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しかし、さすがに何か目印を教えてもらう必要がある。答えを待っていると、夏樹が声をあげた。思い出したようだ。
「思い出したー?」
「うんっ。降りた時と同じ鳩がいるんだよ。ほらそこに……」
「へ?え?ええ?」
思わず間抜けな声を出してしまった。夏樹が見ている方向には、5羽の鳩がいる。どこにでもいるものだ。何か特徴でもあるのか?
「なつきー。変わった鳩がいたの?」
「ううん。グレーの色をしているだけ。あの子たちがいるなら、ここなんだよねえ。でもねえ……、景色が違うんだよ」
「マジで言ってるの?ネタ?」
「ううん。鳩が増えているんだよ。ここへ着いた時は3羽だったよ。違う場所かもしれない」
「うひぇー?」
大袈裟な反応をしてしまった。天然ボケなのは知っているが、ここまでとは予想外だ。しかも、方向音痴なのか。こんなに一緒にいるのに知らなかった。
「グレーの鳩はいるけど。どこにでも、グレーはいるんだよ?」
「そうだよね~。まあ、タクシーに乗れたらいいからね……。電話して呼ぶよ」
慌てることなく、夏樹がスマホを取り出していた。そして、落ち着き払った様子で電話をかけ始めた。スピーカー設定を変更しているようで、会話の内容が丸聞こえだ。本人は気にしていない。
「……はい。HKタクシーです」
「黒崎と申します。……駅へ配車をお願いします」
「……かしこまりました。どちらへ車をお付けしましょうか?」
「鳩のマークの看板の下でお願いします」
「……鳩のマークでございますね。ええと……、何番出口かお分かりになりますか?」
「さっきは8番でした」
「げええええっ」
このままでは先に進みそうもない。お互いに困るだけだ。トントン。夏樹の肩を叩いて電話を代わってもらい、用件を告げた。
「……6番出口にいます。目的地はカントラッタです。……3番の汐留ビル方面です。出口の南側の……はい、そうです。5分ぐらい……、はい」
「……ありがとうございました」
これで段取りが完了した。帰りも使うだろうから、自分のスマホに番号を登録しよう。
「夏樹?どうしたの?」
「ありがとう。何か検索してる?」
「タクシー会社の番号を登録しているんだよ。すぐ来るよ」
「……悠人は頼りになるね?」
「ヘヘヘ……」
どうしよう?褒めてもらって嬉しいが、夏樹が沈んでいる。肩を叩いて元気づけようとしたものの、話を聞かないと理由が分からない。
「どうしたのー?」
「黒崎さんから心配されるのも無理はないなって、自覚したんだよ。……一つのことに集中するとね、周りのことが見えなくなるんだよ。だから、よく転ぶんだよ。失敗しないようにって、気をつけてやってても、その分だけ、他のことが分からないんだよ~っ」
「なつきー。泣くなよー」
「……うっうっ。んん?いたっ」
「泣いてないなら、顔を上げろよ!トリャー」
わざとツッコミを入れた。さっきの話は本当だ。日頃を思い出しても納得がいく。それを認めて打ち明けるのは勇気のいることだ。その相手になれたことが嬉しい。まだ知らない一面があるのか。早瀬にも当てはまるだろう。まだ知らないことがあるはずだ。もっと話したいと思った。
「思い出したー?」
「うんっ。降りた時と同じ鳩がいるんだよ。ほらそこに……」
「へ?え?ええ?」
思わず間抜けな声を出してしまった。夏樹が見ている方向には、5羽の鳩がいる。どこにでもいるものだ。何か特徴でもあるのか?
「なつきー。変わった鳩がいたの?」
「ううん。グレーの色をしているだけ。あの子たちがいるなら、ここなんだよねえ。でもねえ……、景色が違うんだよ」
「マジで言ってるの?ネタ?」
「ううん。鳩が増えているんだよ。ここへ着いた時は3羽だったよ。違う場所かもしれない」
「うひぇー?」
大袈裟な反応をしてしまった。天然ボケなのは知っているが、ここまでとは予想外だ。しかも、方向音痴なのか。こんなに一緒にいるのに知らなかった。
「グレーの鳩はいるけど。どこにでも、グレーはいるんだよ?」
「そうだよね~。まあ、タクシーに乗れたらいいからね……。電話して呼ぶよ」
慌てることなく、夏樹がスマホを取り出していた。そして、落ち着き払った様子で電話をかけ始めた。スピーカー設定を変更しているようで、会話の内容が丸聞こえだ。本人は気にしていない。
「……はい。HKタクシーです」
「黒崎と申します。……駅へ配車をお願いします」
「……かしこまりました。どちらへ車をお付けしましょうか?」
「鳩のマークの看板の下でお願いします」
「……鳩のマークでございますね。ええと……、何番出口かお分かりになりますか?」
「さっきは8番でした」
「げええええっ」
このままでは先に進みそうもない。お互いに困るだけだ。トントン。夏樹の肩を叩いて電話を代わってもらい、用件を告げた。
「……6番出口にいます。目的地はカントラッタです。……3番の汐留ビル方面です。出口の南側の……はい、そうです。5分ぐらい……、はい」
「……ありがとうございました」
これで段取りが完了した。帰りも使うだろうから、自分のスマホに番号を登録しよう。
「夏樹?どうしたの?」
「ありがとう。何か検索してる?」
「タクシー会社の番号を登録しているんだよ。すぐ来るよ」
「……悠人は頼りになるね?」
「ヘヘヘ……」
どうしよう?褒めてもらって嬉しいが、夏樹が沈んでいる。肩を叩いて元気づけようとしたものの、話を聞かないと理由が分からない。
「どうしたのー?」
「黒崎さんから心配されるのも無理はないなって、自覚したんだよ。……一つのことに集中するとね、周りのことが見えなくなるんだよ。だから、よく転ぶんだよ。失敗しないようにって、気をつけてやってても、その分だけ、他のことが分からないんだよ~っ」
「なつきー。泣くなよー」
「……うっうっ。んん?いたっ」
「泣いてないなら、顔を上げろよ!トリャー」
わざとツッコミを入れた。さっきの話は本当だ。日頃を思い出しても納得がいく。それを認めて打ち明けるのは勇気のいることだ。その相手になれたことが嬉しい。まだ知らない一面があるのか。早瀬にも当てはまるだろう。まだ知らないことがあるはずだ。もっと話したいと思った。
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