが薔薇を渡そうとしたからっていっても、何も思わなくなるよ。由良プロデューサーが求めているのは、君の露出なんだ。ヤラセって言うのも引っかかっているのかな?」
「いえ。それはありません……。ありがたいことだと受け止めています……」
「そうなのかーー。大人だなあ。てっきり、正直にならないといけないって言い出すかと思ったよ。君が輝く瞬間なんだから、大きく羽ばたいていこうよ!」
バシ!そう言って、俺は月夢の肩を叩いた。偉そうだろうか。そんなことを考えていると、月夢がハイと言って、顔を上げた。なかなかいい男である。もっと自信を持っても良いだろう。女性受けも男性受けもすると羽音さんが言っていたとおりだと思った。
「月夢。君は羽音さんによると、かくかくしかじかだということだよ。だから、自信を持とう。歌だって、良いと思うよ。まだ君の楽曲を聴いていないんだ。大橋さんっていう人が作詞作曲した曲しか出していないだろ。だから、そういう面でも自信が持てないんだと思うんだ。羽音さんから聞いたよ。自分の曲に自信が無くて、まだ出せないんだって……」
よしよし。今度は月夢の頭を撫でてやった。肩までの髪の毛がさらさらと気持ちが良い。金髪スタイルである。この日のために美容院に行って来たようで、髪の根元が黒くないように、そこも金髪になっている。事務所としては、このオーディションに力を入れているという気持ちの現れだろう。
すらっとした背の高いスタイルと、かっこいい系の顔立ち。てっきり将来への希望と自信に満ちあふれているかと思えばそんなタイプでは無く、ネガティブなのだという。なにせそそっかしくて、歌うことしか得意なことが無く、お母さんからの勧めで歌唱コンテストにエントリーしたのだそうだ。
家族構成は、両親と2人の兄との3人兄弟だということだ。しかも、この5人家族のうち、月夢以外の家族はみんな4月生まれなのだという。そういうわけもあって、みんな小さい頃は保育園や幼稚園の組では3月生まれの子に比べると背が高かったり、出来ることが多かったりして、お兄さん、お姉さん的なポジションを取ることが多かったそうだ。
それは大人になっていく過程の人格形成で重要なことだったはずだと、月夢は言っているそうだ。なにせ自分は3月生まれの子であり、保育園の組では一番背が低くて、何でも手伝って貰わないとできない子だったそうで、しかも、家に帰ると一番下の子だから、自分よりも何でもできる兄貴2人を見て育ち、どうせ俺なんてというネガティブな性格が植え付いてしまったのだそうだ。
しかし、俺は大学の授業で教授がこんなことを言っていたのを覚えている。それは小学校入学までの話なのだと。小学校に上がればみんな同じ。そういう感じなのだそうだ。そこで、俺は当時、4月生まれの夏樹に話を聞いてみると、たしかにそんな記憶があったような気がしたそうだ。
しかし、夏樹こそ、家に帰れば何でもできる伊吹さんという4歳年上の兄貴がいたし、何でも出来る1歳年下の妹の万理ちゃんがいたから、4月生まれだからと言って、何でもできるという記憶ではなかったと言っていた。保育園に行けば自分よりも大きい子もいれば小さい子も居るわけで、出来ることも出来ないことも混ざっている中、4月生まれだからリーダーシップを取ったという記憶が無いという。しかし、同じ組の中では3月生まれの子よりも背が高かったかも知れないから、お兄さんの気分だった事はあるかも知れないと言っていた。
月夢にとっては重要なことらしい。3月の、しかも、3月30日生まれということで、4月生まれの子とは1歳ぐらいの年の差があったから、色々とコンプレックスを覚えたのだと言っている。家に帰れば帰ればで末っ子であり、月夢偉いわ!あなたがいて良かった!なんていう言葉は、パパやお兄ちゃんに向けられた言葉なのだという。
俺達が彼のそばに行くと、パイプ椅子に座り、カタカタと小さく震えていた。子供の頃の失敗体験などを思い出しているのだろうか。そんな事が思い浮かび、胸が痛くなった。
「もしもーーし。月夢。どうしたのかな?」
「あ……。悠人さん!俺、どうしよう?って思っているんです……。あの……
、羽音さんから薔薇の花が渡される瞬間に横やりを入れるタイミングのことなんですけど、俺、上手く出来るか心配なんです……」
「ふむふむ。君にとっては大きな出来事だからなーーー。そのうち、あの羽音さんが薔薇を渡そうとしたからっていっても、何も思わなくなるよ。由良プロデューサーが求めているのは、君の露出なんだ。ヤラセって言うのも引っかかっているのかな?」
「いえ。それはありません……。ありがたいことだと受け止めています……」
「そうなのかーー。大人だなあ。てっきり、正直にならないといけないって言い出すかと思ったよ。君が輝く瞬間なんだから、大きく羽ばたいていこうよ!」
バシ!そう言って、俺は月夢の肩を叩いた。偉そうだろうか。そんなことを考えていると、月夢がハイと言って、顔を上げた。なかなかいい男である。もっと自信を持っても良いだろう。女性受けも男性受けもすると羽音さんが言っていたとおりだと思った。
「月夢。君は羽音さんによると、かくかくしかじかだということだよ。だから、自信を持とう。歌だって、良いと思うよ。まだ君の楽曲を聴いていないんだ。大橋さんっていう人が作詞作曲した曲しか出していないだろ。だから、そういう面でも自信が持てないんだと思うんだ。羽音さんから聞いたよ。自分の曲に自信が無くて、まだ出せないんだって……」
よしよし。今度は月夢の頭を撫でてやった。肩までの髪の毛がさらさらと気持ちが良い。金髪スタイルである。この日のために美容院に行って来たようで、髪の根元が黒くないように、そこも金髪になっている。事務所としては、このオーディションに力を入れているという気持ちの現れだろう。
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