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26-1 佐伯家でのお泊まり
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5月3日、金曜日。13時。
今日は佐伯家で泊まる日だ。ギタリスト祭典というイベントに出席するためにギターの練習に励んでいる俺に、久弥の方から泊まりに来いと、叱咤激励を受けた。この家から歩いて数分の場所にある家だから、遠出する感覚は無い。しかし、早瀬にとっては遠征のような感覚があるらしく、大きなバッグに俺のお泊まりグッズを詰め込んで用意してくれた。
「悠人君。クルクルステッキは三種類入れてあるから、最適な物を選んで使うんだぞ」
「うん。汗を掻いたときのための替えのTシャツ、パジャマ、明日の着替え。歩いて5分の距離なのに、こんなに要らないよーー。こっちに着替えに帰ってきたら良いだろーー」
「それじゃつまらないだろう。お泊まりなんだから。俺は明日の朝まで君に会えない。しっかりと、この家で留守番している。ギタリスト祭典の準備も頑張って来いよ」
「うん」
今日はこれから佐伯家に行き、ゴールデンウィーク中の家族の中に混ざって過ごす。久弥の両親と理久が在宅しているそうだ。フェレットの太郎もいる。久弥がよくこの家に泊まりに来るが、こっちから向こうに行くことがなくて、今まで泊まったことがなかった。久弥の部屋の隣にはギターを弾ける部屋があり、そこで練習をみっちり積む予定だ。
「裕理さんも来たら良いのに……。客間があるんだからさ。そこで一緒に寝ようよ」
「それはやめておく。違う環境に興奮して、君のことを襲いかねない。恥ずかしいことになるといけないだろう」
「あああ……」
たしかに早瀬の言うとおりだ。この人は変なことで欲情する。久弥にからかわれたくないし、みっともないことにもなりたくない。しかし、寂しいものは寂しいから、早瀬にすがりついた。
「裕理さん。ぎゅーーーー」
「悠人君。ぎゅーーーーー」
「俺がいない間に浮気しないでね!」
「しないよ。浮気候補者は君の泊まりに行く先にいる」
「久弥のこと?」
「あああ……。つい口が滑った……」
「げええええっ」
どうしよう?早瀬が本音を暴露した。過去の恋だとあれほど言っていた早瀬なのに、簡単に口を滑らせている。油断のならない人である。しかし、久弥には蔵之介さんというディスティニーな恋人がいるから安心している。ディスティニー・ハニーという久弥の楽曲でも出てくるほどである。
「ふんふんふん。ジャジャジャーーーー、ガガガガーー。ディスティニー、ハニーーー!俺の運命が開いてーーーーー、ガガガガーー」
「ははは。上手だな。さすがは夏樹君とのツインボーカルを務めている君だ。スイートスイーツウィスパーボイスに君のハスキーな歌い声。とろける食感のようなハーモニー。チョコレートケーキのような、ガトーショコラのような甘さ。カカオポリフェノールの健康効果。TDDはあなたの心の健康にもお役に立ちます」
「へへへ……」
どうしよう?早瀬の語り口はコマーシャルのキャッチフレーズのようだ。コマーシャルと言えば、キシヤマ味噌である。俺の出演するCMの第二弾が決まり、再来月から打ち合わせに入る。冬の限定商品であるカボチャのフリーズドライ味噌汁の宣伝である。俺はカボチャ好きだと公表してあるから、ちょうどいいということで、CMに使われることになった。
それには早瀬が喜び、早瀬家の方からキシヤマ味噌にお菓子の詰め合わせが贈られた。千尋製菓で行われている開発途中のサンプル菓子である。いつか、味噌の健康効果をタイアップさせて商品を出したいと、孝則パパが話していた。
「裕理さん。月島さんが社長になって、まず最初にしてくれた仕事が、CMの第二弾の決定だったんだ。アキラママが教えてくれたんだよ」
「そうだったね。この間は何も言っていなかったのに。言ってくれれば、俺の方から何かお礼を出来たのに」
「孝則パパがキシヤマ味噌の新しいセットを買うって言っていたよ。キシヤマ出汁ポット改良版と、昆布だしセット。取引先に配るんだって」
「黒崎製菓も負けていられないな。伝統のキシヤマ。味噌もうどんもそばもあなたのそばに。良いキャッチフレーズだ」
「へへへ……」
俺は早瀬にすがりついたままで会話を続けた。俺達はいつもこうしている。夏だと暑いが、今の季節はちょうどいい。そして、俺達は佐伯家に出発した。玄関まで早瀬が送ってくれるからだ。もちろん、早瀬の背中にすがりついて向かった。
今日は佐伯家で泊まる日だ。ギタリスト祭典というイベントに出席するためにギターの練習に励んでいる俺に、久弥の方から泊まりに来いと、叱咤激励を受けた。この家から歩いて数分の場所にある家だから、遠出する感覚は無い。しかし、早瀬にとっては遠征のような感覚があるらしく、大きなバッグに俺のお泊まりグッズを詰め込んで用意してくれた。
「悠人君。クルクルステッキは三種類入れてあるから、最適な物を選んで使うんだぞ」
「うん。汗を掻いたときのための替えのTシャツ、パジャマ、明日の着替え。歩いて5分の距離なのに、こんなに要らないよーー。こっちに着替えに帰ってきたら良いだろーー」
「それじゃつまらないだろう。お泊まりなんだから。俺は明日の朝まで君に会えない。しっかりと、この家で留守番している。ギタリスト祭典の準備も頑張って来いよ」
「うん」
今日はこれから佐伯家に行き、ゴールデンウィーク中の家族の中に混ざって過ごす。久弥の両親と理久が在宅しているそうだ。フェレットの太郎もいる。久弥がよくこの家に泊まりに来るが、こっちから向こうに行くことがなくて、今まで泊まったことがなかった。久弥の部屋の隣にはギターを弾ける部屋があり、そこで練習をみっちり積む予定だ。
「裕理さんも来たら良いのに……。客間があるんだからさ。そこで一緒に寝ようよ」
「それはやめておく。違う環境に興奮して、君のことを襲いかねない。恥ずかしいことになるといけないだろう」
「あああ……」
たしかに早瀬の言うとおりだ。この人は変なことで欲情する。久弥にからかわれたくないし、みっともないことにもなりたくない。しかし、寂しいものは寂しいから、早瀬にすがりついた。
「裕理さん。ぎゅーーーー」
「悠人君。ぎゅーーーーー」
「俺がいない間に浮気しないでね!」
「しないよ。浮気候補者は君の泊まりに行く先にいる」
「久弥のこと?」
「あああ……。つい口が滑った……」
「げええええっ」
どうしよう?早瀬が本音を暴露した。過去の恋だとあれほど言っていた早瀬なのに、簡単に口を滑らせている。油断のならない人である。しかし、久弥には蔵之介さんというディスティニーな恋人がいるから安心している。ディスティニー・ハニーという久弥の楽曲でも出てくるほどである。
「ふんふんふん。ジャジャジャーーーー、ガガガガーー。ディスティニー、ハニーーー!俺の運命が開いてーーーーー、ガガガガーー」
「ははは。上手だな。さすがは夏樹君とのツインボーカルを務めている君だ。スイートスイーツウィスパーボイスに君のハスキーな歌い声。とろける食感のようなハーモニー。チョコレートケーキのような、ガトーショコラのような甘さ。カカオポリフェノールの健康効果。TDDはあなたの心の健康にもお役に立ちます」
「へへへ……」
どうしよう?早瀬の語り口はコマーシャルのキャッチフレーズのようだ。コマーシャルと言えば、キシヤマ味噌である。俺の出演するCMの第二弾が決まり、再来月から打ち合わせに入る。冬の限定商品であるカボチャのフリーズドライ味噌汁の宣伝である。俺はカボチャ好きだと公表してあるから、ちょうどいいということで、CMに使われることになった。
それには早瀬が喜び、早瀬家の方からキシヤマ味噌にお菓子の詰め合わせが贈られた。千尋製菓で行われている開発途中のサンプル菓子である。いつか、味噌の健康効果をタイアップさせて商品を出したいと、孝則パパが話していた。
「裕理さん。月島さんが社長になって、まず最初にしてくれた仕事が、CMの第二弾の決定だったんだ。アキラママが教えてくれたんだよ」
「そうだったね。この間は何も言っていなかったのに。言ってくれれば、俺の方から何かお礼を出来たのに」
「孝則パパがキシヤマ味噌の新しいセットを買うって言っていたよ。キシヤマ出汁ポット改良版と、昆布だしセット。取引先に配るんだって」
「黒崎製菓も負けていられないな。伝統のキシヤマ。味噌もうどんもそばもあなたのそばに。良いキャッチフレーズだ」
「へへへ……」
俺は早瀬にすがりついたままで会話を続けた。俺達はいつもこうしている。夏だと暑いが、今の季節はちょうどいい。そして、俺達は佐伯家に出発した。玄関まで早瀬が送ってくれるからだ。もちろん、早瀬の背中にすがりついて向かった。
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