森林の星空少年~あの日のメエメエ

夏目奈緖

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 どうしてここまで当たるのだろうか。さきほどの占いにうなり声を上げた。そうしたくなるほどの驚きからである。久弥も驚いているに違いないが、音楽業界に身を置いて長くなり、テレビ局などの繋がりから、超常現象に遭うことや聞くことがあり、俺ほどは驚いていない。

「ひさやーー。すごかったよね!どうしてそんなに静かにしていられるの?」
「さっき言ったとおりだ。テレビ局で超常現象に遭ったことがある。だから、不思議な力を否定しない。そういえば、キシヤマ味噌の月島社長も占いをするというじゃないか。やってもらったことがあるのか?」
「ううん。まだだよ。生き霊のお祓いをしているところが見たよ。地鎮祭の方式でやっていたんだ」
「へえーー。そうなのか。……そうか。カズタカ・島川の幽体離脱ボディーを操り、本体に返すことができる力があるのか。それはすごいな」
「うん。あれ?そういえば、カズさんが居ないねーーー」

 我々が久弥の部屋に集っていたはずである。カズさんがこっそり部屋から抜け出している。まさか、早瀬のことを追いかけていったのか。

 ガチャ。部屋のドアを開けた。向かいは理久の部屋である。しかし、ドアが開いており、中には誰にいないことが分かった。それなら下にいるだろう。何か迷惑を掛けていないか心配になった。

「カズさん!カズさーーーん!」
「カズタカ・島川!どこだーーーーー」
「はーーい!」

 下からカズさんの返事が返ってきた。リビングから顔を出している。そして、それが幽体離脱ボディーだと分かって、鳥肌が立った。今更だが、超常現象に遭っているという自覚をしたからである。

「うひぇーーーー!うひぇーーー!」
「悠人。どうしたんだ?」
「カズさんが幽体離脱ボディーで顔を覗かせたんだよーーー!3日間一緒に居たことがあるけど、今更になって怖くなったんだーーー」
「へーーー、俺も見てみたい。どれどれ?ん?いないぞ?俺には見えないのか……」
「悠人君……」

 すると、壁の方からカズさんの声が聞こえてきた。そこには本人はいない。ということは、あのボディーが移動したことになる。俺はますます恐怖を感じ、悲鳴を上げて久弥にすがりついた。

「うひぇーーー!」
「悠人、落ち着け。島川さんの幽体離脱ボディーだぞ。ちっとも怖くなんかない。本体は下にいるんだろう。一緒に下りていって、会いに行こう。そうすれば、怖くない」
「うん……」

 久弥が立ち上がったから、俺も立ち上がった。そして、彼の背中にすがりつくようにして部屋から出て、階段を下り始めた。

「悠人、押すな」
「怖いもん」
「俺も怖い。よし、下まで下りたぞ。島川さん!どこだーーー?」
「ふう……」

 一気に疲れが出てきてしまった。カズさんはどこだろう。そう思ってリビングを見てみると、お母さんと話をしていた。理久も居る。カズさんは普段通りの姿をしていた。だから、ホッとして、身体の力が抜けた。

「悠人君。僕の名前を何度も呼んで、どうしたんだ?」
「一緒に部屋に居たのに、いつの間にかいなくなっているから探したんだ。さっきまで電話占いを受けていたんだよ。それで、さっき、あなたの幽体離脱ボディーが来たんだ」
「そうなのか!僕にはその感覚はなかった。ああ、実は僕は幽体離脱が出来るんです」
「まあ……」
「そうなんだねーーー」

 お母さんと理久が驚いた顔をしたから、カズさんが説明を始めた。久弥に付きまとうわ、幽体離脱するわ、おかしな人である。しかしながら、今日はにんじん菩薩と久弥の彫刻を行い、株が上がった。もう変質者扱いをされていない。
 
「カズタカ・島川。今日はあなたも泊まるだろう?客間に布団を敷いてある」
「それはどうもありがとう。お母さん、良いんですか?」
「はい。どうぞ泊まっていって下さい。シャワーも浴びて下さい。遠慮せずに……」
「そうですか。僕は急に泊まるときがあるので、車の中に着替えなどのお泊まりセットを積んであるんです。取ってきます」
「ふむふむ……」

 急に泊まるときとは、男性との同衾のことを言っているのだろう。チャンスを逃さず、清潔にしておくために用意していると言いたいようである。しかしながら、俺は知っている。食事の際に飲み物をこぼすことがあるから着替えを用意していることを。お母さん達に見栄を張っていると分かった。
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