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午前10時。
目が覚めると、カーテンから日差しが入っていた。朝よりも強めだ。壁の時計に視線を向けて、もうこんな時間かと驚いた。10時を差していた。もちろん、ベッドに早瀬の姿はない。
たった一人で起きる朝は、5月以来のことだ。今朝は起きるつもりでアラームをセットしていたのに、止められていた。気を遣ってくれたのだろう。起きて顔が見たかったのに。早瀨の使っているカーディガンが、ベッドに置かれていた。これを羽織っておけというのだろう。
「起こさないようにしてくれたんだ。裕理さんの匂いがする。温かいなあ」
まだ着たばかりなのに温かく感じる。ベッドサイドにはメモが置かれていた。仕事に行って来る、朝ご飯はテーブルの上だよ。昼ご飯は冷蔵庫に入れてある。そう書かれていた。
パタン。
ダイニングテーブルのそばに行くと、ポトフが入った鍋が置かれていた。朝と昼の分だ。ふわふわしたロールパン、温野菜サラダもある。
冷蔵庫を開けると、ミキサーで作ったジュースと、ワンプレートのおかずが入っていた。作り置きの容器から取り出さなくてもいいし、レンジで一度に温めることが出来るからだろう。
「ふむふむ。秘書時代に培った細かさってやつかな?元からだよね……」
顔を洗ってきた後、鍋をコンロに置いてスイッチを入れた。温めるのはこの一つだ。コーヒーメーカーをセットして出来上がるのを待つ間に、ラインをチェックした。早瀬と夏樹と佳代子さんから入っていた。先に開いたのは、早瀬からのものだ。
「『早瀬裕理 8:28 オフィスに着いた。会議が続くから連絡が出来ないかもしれない。昼には入れるようにする』」
「気にしないで。ご飯、ありがとう。今から食べるよ。熱は平熱になった。トラのユーリのスタンプ。送信」
「『黒崎夏樹 9:40 おはよう。具合はどう?明日は無理するなよ。佳代子さんと何か持って行こうかって話しているんだ』」
「『遠藤佳代子 9:45 おはよう。夏樹君から風邪を引いたって聞いたわよ。お昼前に近くまで行くから、マリーズカフェのサンドイッチを持って行こうか?玄関先で渡すわ』」
「嬉しいなあ。最近行っていないもんなあ」
どうしようかと迷って、お願いしますと返信した。ここまで一人で過ごすのが心細いのかと、自分で呆れてしまった。
コトコト、カタカターーッ。
するとその時だ。温めていた鍋が吹きこぼれそうになった。慌ててスイッチを切って蓋を開けた後、油断して湯気が手に触れた。あつつつと離れた。
急いで冷たい水で手を冷やした。すぐに痛みが楽になり、うっすらと赤みが残っただけだ。気をつけて鍋をテーブルへ運び、5月以来の、一人だけの朝ごはんをスタートさせた。
目が覚めると、カーテンから日差しが入っていた。朝よりも強めだ。壁の時計に視線を向けて、もうこんな時間かと驚いた。10時を差していた。もちろん、ベッドに早瀬の姿はない。
たった一人で起きる朝は、5月以来のことだ。今朝は起きるつもりでアラームをセットしていたのに、止められていた。気を遣ってくれたのだろう。起きて顔が見たかったのに。早瀨の使っているカーディガンが、ベッドに置かれていた。これを羽織っておけというのだろう。
「起こさないようにしてくれたんだ。裕理さんの匂いがする。温かいなあ」
まだ着たばかりなのに温かく感じる。ベッドサイドにはメモが置かれていた。仕事に行って来る、朝ご飯はテーブルの上だよ。昼ご飯は冷蔵庫に入れてある。そう書かれていた。
パタン。
ダイニングテーブルのそばに行くと、ポトフが入った鍋が置かれていた。朝と昼の分だ。ふわふわしたロールパン、温野菜サラダもある。
冷蔵庫を開けると、ミキサーで作ったジュースと、ワンプレートのおかずが入っていた。作り置きの容器から取り出さなくてもいいし、レンジで一度に温めることが出来るからだろう。
「ふむふむ。秘書時代に培った細かさってやつかな?元からだよね……」
顔を洗ってきた後、鍋をコンロに置いてスイッチを入れた。温めるのはこの一つだ。コーヒーメーカーをセットして出来上がるのを待つ間に、ラインをチェックした。早瀬と夏樹と佳代子さんから入っていた。先に開いたのは、早瀬からのものだ。
「『早瀬裕理 8:28 オフィスに着いた。会議が続くから連絡が出来ないかもしれない。昼には入れるようにする』」
「気にしないで。ご飯、ありがとう。今から食べるよ。熱は平熱になった。トラのユーリのスタンプ。送信」
「『黒崎夏樹 9:40 おはよう。具合はどう?明日は無理するなよ。佳代子さんと何か持って行こうかって話しているんだ』」
「『遠藤佳代子 9:45 おはよう。夏樹君から風邪を引いたって聞いたわよ。お昼前に近くまで行くから、マリーズカフェのサンドイッチを持って行こうか?玄関先で渡すわ』」
「嬉しいなあ。最近行っていないもんなあ」
どうしようかと迷って、お願いしますと返信した。ここまで一人で過ごすのが心細いのかと、自分で呆れてしまった。
コトコト、カタカターーッ。
するとその時だ。温めていた鍋が吹きこぼれそうになった。慌ててスイッチを切って蓋を開けた後、油断して湯気が手に触れた。あつつつと離れた。
急いで冷たい水で手を冷やした。すぐに痛みが楽になり、うっすらと赤みが残っただけだ。気をつけて鍋をテーブルへ運び、5月以来の、一人だけの朝ごはんをスタートさせた。
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